町家とは

町家は、都市の町人地に建つ住居兼店舗である。通りに面して軒を並べ、間口が狭く奥行が深い敷地に建つのが基本の形にあたる。

国指定文化財等データベースの解説文には、その特徴が繰り返し現れる。三重県の岡村家住宅主屋は「旧初瀬街道に面して建つ平入町家。木造つし二階建。間口13m奥行13mと、比較的大きな町家。切妻造桟瓦葺で正面に瓦庇を付け、棟には小さな越屋根を設ける」と解説されている。

つし二階は、天井の低い中二階を指す。人が立って歩ける高さを取らず、物置や寝所に充てるつくりで、近世の町家に広く見られる。京都府の中村宗哲家住宅は「南と西側に高塀を建て、通り庭を持つ町家の形式」と解説されており、敷地を奥へ貫く土間が町家の骨格をなしていたことが分かる。

町家は近代以降も建て続けられた。新潟県の益甚酒店店舗は昭和9年の建築で、「南北棟、切妻造、桟瓦葺、平入の2階建店舗で、間口は5間半とし、1階店舗の奥に平屋建の12畳と通り土間が付属し、2階は6畳6畳8畳の3室が並ぶ。たちの高いつくりが昭和初期町家の特徴をよく示している」と解説されている。つし二階ではなく背の高い二階を持つ点が、近世の町家との違いを示している。

見学するときに

町家がまとまって残る地区は、重要伝統的建造物群保存地区に選定されていることが多い。地区としての保護と、個々の建物が登録有形文化財重要文化財である場合とは別の制度なので、案内表示のどちらを読んでいるのかを意識するとよい。

間口の狭さは、通りに面した部分に課税された歴史の反映として説明されることが多い。ただし敷地割の事情は都市ごとに異なるため、個々の建物については解説文や自治体の調査報告に当たるのが確実である。

住み続けられている建物が大半を占める。公開施設として整備された町家と、生活の場である町家が同じ通りに並ぶため、私有地への立ち入りや撮影は現地の掲示に従うのが確実である。

表記は町家と町屋の両方が使われる。文化庁の記録では町家が用いられている。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
国指定文化財等データベース(文化庁)岡村家住宅主屋/平入町家、木造つし二階建
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009022
国指定文化財等データベース(文化庁)中村宗哲家住宅/通り庭を持つ町家の形式
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003108
国指定文化財等データベース(文化庁)益甚酒店店舗/切妻造、桟瓦葺、平入の2階建店舗
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003078

最終更新: 2026.08.30