街道に北面する造り酒屋の主屋

白井家住宅主屋は、愛知県豊川市国府町にある江戸時代末期の町家で、平成16年(2004年)に登録有形文化財となった。文化庁の国指定文化財等データベースは、この建物を造り酒屋の主屋と記録し、建設年代を1830年から1867年の間としている。

国府という地名は、三河国の国府が置かれた土地であることに由来する。白井家住宅主屋とその役所に直接の関係はないが、酒を造る家がここに建つはるか以前から、この一帯が地域の中心だったことは間違いない。

建物は街路に北面して建つ平入町家である。桁行8、梁行も6間を超える奥行があり、登録上の建築面積は236平方メートル。在郷の町家としては大きい部類で、文化庁の解説文も規模の大きさを最初に挙げている。

登録の理由と評価

白井家住宅主屋の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。この基準は、単体の希少性よりも、その土地の景観をかたちづくってきた建物を評価する。白井家住宅主屋の価値も、珍しい部材があるという点にはない。江戸末期の造り酒屋という一つの型が、屋根から間取り、街路に向いた正面まで、そろって残っている点にある。

登録番号は23-0137、第43回の登録で、登録年月日は平成16年(2004年)7月23日、官報告示は同年8月17日である。

ここでいう「登録」は「指定」とは別の制度で、平成8年(1996年)に設けられた。登録有形文化財では、大きな改変をしようとするときに届け出を求める仕組みになっており、修理のたびに許可を得る必要はない。個人が所有し、いまも人が住み、劇的な危機よりも静かな取り壊しによって失われやすい建物を守るために作られた制度である。

見どころ

まず屋根を見たい。切妻造桟瓦葺で、その下にあるのはつし二階である。つし二階は物置として使う天井の低い半階で、立って歩くには窮屈な高さしかない。街路からは二階建てに、内側からは一階半に見えるのがこの形式の特徴である。

正面には瓦葺の下屋が差し掛けられ、その庇の下に格子が建て込まれている。二階は出格子で、箱状に前へ張り出す。庇の奥に引き込まれた格子と、その上に前へ出た格子。二段の格子が白井家住宅主屋の正面に調子を与えている。

間取りは、区切りの位置がわかれば外からでも読める。東の端は通り庭で、奥行いっぱいに土間が通る。酒を造る家にはこの通路が要った。樽も桶も人も、畳に上がらずに家の奥まで抜けられるからである。その西側に居室が2列3室ずつ、合わせて6室並ぶ。

そして屋根の高さが一段落ちる。落ち棟の下に仏間があり、その西に新座敷が続く。この段差は不具合ではない。古い主屋の部分がどこで終わり、後から建てた座敷がどこから始まるのかを示す印であり、白井家住宅主屋が段階を追って広がったことを外観から読み取れる場所でもある。

白井家住宅主屋の見学方法

白井家住宅主屋は個人の住宅である。豊川市の一覧も所有者を個人所有と記載しており、内部の一般公開、受付、拝観時間のいずれも設けられていない。見学は道路からの外観に限られる。もっとも、この建物はもともと街路から見られることを前提に建てられている。

最寄り駅は名鉄名古屋本線の国府駅で、距離は約360メートル、徒歩約5分である。国府駅には快速特急の一部と特急以下の全列車が停車し、豊川線の分岐駅でもあるため、名古屋からも豊橋からも行きやすい。

公道からの撮影に制限はなく、北面は午後に光がよく回る。敷地には立ち入らず、道路から見学してほしい。現に人が暮らしている建物である。内部公開の予定について確認したい場合は、豊川市教育委員会生涯学習課が市内の文化財に関する窓口になっている。

Q&A

Q白井家住宅主屋の内部は見学できますか。拝観料はかかりますか。
A個人の住宅のため内部の一般公開は行われておらず、拝観料も拝観時間の設定もありません。外観は公道からいつでも見学できます。
Q白井家住宅主屋への行き方は。最寄り駅からどのくらいですか。
A名鉄名古屋本線の国府駅が最寄りで、約360メートル、徒歩約5分です。名古屋方面からも豊橋方面からも直通で行けます。
Q白井家住宅主屋はいつ建てられ、何に使われていたのですか。
A江戸時代末期、1830年から1867年の間の建築で、造り酒屋を営んでいた白井家の主屋です。
Q白井家住宅主屋はどの区分の文化財ですか。
A登録有形文化財(建造物)です。平成16年(2004年)に「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録され、登録番号は23-0137です。
Q白井家住宅主屋を外から見るとき、どこに注目すればよいですか。
A北面の二段の格子、切妻の瓦屋根の下にあるつし二階、そして西寄りで一段落ちる屋根の高さです。落ち棟から西が後から加わった部分にあたります。

基本情報

名称白井家住宅主屋
所在地愛知県豊川市国府町流霞157
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成16年(2004年)登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積236平方メートル、桁行8間
所有者個人
公開状況内部非公開。外観は公道から見学可能

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「白井家住宅主屋」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004482
豊川市「豊川市の指定・登録文化財一覧」
https://www.city.toyokawa.lg.jp/soshiki/kyoikuiinkai/shogaigakushu/2/5/3/1/4093.html
豊川市「豊川市の指定・登録文化財一覧」(PDF)
https://www.city.toyokawa.lg.jp/material/files/group/47/shiteibunkazaiichiran20260423.pdf
豊川市「豊川市について」
https://www.city.toyokawa.lg.jp/life/toyokawashi/index.html

最終更新日: 2026.09.02