土蔵造とは
土蔵造は、木造の軸組の外側を厚い土壁で塗り込め、漆喰で仕上げる構法である。火に弱い木部を土で覆うことで、延焼を防ぐことを目的とする。
国指定文化財等データベースでは構造及び形式等欄の先頭に置かれる。滋賀県の旧北村医院(李軒邸)土蔵は「土蔵造2階建、瓦葺、建築面積26㎡」と記録されている。構法、階数、葺材、規模の順に並べる書式である。
土蔵と土蔵造は別の語である。土蔵は物を納める建物そのものを指し、土蔵造はその建て方を指す。土蔵造は蔵に限らず、店舗や座敷にも用いられる。山形県の山王くらぶには土蔵造の座敷が含まれている。
同じ防火のための構法に塗屋造がある。土蔵造ほど壁を厚くせず、軒裏や柱の見えがかりを残す点で異なるが、両者の区別は建物ごとに判断されるため、記録の表記をそのまま引くのが確実である。
蔵まわりの言葉
置屋根は、土蔵の厚い壁の上に独立した小屋組を載せて屋根を架ける形式である。壁と屋根が構造的に切り離されているため、火災で屋根が焼け落ちても土壁が残る。高知県の尾崎家住宅蔵は「桟瓦葺、切妻造置屋根の平入、2階建土蔵」と解説されている。
海鼠壁は、平瓦を壁面に貼り、目地を漆喰で半円形に盛り上げて仕上げる技法である。水切り瓦は、壁面に何段か水平に瓦を差し出して雨水を落とすもので、高知県の蔵では土佐の特徴として2段や4段に回した例が知られる。
岩手県の佐藤家住宅新蔵は「切妻造・妻入、2階建の土蔵造で、棟札から上棟年がわかる。壁面は水切で3段に区分し、最下部を煉瓦積、他を漆喰塗とし、屋根は桟瓦葺で軒先を海鼠風に納め」と解説されている。棟札が附として扱われることもあり、蔵は建てられた年を確かめやすい建物にあたる。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)旧北村医院(李軒邸)土蔵/土蔵造2階建、瓦葺
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014035
- 国指定文化財等データベース(文化庁)尾崎家住宅蔵/切妻造置屋根の平入、2階建土蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003015
- 国指定文化財等データベース(文化庁)佐藤家住宅新蔵/切妻造・妻入、2階建の土蔵造
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003025
最終更新: 2026.08.30