妻入とは
妻入は、屋根の棟と直交する側に出入口を設ける形式である。妻とは、棟の両端にあたる面を指す。切妻造や入母屋造では、この面に三角形の壁が現れる。
国指定文化財等データベースの構造及び形式等欄には、屋根の形に続けて記される。愛知県の幡頭神社本殿は「一間社、入母屋造、妻入、正面庇付、檜皮葺」と記録されている。屋根の形が入母屋造で、出入口が妻の側にあることを示す。
民家や蔵にも用いられる。岩手県の佐藤家住宅新蔵は大正11年の建築で、「切妻造・妻入、2階建の土蔵造で、棟札から上棟年がわかる」と解説されている。
妻入は屋根の形式とは別の軸である。切妻造の妻入もあれば入母屋造の妻入もあり、寄棟造では三角形の壁が生じないため、この語は用いられない。記録が屋根の形と出入口の向きを並べて書くのは、二つが独立した情報だからである。
平入との対
対になる語が平入である。棟と平行な側、つまり軒が水平に伸びる面に出入口を設ける形式を指す。同じ切妻造の建物でも、入口の位置によって妻入と平入に分かれる。
現地では棟の向きを先に確かめるとよい。屋根のいちばん高い線が通りに対してどちらを向いているかを見て、その線と直交する面に入口があれば妻入である。三角形の壁を正面に見ながら建物に入る形になる。
妻入は正面の幅が屋根の奥行に縛られるため、間口を広く取りにくい。町家のように通りに面して長く軒を見せたい建物では平入が選ばれやすく、独立して建つ社殿や蔵では妻入も広く用いられる。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)幡頭神社本殿/一間社、入母屋造、妻入、正面庇付、檜皮葺
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005447
- 国指定文化財等データベース(文化庁)佐藤家住宅新蔵/切妻造・妻入、2階建の土蔵造
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003025
最終更新: 2026.08.30