入母屋造とは
入母屋造は、屋根の上半分を切妻造、下半分を寄棟造とする形式である。棟から左右の二方向に流れる屋根面の下に、四方へ回り込む屋根面が取り付く。
妻の側から見ると、三角形の壁面が屋根の上部にだけ現れ、その下には軒が水平に伸びる。切妻造では三角形が軒まで下りきり、寄棟造では三角形そのものが生じない。入母屋造はこの二つを上下に組み合わせた形にあたる。
国指定文化財等データベースの構造及び形式等欄では、屋根の形と葺材を並べて書くのが書式である。愛知県の幡頭神社本殿は「一間社、入母屋造、妻入、正面庇付、檜皮葺」、福岡県の櫻井神社楼門は「三間一戸楼門、入母屋造、銅板葺」と記録されている。建物の規模や種類を先に置き、屋根の形、出入口の向き、葺材の順に続ける。
京都府の真宗本廟東本願寺には「建築面積353.56㎡、一重、入母屋造、桟瓦葺」と記録された建物がある。ここでの一重は屋根の重なりが一段であることを示し、裳階を付けたものや重層のものと区別する語である。
現地での見分け方
棟と直交する側、つまり妻の側に立つのが早い。三角形の壁面が屋根の頂部近くにだけあり、その下に軒が水平に回っていれば入母屋造である。三角形が下まで続いていれば切妻造、三角形がまったく見えなければ寄棟造にあたる。
社寺では本堂、楼門、書院などに多く用いられる。規模の大きな民家にも見られるが、蔵や小規模な付属建築では切妻造が選ばれることが多い。屋根面が増えるほど納まりが複雑になり、手間と費用がかかるためである。
記録に「入母屋造、銅板葺」とあれば、屋根の形が入母屋造で葺材が銅板という意味になる。形と材は別の情報なので、同じ入母屋造でも檜皮葺、桟瓦葺、銅板葺と葺材はさまざまである。案内板の表記を読むときは、この二つを切り分けて受け取るとよい。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)幡頭神社本殿/一間社、入母屋造、妻入、正面庇付、檜皮葺
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005447
- 国指定文化財等データベース(文化庁)櫻井神社楼門/三間一戸楼門、入母屋造、銅板葺
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005499
- 国指定文化財等データベース(文化庁)真宗本廟東本願寺/一重、入母屋造、桟瓦葺
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005507
最終更新: 2026.08.30