覚王寺本堂とは
覚王寺本堂は、愛知県丹羽郡扶桑町大字高雄にある臨済宗の寺院、金華山覚王寺の本堂で、文化11年(1814年)に建てられ、平成17年(2005年)に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。ほぼ南に面して建ち、屋根は入母屋造の桟瓦葺、建築面積は354平方メートルを測る。
寺の歴史は建物よりもはるかに古い。扶桑町の記録では、覚王寺は元徳2年(1330年)に天台宗の寺院として開かれ、永正7年(1510年)に臨済宗へ改められている。いまの本堂が普請されたのは、その改宗から三百年ほどのちのことにあたる。
境内には本堂のほか、大日堂、庫裏、鐘楼、山門が建つ。文化庁の記録によれば大日堂は覚王寺本堂の南西に位置し、五棟はいずれも同じ日付で登録されている。
登録が認めたもの
覚王寺本堂が登録されたのは平成17年(2005年)7月12日で、告示は同年8月2日。適用された登録基準は「造形の規範となっているもの」である。規模や華やかさを問うのではなく、その時代の建築のつくり方をよく示しているかどうかを見る基準にあたる。
この日、覚王寺では五棟がまとめて登録された。寛政6年(1794年)の大日堂、文化11年(1814年)の本堂、天保11年(1840年)の庫裏、明治35年(1902年)の山門、昭和9年(1934年)の鐘楼である。江戸後期から昭和初期まで、およそ百四十年をかけて建て継がれた建物が、ひとつの境内にそろって残っている。覚王寺本堂は五棟のうち二番目に古い。
文化庁の解説は、この建物を装飾の少ないつくりとしたうえで、たちの高い外観に江戸後期の造形が表れているとみる。「たち」は柱や屋根の高さの取り方を指す語で、同じ平面でも建物の背の見え方を左右する。細部の彫りではなく全体の均衡から年代を読み取っている点は、この本堂の性格をよく言い当てている。
六間取の平面と、外に見せない2階
覚王寺本堂の眼目は装飾ではなく、部屋の並び方にある。正面には広縁が長く通り、その奥に六つの部屋が三室ずつ二列に並ぶ。禅宗寺院では住持の居所を方丈と呼ぶが、その方丈の間取りを本堂に用いた形式で、文化庁の記録も方丈形式の本堂と記している。
中央の列が儀式の場になる。中心の室中を挟んで上間と下間が並び、境は竹の節欄間で仕切られる。竹の節に似せて削った細い桟を並べた欄間で、隣室の光と気配を遮らない。天井はこの三室にわたって格天井が連続する。仕切りを開けば三室がひと続きになり、格子は途切れずに走る。連続する天井は、そうした使い方を前提とした造作と考えられる。
奥の列では、上奥間が二室に分かれる。さらにその上に、外観にはほとんど表れない階が設けられている。文化庁の解説はこれを「やつし2階」と呼ぶ。同じ資料の構造欄が覚王寺本堂を木造平屋建と記録していることからも、外から見るかぎり平屋として通る造りであることがうかがえる。
建物の前に立ったら、まず軒の高さと屋根の勾配を見てほしい。入母屋の大屋根に桟瓦が葺かれ、正面には広縁が水平に伸びる。目を引く彫刻や色彩はない。見どころは、その高さと伸びやかさの釣り合いに集まっている。
覚王寺本堂の見学とアクセス
覚王寺はいまも法要が営まれている寺院で、観光施設ではない。覚王寺本堂の外観は境内から見ることができる。堂内については、一般向けの拝観受付や公開時間、拝観料の案内が寺・扶桑町のいずれからも公表されていない。内部を見たい場合は、あらかじめ寺に相談するのが確実である。
撮影は、境内からの外観であれば通常さしつかえない。法要が行われているときや、堂内へ向けてのカメラは控えたい。三脚を立てる場合も同じで、必要なら寺の許可を得るのがよい。
最寄り駅は名鉄犬山線の扶桑駅で、南東へ徒歩およそ11分、距離にして900メートルほど。名古屋方面からは同線を直通する列車がある。ひとつ南の木津用水駅からも歩ける。文化財としての問い合わせは、扶桑町教育部生涯学習課(電話0587-93-5200)が窓口になっている。
Q&A
- 覚王寺本堂はいつ建てられた建物ですか。
- 文化11年(1814年)、江戸時代後期の建立です。木造平屋建で建築面積は354平方メートル、屋根は入母屋造の桟瓦葺です。
- 覚王寺本堂は国宝や重要文化財ですか。
- どちらでもありません。平成17年(2005年)7月12日に登録された登録有形文化財(建造物)です。登録は国宝や重要文化財の指定とは別の制度で、建物を使い続けながら残していくことを目的としています。
- 覚王寺本堂の堂内は拝観できますか。撮影はできますか。
- 堂内の一般公開は行われておらず、拝観受付や公開時間の案内も出ていません。外観は境内から見学でき、境内からの撮影は通常さしつかえありません。法要中や堂内へ向けての撮影は控えてください。
- 覚王寺本堂へはどう行けばよいですか。
- 名鉄犬山線の扶桑駅から南東へ徒歩約11分(約900メートル)です。ひとつ南の木津用水駅からも歩けます。
- 覚王寺本堂の「方丈形式」「やつし2階」とは何ですか。
- 方丈形式は、禅宗寺院で住持の居所である方丈の間取りを本堂に用いたもので、正面の広縁の奥に三室ずつ二列、計六室が並びます。やつし2階は、外観に階として表さずに設けた上階を指す呼び方で、文化庁の解説が覚王寺本堂の特徴として挙げています。
基本情報
| 名称 | 覚王寺本堂(かくおうじほんどう) |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県丹羽郡扶桑町大字高雄字南屋敷135 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成17年(2005年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積354平方メートル |
| 所有者 | 宗教法人覚王寺 |
| 公開状況 | 境内から外観の見学が可能。堂内の一般公開はなく、拝観受付・公開時間・拝観料の案内は公表されていない |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):覚王寺本堂
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004774
- 文化遺産オンライン(文化庁):覚王寺本堂
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/117654
- 扶桑町公式ホームページ:覚王寺(かくおうじ)
- https://www.town.fuso.lg.jp/sports/1002076/1002095/1002129/1002130.html
- 扶桑町公式ホームページ:登録有形文化財
- https://www.town.fuso.lg.jp/sports/1002076/1002095/1002129/index.html
最終更新日: 2026.08.30