大仏様とは
大仏様は、東大寺の再建にあたって中国から導入された建築様式である。和様、禅宗様と並ぶ中世の三様式のひとつで、天竺様とも呼ばれた。
細部に指標がある。兵庫県の楊柳寺仁王門は江戸中期の建築で、「境内下段の入口に南面して構える、三間一戸楼門、入母屋造本瓦葺。軸部は貫で固め、上層の組物は二手先、軒は二軒繁垂木である。皿斗付大斗や挿肘木の使用、通肘木鼻の繰形などに、大仏様の影響が認められる」と解説されている。
挿肘木は、柱の側面に穴を空けて肘木を挿し込む構法である。柱の上に組物を載せる和様と違い、柱そのものに部材を差して荷重を受ける。皿斗付大斗は、大斗の下に皿状の彫り込みを添えたものを指す。
同じ兵庫県の極樂寺仁王門は享保13年の建築で、「下層柱筋の組物は三斗上に舟肘木をおいて天井桁を受け、また皿斗付大斗や肘木鼻の繰形などに大仏様の細部を取入れる。さらに棟通りの虹梁上に瓶を模した大瓶束をおくなど、独特な形態をもつ楼門」と解説されている。
影響として現れる
上の二例はいずれも「影響が認められる」「細部を取入れる」という書き方をしている。大仏様の建物として全体が構成されているのではなく、細部にその要素が混じっている状態を指す。
大仏様は東大寺の再建という限られた事業のために導入され、その後は単独の様式として広がらなかった。中世以降は、和様や禅宗様の建物に細部として取り込まれる形で残る。記録がこの語を用いるとき、多くは細部の指摘である。
現地では柱の側面を見るとよい。柱の上ではなく柱の途中から肘木が横へ突き出していれば挿肘木で、大仏様の系統にあたる。大斗の下に浅い皿状の形が添えられていれば皿斗である。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)楊柳寺仁王門/皿斗付大斗や挿肘木の使用、通肘木鼻の繰形などに大仏様の影響
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009521
- 国指定文化財等データベース(文化庁)極樂寺仁王門/皿斗付大斗や肘木鼻の繰形などに大仏様の細部を取入れる
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009522
- 国指定文化財等データベース(文化庁)椿山荘三重塔/和様を基調に各部に禅宗様を加味
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003195
最終更新: 2026.09.03