禅宗様とは

禅宗様は、禅宗の伝来とともに中国からもたらされた建築様式である。それ以前から用いられてきた和様と並び、日本の社寺建築を分類する軸のひとつになっている。唐様とも呼ばれる。

細部に特徴が現れる。徳島県の箸蔵寺仁王門は明治13年の建築で、「三間一戸二重門、入母屋造桟瓦葺。上・下重とも出組詰組、二軒繁垂木。上重は桁行三間梁間二間、正面中央に両開桟唐戸、両脇間に花頭窓を穿つ」と解説され、「近代における禅宗様二重門の優品である」と評価されている。

詰組は柱の上だけでなく柱間にも組物を詰めて並べる構成、桟唐戸は框に桟を組んで板を落とし込んだ扉、花頭窓は上部を火炎形の曲線で象った窓である。これらが揃えば禅宗様の系統と判断される。

北海道の高龍寺鐘楼は大正11年の建築で、「方1間、入母屋造銅板葺で、布石積基壇上に建ち、軸部は禅宗様を基調とする。柱間は吹放ちとし、組物は二手先で、内部は格天井を張る」と解説されている。

和様との併用と近代の作例

様式は排他的ではない。東京都の椿山荘三重塔は室町末期の建立で大正14年に移築されたもので、「和様を基調に各部に禅宗様を加味し、組物は三手先、軒は各層とも本繁平行垂木」と解説されている。全体を和様でまとめながら、部分に禅宗様を取り入れる例は珍しくない。

解説文が「禅宗様を基調とする」「禅宗様を加味し」と書き分けているのは、この重なりを表すためである。記事に書くときも、建物全体が禅宗様であるのか、細部にその要素が見られるのかを区別したい。

近代の作例が多いことも押さえておきたい。箸蔵寺仁王門は明治13年、高龍寺山門は明治43年頃、高龍寺鐘楼は大正11年の建築である。禅宗様は中世で終わった様式ではなく、近代の寺院建築でも選ばれ続けた。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
国指定文化財等データベース(文化庁)箸蔵寺仁王門/出組詰組、桟唐戸、花頭窓、禅宗様二重門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009069
国指定文化財等データベース(文化庁)高龍寺鐘楼/禅宗様を基調とし、内部は格天井を張る
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009107
国指定文化財等データベース(文化庁)椿山荘三重塔/和様を基調に各部に禅宗様を加味
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003195

最終更新: 2026.08.30