格天井とは
格天井は、格縁と呼ばれる部材を格子状に組み、その上に格板を張った天井である。梁を見せずに水平な面をつくり、区画の一つひとつが額縁のように見える。
三重県のいとう旅館本館は明治後期の建築で、「十畳の主室には座敷飾りを構え、天井は格天井で格縁を黒漆塗とし、格板に鳳凰などを色彩豊かに描く」と解説されている。格縁と格板という二つの部材からできていることが、この記述からわかる。
派生形が複数ある。格の内側をさらに細かい格子で埋めたものを小組格天井といい、愛知県の徳授寺本堂と祥雲寺本堂はいずれも内陣に小組格天井を張っている。天井の周囲を一段持ち上げたものを折上格天井といい、両方を備えたものは折上小組格天井と記録される。京都府の仁和寺霊明殿がその例にあたる。
用いられるのは格式の高い空間である。仏堂では須弥壇を置く内陣、住宅では客を通す座敷が主な場所になる。
棹縁天井との差
同じ建物のなかで天井の種類を変え、部屋の格を示すことがある。愛媛県の末永家住宅百帖座敷は昭和2年の建築で、「共に18畳敷の座敷と次の間を持ち、次の間には5畳の前室を備え、庭側に縁を通す。次の間は棹縁天井、座敷は折上格天井であるが、若干の洋風装飾も備える」と解説されている。
棹縁天井は、細い棹縁を平行に渡し、その上に板を張る簡素な天井である。同じ広さの二室を並べながら、天井の種類だけで座敷と次の間の格を分けている。
数寄屋造では格天井をあえて避け、簡素な天井を用いることが多い。格式を示す部材を省くところにあの様式の性格があるためで、天井は書院造と数寄屋造を見分ける手がかりのひとつになる。
見学するときは、部屋に入って真上を見上げるとよい。太い格子が組まれ、その一区画ごとに板がはめ込まれていれば格天井である。区画の内側がさらに細かく割られていれば小組、天井の周囲が斜めに立ち上がっていれば折上にあたる。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)いとう旅館本館/格縁を黒漆塗とし、格板に鳳凰などを描く
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009027
- 国指定文化財等データベース(文化庁)末永家住宅百帖座敷/次の間は棹縁天井、座敷は折上格天井
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003161
- 国指定文化財等データベース(文化庁)徳授寺本堂/内陣は来迎壁を設けて須弥壇をおき、小組格天井を張る
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009292
- 国指定文化財等データベース(文化庁)仁和寺霊明殿/折上小組格天井、蟇股に唐草の彫刻
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009042
最終更新: 2026.08.30