数寄屋造とは
数寄屋造は、茶室の意匠を住宅の座敷に取り入れた建築様式である。数寄は茶の湯を指す語で、数寄屋はもともと茶室を意味した。
書院造が角柱と長押、格天井といった格式のある構成を取るのに対し、数寄屋造は面皮柱や丸太、土壁など、素材の表情を残した簡素な材で座敷を構成する。格式を示す部材をあえて省くところにこの様式の性格がある。
国指定文化財等データベースの解説文にも実例がある。山形県の山王くらぶは明治28年の建築で、「木造・2階建の和風建築で、道路側の西面を凝った意匠を軽快にまとめ、東西に細長い雁行状の形態で敷地奥に延び、土蔵造の座敷や数寄屋造の茶室等を接続する」と解説されている。
京都府の中村宗哲家住宅は嘉永7年の建築で、「柱は色付けを施した面皮柱や絞り丸太を使用するなど、数寄屋大工の作品らしい雰囲気が漂う」と解説されている。数寄屋大工という職種が成立していたことが、この様式の広がりを示している。
見分け方と表記
柱を見るのが早い。角を落としきらず、丸みと樹皮の名残を残した面皮柱や、幹の曲がりをそのまま生かした丸太が使われていれば数寄屋造の系統にあたる。書院造で用いる長押が省かれていることも手がかりになる。
解説文には数寄屋風という書き方も現れる。厳密な様式区分というより意匠の傾向を指す語で、住宅全体が茶室の作法で貫かれているとは限らない。座敷の一部だけが数寄屋風に整えられている例も多い。
表記は数寄屋造と数寄屋造りの両方が使われ、単に数寄屋と書かれることもある。文化庁の記録では数寄屋造が用いられている。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)山王くらぶ/土蔵造の座敷や数寄屋造の茶室を接続
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003053
- 国指定文化財等データベース(文化庁)中村宗哲家住宅/通り庭を持つ町家の形式
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003108
最終更新: 2026.08.30