下地窓とは

下地窓は、土壁を塗り残して下地の小舞を見せる窓である。壁を塗り上げてから開口を切るのではなく、塗らずに残した部分がそのまま窓になる。竹や葭を組んだ下地が露出するため、開口の輪郭も格子の目も不揃いになる。

茶室でよく用いられる。京都府の田村家住宅茶室任無亭は江戸末期の建築で、「四畳半の南面に濡縁をつけて貴人口とし、西面躙口上部は下地窓とする」と解説されている。身をかがめて入る躙口の真上に置かれた例である。

露地の小建築にも現れる。福岡県の筑紫女学園待合は昭和15年の建築で、「丸太柱で側・背面を漆喰仕上げの真壁とし、南妻に下地窓を開ける」と解説されている。桁行1.8メートルという極小の待合にも設けられている。

和歌山県の旧松井家別邸(がんこ六三園)便所は大正後期の建築で、「外壁は黄大津、腰はモルタル仕上げとし、各面に様々な形の下地窓を開ける。手の込んだ数寄屋造として庭園空間を構成する」と解説されている。便所にまで用いられ、しかも面ごとに形を変えている。

形が一定しないこと

旧松井家別邸便所の「各面に様々な形の下地窓」という記述が示すとおり、下地窓の輪郭は決まっていない。丸、半円、方形に近いものなど、建物ごとに違う。整った形をつくらないところに、この窓の性格がある。

同じ茶室まわりでも、神谷家住宅腰掛待合のように壁を半月形に開ける例がある。開口の形そのものが意匠として扱われる点は共通している。

現地では窓の内側を見るとよい。竹や葭を粗く組んだ下地がそのまま見えていれば下地窓である。障子や連子が入っていても、その奥に下地が残っていれば同じ扱いになる。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
国指定文化財等データベース(文化庁)田村家住宅茶室任無亭/貴人口、躙口上部は下地窓、給仕口、水屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009338
国指定文化財等データベース(文化庁)筑紫女学園待合/桁行1.8m、招屋根杉皮葺、南妻に下地窓
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009079
国指定文化財等データベース(文化庁)旧松井家別邸便所/各面に様々な形の下地窓を開ける
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009366
国指定文化財等データベース(文化庁)神谷家住宅腰掛待合/桁行2.4m梁間1.4m、正客席側に半月形の窓
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009289

最終更新: 2026.08.31