水屋とは
水屋は、茶室に付属して道具を整える準備の場である。茶碗や釜を清め、席入りの前後の支度を行う。
茶室と一続きに設けられる。京都府の田村家住宅茶室任無亭は江戸末期の建築で、「四畳半の南面に濡縁をつけて貴人口とし、西面躙口上部は下地窓とする…北面西半の下屋へ給仕口を開き、西へ瓦葺水屋を突出す」と解説されている。茶室から西へ張り出す形で設けられている。
茶室より広い場合もある。福岡県の筑紫女学園洗心庵は昭和15年の建築で、「北に四畳半の茶室、南に六畳の水屋を配し、茶室には台目のトコを構え、水屋にも丸炉を切る」と解説されている。四畳半の茶室に対し水屋は六畳で、丸炉まで備えている。
大阪府の堺市茶室黄梅庵は江戸中期の建築で、「8畳の広間に3畳下座床の茶室が接続し、裏側に勝手・水屋等が付属する」と解説されている。勝手と水屋が並べて挙げられている。
民家での用法
水屋という語は茶室まわりに限らない。千葉県の旧吉田家住宅は嘉永7年の建築で、重要文化財の構造及び形式等欄に「釜屋 桁行4.4メートル、梁間5.3メートル、切妻造、桟瓦葺、水屋 桁行4.7メートル、梁間5.3メートル、切妻造、桟瓦葺」と記録されている。釜屋と並ぶ独立した棟として数えられている。
この水屋は茶の湯の準備の場ではなく、炊事や水仕事に充てる建物にあたる。同じ語が民家と茶室で別の内容を指すため、どちらの文脈かを確かめて読む必要がある。
記事に書くときは、その建物が茶室に付属するものか、民家の生活の場かを明示したい。記録が茶室と並べて挙げているか、釜屋と並べて挙げているかが手がかりになる。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)田村家住宅茶室任無亭/貴人口、躙口上部は下地窓、給仕口、水屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009338
- 国指定文化財等データベース(文化庁)筑紫女学園洗心庵/四畳半の茶室、六畳の水屋、台目のトコ
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009078
- 国指定文化財等データベース(文化庁)堺市茶室黄梅庵/8畳の広間に3畳下座床の茶室が接続、二度の移築を経る
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003115
- 国指定文化財等データベース(文化庁)旧吉田家住宅/釜屋、水屋を桁行梁間つきで記録
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00004456
最終更新: 2026.08.31