旧石原家住宅庭門とは

旧石原家住宅庭門は、愛知県岡崎市六供町にある昭和前期建築の木造の腕木門で、平成23年(2011年)7月25日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。

間口は0.91メートル、わずか910ミリである。人ひとりが通る幅である。主屋の座敷の南に開かれた庭の、東辺のちょうど中央に立つ。屋根は南北に棟を通した切妻造で、杉皮を葺いて竹で押さえる。文化庁の国指定文化財等データベースは登録番号を23-0340とし、種別を「その他工作物」に分類している。

建物としては小さい。それでも、この門があるかないかで庭の見え方は変わる。

屋敷の中で最も新しい建物

同じ屋敷地の主屋と土蔵は安政6年(1859年)の建築だが、旧石原家住宅庭門だけは昭和前期に建てられたと推定されている。三棟のあいだにはおよそ70年の開きがある。

石原家は米穀と金融を本業とし、江戸時代には六供杉本村の庄屋を務めた家である。幕末の商家住宅が昭和まで住み継がれ、その途中で庭に面した一角に新しい門が加えられた。屋敷は最初に建てられたときの姿のまま止まっていたのではなく、代ごとに手が入り、必要なものが足されてきた。旧石原家住宅庭門はその追加の痕跡にあたる。

昭和53年(1978年)に改修を受け、平成27年(2015年)から翌年にかけては主屋とあわせて修復されている。

登録有形文化財としての価値

旧石原家住宅庭門の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、数寄屋風で軽快な庭門と評している。人ひとり分の幅しかない工作物が国の記録に載るのは、規模ではなく、屋敷の構成のなかで果たしている役割によるものだ。

座敷から庭を見たとき、この門は視線の突き当たりに来る。庭の東の境を示し、その先に日常の区画があることを暗示する。境界を閉ざすためではなく、示すために置かれた造作である。主屋(23-0338)、土蔵(23-0339)に続いて23-0340の番号が与えられ、三棟が同じ日に登録された。

見どころ

六角形の柱と名栗の面

本柱は2本、断面が六角形につくられている。表面は名栗仕上げ、つまり釿で削った跡をあえて残す仕上げである。平らに削り上げず、道具の跡を意匠として見せる。数寄屋の作法であり、この小さな門の性格を決めている部分でもある。控え柱には自然木がほとんど加工されないまま使われている。

杉皮と竹

屋根は杉皮を重ねて葺き、竹で押さえてある。瓦でも板でもない。そのうえ、垂木は一軒の疎垂木で間隔を空けて並べ、その上の杉皮を下から見せる。裏板を張らず、葺き材そのものを天井として扱う手法である。かがんで見上げると、杉皮の繊維の流れが見える。

桟唐戸

扉は両開きの桟唐戸で、框と桟を組んで面を構成する形式である。禅宗の寺院建築から広まった造りで、住宅の庭門に使われると軽やかな印象になる。開いたときの薄さと、閉じたときの格子の陰影の差が大きい。

見学方法とアクセス

旧石原家住宅庭門は個人が受け継ぐ屋敷の内側にあり、通常は公開されていない。庭に面しているため、道路からは見えない位置にある。年に一度、秋に愛知県内の登録有形文化財が一斉に公開される「あいちのたてもの博覧会」に合わせて所有者が催しを開き、その日に敷地へ入ることができる。令和7年(2025年)は11月8日に「夜まで文化財」と題した催しが開かれた。

公開日は毎年変わる。所有者の公式サイトが例年9月ごろに更新されるので、そこで日程を確かめてほしい。年によっては所有者や専門家による建物解説が定員つきの予約制で行われる。庭まで立ち入れるかどうかは公開の形式によって変わるため、当日の案内に従うことになる。

最寄り駅は名鉄名古屋本線の東岡崎駅で、北へおよそ1.1キロ、徒歩15分ほど。岡崎城のある岡崎公園からは東へ約1キロである。撮影の可否は公開ごとに所有者が案内する。公開日以外は私有地に立ち入らないでほしい。

Q&A

Q旧石原家住宅庭門は見学できますか。公開日はいつですか。
A通常は非公開で、庭に面しているため道路からも見えません。毎年秋の「あいちのたてもの博覧会」に合わせて所有者が催しを開き、その日に敷地へ入れます。令和7年(2025年)は11月8日でした。日程は所有者の公式サイトで確認してください。
Q旧石原家住宅庭門はいつ建てられたのですか。
A昭和前期の建築と推定されています。同じ屋敷地の主屋と土蔵は安政6年(1859年)の建築なので、庭門はおよそ70年後に加えられたことになります。昭和53年(1978年)に改修を受けています。
Q旧石原家住宅庭門の大きさと構造は。
A間口0.91メートル、910ミリの木造の門です。屋根は杉皮葺で竹によって押さえられ、六角形断面の本柱2本と自然木の控え柱で支えられています。扉は両開きの桟唐戸です。
Q旧石原家住宅庭門はどの制度で保護されていますか。
A平成23年(2011年)7月25日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。登録番号は23-0340、種別は「その他工作物」です。主屋と土蔵も同じ日に登録されています。
Q旧石原家住宅庭門へのアクセスは。最寄り駅からどのくらいですか。
A名鉄名古屋本線の東岡崎駅から北へ約1.1キロ、徒歩15分ほどです。所在地は岡崎市六供町字杉本70。岡崎城のある岡崎公園からは東へ約1キロです。

基本情報

名称旧石原家住宅庭門
所在地愛知県岡崎市六供町字杉本70
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成23年(2011年)
員数1棟
寸法間口0.91メートル、木造、杉皮葺
所有者有限会社いしはら
公開状況通常非公開。毎秋の特別公開日のみ公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 旧石原家住宅庭門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008703
文化遺産オンライン 旧石原家住宅庭門
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/161314
岡崎市 国登録:建造物 旧石原家住宅主屋・土蔵・庭門
https://www.city.okazaki.lg.jp/bunka/torikumi_bunka/1004568/1004592/1004595/1004613.html
文化財ナビ愛知 旧石原家住宅庭門
https://jmapps.ne.jp/aichi_bunkazai/det.html?data_id=2152
国登録有形文化財「旧石原家住宅」(所有者公式サイト)
https://www.orieotsuji.com/%E6%97%A7%E7%9F%B3%E5%8E%9F%E5%AE%B6%E4%BD%8F%E5%AE%85/

最終更新日: 2026.08.30