柿葺とは
柿葺は、薄く割った木の板を重ねて葺く屋根である。板の厚さは数ミリで、檜皮葺と同じように竹釘で留めながら少しずつずらして重ねる。
社殿に用いられる。滋賀県の杉尾神社本殿は宝永4年の建築で、構造及び形式等欄に「木造平屋建、柿葺、建築面積2.4㎡」と記録されている。島根県の美保神社拝殿は大正13年の建築で、「木造平屋建、杮葺、建築面積203㎡」と記される。小さな社殿にも大きな拝殿にも用いられている。
数寄屋造の建物では他の葺材と組み合わされる。京都府の大河内山荘大乗閣は昭和16年の建築で、「木造平屋建、檜皮葺一部茅葺・柿葺及び瓦葺」と記録されている。同じ山荘の滴水庵は明治期の建築で、「木造平屋建、茅葺一部瓦葺及び柿葺」と記される。
一棟のなかで檜皮葺、茅葺、柿葺、瓦葺が併存する記録は、屋根の部分ごとに材を変える数寄屋の手法を示している。
表記と見分け方
文化庁の記録には柿葺と杮葺の両方が現れる。柿は果物のカキと同じ字、杮は木偏に市の字で、本来は後者が正しいとされるが、両方が使われている。記事に書くときは引用する記録の表記に合わせるのが確実である。
檜皮葺との違いは材にある。檜皮葺が樹皮を重ねるのに対し、柿葺は割った板を重ねる。軒先の断面は、檜皮葺が繊維状の層に見え、柿葺は薄い板の層に見える。
現地では軒先を横から見るとよい。薄い板が幾重にも重なり、木目が見えていれば柿葺である。屋根面はなめらかで、瓦のような凹凸はない。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)杉尾神社本殿/木造平屋建、柿葺、建築面積2.4㎡
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003246
- 国指定文化財等データベース(文化庁)美保神社拝殿/木造平屋建、杮葺、建築面積203㎡
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014293
- 国指定文化財等データベース(文化庁)大河内山荘大乗閣/檜皮葺一部茅葺・柿葺及び瓦葺
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003266
- 国指定文化財等データベース(文化庁)大河内山荘滴水庵/茅葺一部瓦葺及び柿葺
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003267
最終更新: 2026.09.02