茅葺とは
茅葺は、ススキやヨシなどの草を厚く重ねて葺く屋根である。茅は特定の植物名ではなく、屋根を葺くのに用いる草の総称にあたる。
民家に広く用いられた。奈良県の南家住宅主屋は江戸後期の建築で明治45年に手が加えられており、構造及び形式等欄に「木造平屋建、茅葺(鉄板仮葺)一部瓦葺、建築面積145㎡」と記録されている。香川県の鳥取家住宅主屋も明治前期の建築で、「木造平屋建、茅葺(鉄板仮葺)一部瓦葺、建築面積139㎡」と記される。
寺院にも用いられる。長野県の明徳寺本堂は正徳3年の建築で、「木造平屋建、茅葺(鉄板仮葺)、建築面積276㎡」と記録されている。
茶室でも選ばれる。京都府の田村家住宅茶室任無亭は江戸末期の建築で、「木造平屋建、宝形造茅葺及び桟瓦葺」と記録されている。
鉄板仮葺という記載
上の三例に共通して現れる「鉄板仮葺」は、本来の茅葺の上を鉄板で仮に覆っている状態を示す。茅は一定の年数ごとに葺き替えを要し、材料の茅場と職人の確保が難しくなったことから、この状態で維持されている例が多い。
記録が茅葺と書きつつ括弧で鉄板仮葺を添えるのは、屋根の形式と現状を区別して示すためである。形式としては茅葺だが、いま見えているのは鉄板であることになる。
記事に書くときは、この区別を落とさないようにしたい。写真の見た目と記録の記載が食い違う場合、記録が形式を、写真が現状を示していることが多い。檜皮葺でも「板葺銅板仮葺」のような仮葺の記載が現れ、屋根の材が当初のままとは限らない点は共通している。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)南家住宅主屋/木造平屋建、茅葺(鉄板仮葺)一部瓦葺
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014074
- 国指定文化財等データベース(文化庁)明徳寺本堂/木造平屋建、茅葺(鉄板仮葺)、建築面積276㎡
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014155
- 国指定文化財等データベース(文化庁)田村家住宅茶室任無亭/貴人口、躙口上部は下地窓、給仕口、水屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009338
最終更新: 2026.09.02