宮津から運ばれた木造の法廷

明治村宮津裁判所法廷は、愛知県犬山市の博物館明治村にある明治19年(1886年)建築の法廷棟で、平成16年(2004年)に国の登録有形文化財となった。

もとは京都府宮津市本町に建っていた。宮津は若狭湾の西寄り、天橋立を望む港町で、丹後一帯の行政の中心だった土地である。裁判所は左右対称のH形の平面をもつ建物で、その片翼の一部が犬山へ移されている。博物館明治村は、移築されたのは右翼部だと説明している。

建物が宮津で解体されたのは昭和44年(1969年)、明治村で組み直されたのは昭和52年(1977年)である。部材が保管されたまま8年が過ぎた計算になる。

建築面積は211平方メートル。裁判所全体から見れば一部にすぎないが、法廷そのものは天井が高く、床に立つと数字以上の広がりを感じる。

明治村宮津裁判所法廷が登録された理由

登録の理由は、和風の構法の上に洋風の意匠を必要な箇所だけ載せた、その配分にある。登録基準は「造形の規範となっているもの」、登録番号は23-0117で、登録有形文化財としての登録は平成16年(2004年)2月17日付である。

明治の初め、上級の裁判所は煉瓦造の洋風建築で建てられることが多かった。宮津裁判所はそうではない。木造平屋建で、屋根は入母屋造桟瓦葺。外壁は隅柱を見せた漆喰塗で、腰まわりは竪羽目の板を張る。素材の扱いも見え方も、在来の建物のものである。

洋風が現れるのは基礎と入口である。切石を積んだ基礎の上に建ち、法廷の入口はアーチを描く。国の制度が西洋から入ってきたのに対し、それを収める建物は地元の大工が扱える技術で建てられた。その折り合いの付け方が、この建物の残された価値になっている。

明治村宮津裁判所法廷の見どころ

建物を巡る吹き放ちの庇

外に立つと、まず庇が目に入る。壁を立てずに柱だけで支える吹き放ちの庇が建物を巡り、その下に影の帯ができている。軒下にはガラス入りの高窓が並ぶ。人の目線より上に開けられた窓で、外から法廷の中は見えず、光だけが落ちてくる。裁判を公開しながら、往来からは切り離すという当時の考え方が、窓の高さに出ている。

一段高く据えられた裁判官席

内部に入ると、床の高さが二段に分かれているのが分かる。法廷でも検事調所でも、裁判官席は一段高い。天井を高く取ったうえで、裁判官・検事・書記を非常に高い上段に、被告人と弁護人を下段に置く。今の法廷で弁護人が検察官と同じ高さに座るのとは、部屋の作り方からして違う。

明治村宮津裁判所法廷では、人形のジオラマを使って法廷の場面が再現されている。誰がどこに座り、誰が誰を見下ろす配置だったのかが、図面よりも早く飲み込める。

和と洋の継ぎ目を探す

切石の基礎、入口のアーチ、ガラスの入った高窓。洋風の要素はこの三つに集約されている。逆にいえば、それ以外は瓦であり漆喰であり板張りである。どこまでが在来で、どこから先が輸入された形なのか、境目を探しながら一周すると、建物の作り手が何を選び何を選ばなかったかが見えてくる。

明治村宮津裁判所法廷の見学方法とアクセス

明治村宮津裁判所法廷は博物館明治村の展示建造物で、村内5丁目63番地に建つ。個別の拝観料はなく、明治村の入村チケットで見学する。内部は公開されており、法廷の再現展示まで見ることができる。ただし村内には安全のため立ち入りを制限している箇所があり、修理のために見学できない期間が生じることもある。

入村料は大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生が700円、未就学児は無料である(2026年9月時点)。20名以上の団体料金、年間パスポートにあたる明治村住民登録もある。支払いはクレジットカードや交通系ICカードにも対応する。

開村時間は月によって変わる。4月から7月と9月・10月、それに3月は午前9時30分から午後5時まで。8月は午前10時から午後5時まで、11月は午前9時30分から午後4時まで(土曜・休日は午後5時まで)、12月から2月は午前10時から午後4時まで。入村は閉村の30分前で締め切られる。休村日が不定期に設定されるので、公式サイトの開村日カレンダーを確認してから出かけたい。

個人で楽しむための撮影に許可は要らない。建物内での三脚の使用と、山林に立ち入っての撮影は禁止されている。法廷の再現展示は室内が暗めなので、三脚に頼らない構えを用意しておくとよい。

公共交通機関では、名鉄犬山駅東口から明治村行きのバスに乗る。名古屋駅と栄駅からも直通バスがある。車なら中央自動車道小牧東ICから3キロメートルで、明治村北口の外に駐車場(普通車1,000円)がある。5丁目は北口に近い側なので、車で来た人は早い段階でこの建物に行き当たる。すぐ北隣には明治村名鉄岩倉変電所が建っている。

Q&A

Q明治村宮津裁判所法廷は内部を見学できますか。
A内部は公開されています。人形のジオラマによる法廷の再現展示があり、裁判官席と被告人席の高低差をその場で確かめられます。安全確保や修理のため、一部が見学できない場合があります。
Q明治村宮津裁判所法廷を見学するのに料金はいくらかかりますか。
A個別の見学料はなく、博物館明治村の入村料に含まれます。入村料は大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生が700円、未就学児は無料です(2026年9月時点)。
Q明治村宮津裁判所法廷はもともとどこに建っていたのですか。
A京都府宮津市本町です。昭和44年(1969年)に解体され、昭和52年(1977年)に博物館明治村へ移築されました。
Q明治村宮津裁判所法廷は裁判所の建物全体が移築されているのですか。
A全体ではありません。裁判所はH形平面の建物で、そのうち片翼の一部が移されています。博物館明治村はこの部分を右翼部と説明しています。
Q明治村宮津裁判所法廷は写真を撮ってもよいですか。
A個人で楽しむための撮影に許可は不要です。建物内での三脚の使用と、山林に立ち入っての撮影は禁止されています。

基本情報

名称明治村宮津裁判所法廷
所在地愛知県犬山市内山1 博物館明治村内
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成16年(2004年)登録
員数1棟
寸法建築面積211平方メートル、木造平屋建
所有者公益財団法人明治村
公開状況公開。博物館明治村の展示建造物として内部を見学できる

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 明治村宮津裁判所法廷
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003883
文化遺産オンライン 明治村宮津裁判所法廷
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/183793
博物館明治村 宮津裁判所法廷
https://www.meijimura.com/sight/%E5%AE%AE%E6%B4%A5%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80%E6%B3%95%E5%BB%B7/
博物館明治村 開村時間・休村日
https://www.meijimura.com/guide/open/
博物館明治村 チケット・料金
https://www.meijimura.com/guide/price/
博物館明治村 アクセス
https://www.meijimura.com/guide/access/

最終更新日: 2026.09.03