電車に電気を送るための建物
明治村名鉄岩倉変電所は、愛知県犬山市の博物館明治村にある明治45年(1912年)建築の変電所で、平成16年(2004年)に国の登録有形文化財となった。
建っていたのは愛知県岩倉市である。名古屋電気鉄道が名古屋市内で電車を走らせ始めたのは明治31年(1898年)で、その後この会社は尾張の平野へ路線を延ばしていった。博物館明治村は、犬山線の開通に合わせてこの岩倉変電所が建てられたと説明している。送電線から受けた電気を電車が使える形に変えて架線へ送る、路線を動かすための設備だった。
役目を終えた建物は昭和49年(1974年)に解体され、翌昭和50年(1975年)に明治村へ移された。建築面積は151平方メートル。平屋だが、内部に大きな変電用の機械を収めるため、天井までが高く取ってある。
明治村名鉄岩倉変電所が登録された理由
登録基準は「造形の規範となっているもの」、登録番号は23-0120で、登録有形文化財としての登録は平成16年(2004年)2月17日付である。評価されているのは、機械を収める箱としての必要が、そのまま形に出ている点にある。
当初は煉瓦造の平屋建だった。屋根は天然スレートを葺いた切妻造で、両側の妻壁を屋根より高く立ち上げる。四隅にはバットレスと呼ばれる控壁が付く。開口部は大きめの要石を飾った半円アーチで、欄間は方立で3つに分けられている。小屋組は木造のクイーンポストトラスである。
ただし、いま建っているものと当初のものは同じではない。文化庁の国指定文化財等データベースは、移築の際に主構造を鉄筋コンクリート造に改め、外に煉瓦タイルを貼ったと記している。煉瓦造の建物としての形と意匠は引き継がれたが、壁を組んでいた煉瓦そのものは構造材ではなくなった。登録有形文化財として守られているのが何であるかを考えるうえで、この建物は分かりやすい例になっている。
明治村名鉄岩倉変電所の見どころ
背面に集められたレンガの意匠
正面ではなく、裏へ回ってほしい。背面だけは他の三面と扱いが違い、半円アーチ、円弧アーチ、柱型、壁面の凹みと、煉瓦の積み方を変えた表現が並んでいる。装飾のための装飾ではない。この面に碍子が取り付けられ、ここから架線へ電気が送り出されていた。設備がいちばん集まる面が、いちばん手の込んだ面になっている。
縦長の窓と褐色の帯
側面には背の高い縦長の窓が並ぶ。上げ下げの建具が入り、その上に半円形の欄間が載る。壁面には褐色の煉瓦が上下4段の帯となって走り、赤い壁面に水平の線を引いている。窓は明治村5丁目の景色を切り取る額縁にもなっていて、内から外を見るとまた印象が変わる。
見上げるクイーンポストトラス
内部に天井は張られていない。小屋裏をあらわしにしているので、木造のクイーンポストトラスがそのまま見える。対になった束が水平材を吊り、真ん中に広い空間を空ける構造で、大きな機械を置くために床面を柱で塞ぎたくないという事情がここに出ている。明治村名鉄岩倉変電所の内部で最も見応えのある部分は、床でも壁でもなく頭上にある。
明治村名鉄岩倉変電所の見学方法とアクセス
明治村名鉄岩倉変電所は博物館明治村の展示建造物で、村内5丁目66番地にある。建物ごとの見学料はなく、入村チケットで見て回る形である。安全のため立ち入りを制限している箇所が村内にはあり、修理の都合で見学できない時期が生じることもある。
入村料は大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生が700円で、未就学児は無料(2026年9月時点)。20名以上には団体料金があり、年間パスポートにあたる明治村住民登録も用意されている。
開村時間は季節で動く。4月から7月、9月・10月、3月は午前9時30分から午後5時まで。8月は午前10時から午後5時まで、11月は午前9時30分から午後4時まで(土曜・休日は午後5時まで)、12月から2月は午前10時から午後4時まで。入村受付は閉村の30分前に終わる。休村日は不定期なので、出発前に公式サイトの開村日カレンダーを見ておきたい。
撮影は個人利用なら自由である。ただし建物内での三脚使用は禁止で、山林に立ち入っての撮影もできない。背面の煉瓦装飾を撮るなら、光の回る時間帯を選ぶほうがよい。
名鉄犬山駅東口から明治村行きのバスが出ている。名古屋駅と栄駅からの直通バスもある。車では中央自動車道小牧東ICから3キロメートル、駐車場は明治村北口の外にあり普通車1,000円である。5丁目は北口側に位置するので、北口から入ると早い段階でたどり着く。村内は坂が多く、停留所を回る村営バスを使うと移動が楽になる。
Q&A
- 明治村名鉄岩倉変電所は内部を見学できますか。
- 内部は公開されています。天井を張らずに小屋裏をあらわしているため、木造クイーンポストトラスの小屋組を見上げることができます。安全確保や修理のため一部が見学できない場合があります。
- 明治村名鉄岩倉変電所はもともと何に使われていた建物ですか。
- 名古屋電気鉄道の変電所です。送電線から受けた電気を電車が使える形に変えて架線へ送る施設で、愛知県岩倉市に建っていました。
- 明治村名鉄岩倉変電所は今も煉瓦造なのですか。
- 当初は煉瓦造でしたが、文化庁のデータベースによれば、移築の際に主構造が鉄筋コンクリート造に改められ、外側に煉瓦タイルが貼られています。外観の意匠は当初の姿を引き継いでいます。
- 明治村名鉄岩倉変電所を見学するのに料金はいくらかかりますか。
- 個別の見学料はなく、博物館明治村の入村料に含まれます。大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生が700円、未就学児は無料です(2026年9月時点)。
- 明治村名鉄岩倉変電所はいつ明治村へ移されたのですか。
- 昭和49年(1974年)に岩倉で解体され、昭和50年(1975年)に博物館明治村へ移築されました。
基本情報
| 名称 | 明治村名鉄岩倉変電所 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県犬山市内山1 博物館明治村内 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成16年(2004年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積151平方メートル、鉄筋コンクリート造平屋建 |
| 所有者 | 公益財団法人明治村 |
| 公開状況 | 公開。博物館明治村の展示建造物として内部を見学できる |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 明治村名鉄岩倉変電所
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003886
- 文化遺産オンライン 明治村名鉄岩倉変電所
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/180106
- 博物館明治村 名鉄岩倉変電所
- https://www.meijimura.com/sight/%E5%90%8D%E9%89%84%E5%B2%A9%E5%80%89%E5%A4%89%E9%9B%BB%E6%89%80/
- 博物館明治村 開村時間・休村日
- https://www.meijimura.com/guide/open/
- 博物館明治村 チケット・料金
- https://www.meijimura.com/guide/price/
- 博物館明治村 アクセス
- https://www.meijimura.com/guide/access/
最終更新日: 2026.09.03