鬼瓦とは
鬼瓦は、棟の端に据える装飾瓦である。棟の納まりを覆って雨仕舞いを助けるとともに、屋根の輪郭をしめくくる位置にあたる。
瓦葺の屋根であれば、桟瓦葺でも本瓦葺でも用いられる。滋賀県の西福寺本堂は文久2年の建築で、「江戸時代末期に建てられた入母屋造、本瓦葺の浄土宗本堂。鬼瓦には慶応元年(1865)の銘がある」と解説されている。
この一文には、鬼瓦を扱ううえで重要な情報が二つ含まれている。ひとつは、鬼瓦に製作年などの銘が入る場合があること。もうひとつは、その年が建物の建築年と一致するとは限らないことである。
西福寺本堂の場合、記録上の年代は文久2年(1862)で、鬼瓦の銘は慶応元年(1865)にあたる。両者には3年の開きがある。
屋根の年代と本体の年代
屋根は葺材の寿命に応じて葺き替えられる部分であり、その年代が建物本体の年代と一致しない例は珍しくない。鬼瓦の銘は、屋根に手が加えられた時期を示す資料として読むのが確実である。
同じように年代を示す資料として棟札がある。棟札は附として本体と併せて指定されることがあり、土蔵造の蔵などでは上棟年を確かめる手がかりになる。鬼瓦の銘も棟札も、建物のどの部分の年代を語っているのかを確かめて引く必要がある。
現地では棟の両端を見上げるとよい。大棟の端のほか、降り棟の先端にも据えられる。銘は瓦の裏面や側面に刻まれることが多く、地上から読み取れるとは限らないため、記録や調査報告に当たることになる。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)西福寺本堂/鬼瓦に慶応元年の銘、外陣と内陣・両脇陣をとる平面
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003104
- 国指定文化財等データベース(文化庁)髙祖神社本殿(附 棟札6枚)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005500
- 国指定文化財等データベース(文化庁)国宝・重要文化財(建造物)分類別一覧
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/categorylist?register_id=102
最終更新: 2026.08.30