棟札とは

棟札は、上棟の際に棟に納める木札である。建築の年月や施主、関与した大工の名などが記され、建物の来歴を確かめる資料になる。

年代の根拠として引かれる。岩手県の佐藤家住宅新蔵は大正11年の建築で、「切妻造妻入、2階建の土蔵造で、棟札から上棟年がわかる」と解説されている。

大工の名が判明する例も多い。新潟県の吉田家住宅主屋は明治16年の建築で、「街道に北妻面を見せたアズマダチ風民家で…棟札から『工匠若木善次郎』が判明する」と解説されている。山梨県の村松家住宅主屋は慶応元年の建築で、「棟札から棟梁『若林駕蔵』脇棟梁『長澤彦右衛門』らが判明」と解説されている。

建築の事情まで分かることがある。新潟県の益甚酒店主屋及び酒蔵は明治25年の建築で、「主屋は棟札から棟梁は稲垣源太郎で、明治25年の大火直後の建築であることが知られる」と解説されている。年代、大工、建築の契機の三つが一枚の札から読み取られている。

附として指定されること

棟札は本体と切り離せない資料であるため、として本体と併せて指定されることがある。福岡県の髙祖神社本殿は令和5年9月25日に重要文化財に指定された三間社流造檜皮葺の建物で、本体の員数は1棟、これに附として棟札6枚が指定されている。

この場合、附の員数は本体とは別に記録される。棟札6枚を本体の1棟に足すことはしない。

年代を示す資料としては鬼瓦の銘もある。ただし屋根は葺き替えられる部分であるため、鬼瓦の銘が示すのは屋根に手が加えられた時期にあたる。棟札が上棟の時期を示すのとは意味が違うので、どちらの資料に基づく年代なのかを確かめて引く必要がある。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
国指定文化財等データベース(文化庁)佐藤家住宅新蔵/切妻造・妻入、2階建の土蔵造
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003025
国指定文化財等データベース(文化庁)吉田家住宅主屋/棟札から「工匠若木善次郎」が判明する
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003075
国指定文化財等データベース(文化庁)村松家住宅主屋/2階開口部の枠取は蔵建設に伴う曳家時の改装か
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003084
国指定文化財等データベース(文化庁)益甚酒店主屋及び酒蔵/棟札から棟梁と明治25年大火直後の建築であることが知られる
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003079
国指定文化財等データベース(文化庁)髙祖神社本殿(附 棟札6枚)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005500

最終更新: 2026.08.31