天保14年、本堂の東に建つ住まいの棟
龍泉寺庫裏は、愛知県新城市出沢にある天保14年(1843年)建立の建物で、平成25年(2013年)12月24日に登録有形文化財(建造物)に登録された。庫裏は寺の台所と住居にあたる建物で、本堂の東に南北方向の棟を向けて建ち、平成19年(2007年)に改修を受けている。
屋根は切妻造の桟瓦葺。壁は漆喰仕上げの真壁で、柱や梁を外に見せている。木造の平屋建だが一部が二階建で、建築面積は148平方メートルある。龍泉寺の5件の登録建造物のなかでは、いちばん床面積が大きい。
建築年代は棟札によって確認されている。文政3年(1820年)の本堂が完成してから23年後、江戸時代も終わりに近い時期の普請である。
地方の禅院の庫裏として
龍泉寺庫裏の登録番号は23-0388、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。国宝や重要文化財の指定ではなく、平成8年(1996年)に始まった登録の制度にもとづく。
文化庁の解説は、この建物が伽藍景観の一角を担うと同時に、江戸時代末期の地方における禅院の庫裏の一例を示すものだと述べている。都市の大寺院ではなく、山あいの寺で僧がどう暮らし、どう食事をつくっていたかが平面に残っている点に価値が置かれている。
同じ日に本堂、開山堂及び位牌堂、観音堂及び御茶堂、鐘楼も登録された。5件のうち、生活の場そのものを伝えているのは龍泉寺庫裏だけである。
大黒柱を境に、居間と台所
本堂との間には南を向いた玄関と二室が置かれ、そこを介して庫裏が接続する。庫裏の中央には太い大黒柱が立ち、この柱を境に建物の性格が分かれる。北側には四室が並び、新城市は玄関側とあわせて和室が6部屋あるとしている。
南側はかつて土間だった区画で、いまは調理場などが置かれている。この調理場は現在では床が張られて土間から独立しているが、平面の形と天井の形状から、もとは土間の一部だったことが読み取れる。改造されてもなお元の姿がわかるという点が、この建物の見どころである。
庫裏は寺の裏方であり、本堂のような彫刻や荘厳はない。それでも大黒柱の太さや、天井の高い土間まわりの構えを見れば、これが日々の煮炊きと接客を支えてきた建物だとわかる。装飾のなさが、かえって用途をはっきり伝えている。
訪ねるには
龍泉寺庫裏は現在も寺の生活と寺務の場であり、住居として使われている部分がある。拝観時間や拝観料は公表されておらず(2026年9月時点)、観光施設としての受け入れ体制はない。境内から外観を見ることはできるが、内部の見学や撮影は原則として難しいと考えたほうがよい。希望する場合は必ず事前に寺へ連絡すること。
公共交通ではJR飯田線の大海駅が最寄りになる。駅から北西へ道のりで約2.7キロ、徒歩でおよそ35分。列車の本数が限られるので、時刻を調べてから向かいたい。車では新東名高速道路の新城インターチェンジから約7キロ、10分ほどである。
登録の内容や年代についての問い合わせは、新城市教育部歴史文化課(電話0536-23-7610)でも受け付けている。
Q&A
- 龍泉寺庫裏はいつ建てられましたか。
- 天保14年(1843年)の建立で、棟札から年代が確認されています。平成19年(2007年)に改修され、平成25年(2013年)12月24日に登録有形文化財(建造物)に登録されました。登録番号は23-0388です。
- 庫裏とはどのような建物ですか。龍泉寺庫裏には何がありますか。
- 庫裏は寺の台所と住居にあたる建物です。龍泉寺庫裏は中央の大黒柱の北側に四室が並び、南側のかつて土間だった区画に調理場などが置かれています。
- 龍泉寺庫裏は見学できますか。拝観料はかかりますか。
- 拝観時間・拝観料の公表はありません(2026年9月時点)。庫裏は住居として使われている部分があるため、内部の見学は原則として難しく、希望する場合は事前に寺へ連絡してください。
- 龍泉寺庫裏は本堂とつながっていますか。
- つながっています。本堂の東に南北方向の棟で建ち、本堂との間に南向きの玄関と二室を置いて接続しています。
- 龍泉寺庫裏へのアクセスは。
- JR飯田線の大海駅から北西へ道のり約2.7キロ、徒歩でおよそ35分です。車では新東名高速道路の新城インターチェンジから約7キロ、10分ほどです。
基本情報
| 名称 | 龍泉寺庫裏 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県新城市出沢字的場田30・31合併地1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成25年(2013年)12月24日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積148平方メートル、木造平屋建(一部二階建) |
| 所有者 | 宗教法人龍泉寺 |
| 公開状況 | 拝観時間・拝観料の公表なし。内部は非公開 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 龍泉寺庫裏(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009767
- 龍泉寺本堂ほか(新城市)
- https://www.city.shinshiro.lg.jp/kanko/minzokugeino/ryusenji.html
- 国登録文化財一覧(新城市)
- https://www.city.shinshiro.lg.jp/kanko/bunkazai/kunitoroku.html
最終更新日: 2026.09.03