1箇の土偶 ― 2007年に国宝

土偶/北海道函館市著保内野遺跡出土は、函館市臼尻町551-1にある縄文時代の考古資料で、1979年(昭和54年)6月6日に重要文化財となり、2007年(平成19年)6月8日に国宝に指定された。員数は1箇、所有は函館市である。

重要文化財から国宝まで28年が経っている。土偶/青森県八戸市風張1遺跡出土は1997年の重要文化財から2009年の国宝まで12年だった。

2007年6月8日の国宝は、ここまで扱った物件のなかで新しい部類にあたる。

立つ形をしているが、自立しない

土偶/北海道函館市著保内野遺跡出土の形についての記述に、そのままでは両立しないことが並ぶ。

肩部は左右に大きく張り、胴部は括れ両足を併行して立つ形状であるが自立しない、とある。

両足を並べて立つ形になっている。しかし、置いても立たない。

形が示していることと、実際にできることが違う。

白描絵料紙理趣経では、目鼻が描かれていないことが目無経という名になった。金剛峯寺不動堂では、高欄のない縁が構造の記述に入っていた。無いことが書かれる例である。

本件は、有る形と無い機能が一文のなかで並んでいる。記録は理由を説明していない。

足についても、膝下部で両足を筒で連結する、とある。二本の足が筒でつながっている。

市が所有する土偶が、二件目になる

土偶/北海道函館市著保内野遺跡出土の所有者の欄は函館市とする。

土偶/青森県八戸市風張1遺跡出土の所有は八戸市だった。市が所有する国宝は、これで二件目になる。

どちらも土偶で、どちらも市の所有である。員数の単位もどちらも箇である。

古今和歌集巻第廿(高野切本)は高知県の所有で、都道府県の例だった。自治体が所有する国宝は、これで三件目になる。

発見の経緯も似ている。本件は、本土偶は亀田半島北部で、昭和50年すなわち1975年に、畑の耕作中に発見されたものである、とされる。

風張1遺跡の土偶は、長芋作付けによる緊急発掘調査で出土した。二件とも、畑の仕事のなかで見つかっている。

内部が空である

土偶/北海道函館市著保内野遺跡出土の作り方についても記される。

いわゆる中空土偶であり、頂部に小突起をもつ、とある。

中空は内部が空であることをいう。土を丸ごと固めたものではない。

風張1遺跡の土偶は、四つの部位に割れたものが天然のアスファルトで接着修復されていた。あちらは割れた跡が残る。

本件については、破損や修理の記述がない。内部が空であることと、頂部に小さな突起があることが記される。

宝相華蒔絵経箱では、蓋の裏まで文様が描かれていた。見えない部分にも作りが及ぶ例はあるが、本件は見えない部分が空であることが特徴として挙げられている。

鑑賞

所在は函館市臼尻町551-1で、所有は函館市である。市の施設で保管されている。

年代は縄文とのみ記され、細かい時期の区分は示されていない。風張1遺跡の土偶は縄文時代後期後半とされていた。

寸法の記載もない。風張1遺跡の土偶は所蔵館が高さ19.8センチメートルなどと示していたが、本件については文化庁の記録に寸法が現れない。

関連作品には、土偶/山形県西ノ前遺跡出土、土偶/長野県中ッ原遺跡出土、土偶/青森県有戸鳥井平4遺跡出土といった名が並ぶ。いずれも出土地を名に含む形式である。

展示の予定は変わることがあるため、訪問前に施設の案内で確認したい。

Q&A

Qこの土偶はいつ指定されましたか。
A1979年(昭和54年)6月6日に重要文化財、2007年(平成19年)6月8日に国宝へ指定されました。あいだは28年で、員数は1箇、所有は函館市です。
Q立たせることはできますか。
Aできません。文化庁は「胴部は括れ両足を併行して立つ形状であるが自立しない」と記します。立つ形をしていながら、置いても立たない状態です。
Qどのように作られているのですか。
A文化庁は「いわゆる中空土偶であり、頂部に小突起をもつ」と記します。中空は内部が空であることをいい、土を丸ごと固めたものではありません。
Qどのように見つかったのですか。
A文化庁は「亀田半島北部で、昭和50年すなわち1975年に、畑の耕作中に発見された」と記します。青森県八戸市の土偶も長芋作付けによる発掘で出土しており、二件とも畑の仕事で見つかっています。
Q誰が所有しているのですか。
A函館市です。青森県八戸市の土偶に続いて、市が国宝を所有する二件目にあたります。高知県が所有する古今和歌集巻第廿を含めると、自治体が所有する国宝は三件目です。

基本情報

名称土偶/北海道函館市著保内野遺跡出土(どぐう/ほっかいどうはこだてしちょぼないのいせきしゅつど)
所在地函館市臼尻町551-1
指定区分国宝(考古資料)
指定年1979年(昭和54年)6月6日 重要文化財/2007年(平成19年)6月8日 国宝
員数1箇
寸法文化庁の記録に寸法の記載はない。中空土偶で頂部に小突起をもち、肩部は左右に大きく張る。両足を併行して立つ形状だが自立せず、膝下部で両足を筒で連結する。時代は縄文
所有者函館市
公開状況市の施設で保管されている。展示の予定は変わることがある

参考文献

文化遺産オンライン 土偶/北海道函館市著保内野遺跡出土
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/213229
函館市 公式サイト
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/
北海道・北東北の縄文遺跡群
https://jomon-japan.jp/
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.06