10棟の施設 ― 2022年に重要文化財

ニッカウヰスキー余市蒸溜所施設は、北海道余市郡余市町黒川町7丁目6番地1にある昭和時代の建造物で、2022年(令和4年)2月9日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。所有はニッカウヰスキー株式会社である。

指定されたのは10棟である。事務所棟、蒸溜棟、貯蔵棟、リキュール工場、第一乾燥塔、第二乾燥塔、研究室・居宅、旧事務所、第一貯蔵庫、第二貯蔵庫である。

2022年2月9日は、霧島神宮の本殿・幣殿・拝殿が国宝に指定された日と同じである。同じ日に、一方は国宝、他方は重要文化財となっている。

年代が棟ごとに違い、しかも「頃」が付く

建てられた年が、一つに揃っていない。

蒸溜棟の年代の欄は昭和/1935年頃とされる。

事務所棟の年代の欄は昭和/1942年頃である。

七年の開きがあり、どちらにも頃が付いている。正確な年ではなく、おおよその年として記されている。

神戸女学院では、12棟のいずれも1933年とされていた。八ツ沢発電所施設でも、年代の欄は1912年で揃っていた。

本件は棟ごとに違い、かつ概数である。数字も全角で書かれている。

工程の全段階が、一連で残る

評価の理由が、作る手順の並びにある。

文化庁は、原材料の加工から仕込み、発酵、濾過、蒸溜、貯蔵まで、昭和十年代に建設された我が国最初期のウイスキー製造にかかわる施設が一連で残されている、と記す。

加工、仕込み、発酵、濾過、蒸溜、貯蔵の六つの段階が挙げられる。そのすべてに対応する施設が残っている。

八ツ沢発電所施設では、取水口から隧道、水路橋、調整池まで水の道筋に沿って構造物が並んでいた。あちらは水の流れである。

本件は原料が製品になるまでの工程である。順に並んだものが揃って残っていることが、価値の理由として述べられている。

結びは、北海道における近代産業遺産として歴史的に価値が高い、とされる。

分散した建物を、外観で揃えている

建物がばらばらに建ちながら、見た目でまとめられている。

ヨーロッパ中世の城砦をイメージさせる事務所棟の正門や、赤いとんがり屋根と石造の外壁が特徴的な乾燥塔や貯蔵庫、ドイツ壁仕上げの木造洋館など、とある。

続けて、敷地内に分散する施設群を、調和のとれた外観で整えることも特筆される、とされる。

分散しているという条件のうえで、外観の調和が評価されている。

神戸女学院では、外観をスパニッシュ・ミッション風に統一しながらも個性を持たせる、とされていた。あちらは統一と個性の両立である。

本件は、離れて建つものを揃えることが評価されている。城砦風、赤い尖り屋根、ドイツ壁と、挙げられる意匠は一つではない。

見学

所在は北海道余市郡余市町黒川町7丁目6番地1で、所有はニッカウヰスキー株式会社である。

構造も棟ごとに違う。事務所棟は木骨石造、建築面積883.51平方メートル、一部二階、鉄板葺である。

蒸溜棟は鉄骨造一部木骨石造、建築面積541.93平方メートル、鉄板葺とされる。石と木、鉄骨と木骨石造が混ざっている。

八ツ沢発電所施設は電力会社、神戸女学院は学校法人の所有だった。本件は株式会社の所有で、現に操業している施設である。

創業者についても、日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝が創業したウイスキー蒸溜施設、と記される。稼働中の工場であるため、見学は所有者の定めによる。訪問前に確認したい。

Q&A

Q余市蒸溜所施設はいつ指定されましたか。
A2022年(令和4年)2月9日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、10棟が対象です。所有はニッカウヰスキー株式会社です。
Qいつ建てられたのですか。
A棟によって違います。蒸溜棟は1935年頃、事務所棟は1942年頃とされ、いずれも「頃」が付いた概数です。7年の開きがあります。
Qどの建物が含まれるのですか。
A事務所棟、蒸溜棟、貯蔵棟、リキュール工場、第一乾燥塔、第二乾燥塔、研究室・居宅、旧事務所、第一貯蔵庫、第二貯蔵庫の10棟です。
Q何が評価されているのですか。
A文化庁は「原材料の加工から仕込み、発酵、濾過、蒸溜、貯蔵まで…施設が一連で残されている」と、工程の全段階が揃って残っていることを挙げます。
Q建物の外観に特徴はありますか。
A文化庁は城砦を思わせる正門、赤いとんがり屋根と石造の外壁、ドイツ壁仕上げの木造洋館を挙げ、「敷地内に分散する施設群を、調和のとれた外観で整える」と記します。

基本情報

名称ニッカウヰスキー余市蒸溜所施設(にっかういすきーよいちじょうりゅうしょしせつ)/10棟が個別に記録され、同じ解説文を共有する
所在地北海道余市郡余市町黒川町7丁目6番地1
指定区分重要文化財(建造物)/国宝ではない
指定年2022年(令和4年)2月9日 重要文化財
員数10棟
寸法事務所棟は木骨石造、建築面積883.51平方メートル、一部2階、鉄板葺。蒸溜棟は鉄骨造一部木骨石造、建築面積541.93平方メートル、鉄板葺。年代の欄は棟ごとに異なり、蒸溜棟は1935年頃、事務所棟は1942年頃とされる。時代は昭和
所有者ニッカウヰスキー株式会社
公開状況稼働中の工場で、見学は所有者の定めによる

参考文献

文化遺産オンライン ニッカウヰスキー余市蒸溜所施設 事務所棟
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/557185
文化遺産オンライン ニッカウヰスキー余市蒸溜所施設 蒸溜棟
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/586796
ニッカウヰスキー 余市蒸溜所
https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.06

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