大正11年築の講堂 ― 1998年に登録

愛媛大学附属中学校講堂(旧旧制松山高等学校講堂)は、愛媛県松山市持田町1-5-22にある建物で、1998年(平成10年)9月2日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1棟、構造は木造2階建、建築面積501平方メートル。所有は国立大学法人愛媛大学である。

文化庁は年代を大正/1922とする。松山市は、大正8年(1919年)に設立された旧制松山高等学校の講堂で、章光堂と呼ばれていたと記す。

松山市はまた、松山市内では初めて、国の登録有形文化財登録原簿に登載されたと記す。市内で最初の登録物件にあたる。

「定型的であるが」という評価

文化庁の解説は、二段構えになっている。

文部省営繕による直轄学校の講堂建築。文部技師の鳥海他郎の設計と推定される。2階にギャラリーを設けるなど設備面では定型的であるが、外見はドイツ下見により穏健なルネサンス風に仕上げ、トスカナ式オーダーの大きな車寄に特徴をもたせている。

「定型的であるが」と一度認めたうえで、外見に特徴を見ている。内部の設備は当時の講堂の標準的な作りであり、区別されるのは外観だという評価である。

文部省営繕による直轄学校の建築であるから、同じ系統の講堂が全国にある。そのなかで何が違うかを述べるのが、この解説の構成になっている。

設計者については「鳥海他郎の設計と推定される」と記される。断定ではなく推定である。

外観の三つの要素

文化庁が挙げる外観の特徴は三つである。ドイツ下見、穏健なルネサンス風、トスカナ式オーダーの大きな車寄。

ドイツ下見は下見板の張り方の一種で、松山市は「横目地になっている」と説明する。板の重なりが水平の線として現れる張り方である。

車寄はトスカナ式オーダーによる。松山市はトスカナ様式の8本の円柱からなる車寄せと、左右対称に設けられた塔で正面が飾られていると記す。トスカナ式は古典建築のオーダーのなかで最も簡素なものにあたる。

「穏健な」という語が文化庁の評価に添えられている。ルネサンス風でありながら、装飾を抑えた仕上げということである。トスカナ式という簡素なオーダーの選択も、これに対応する。

松山市は、外壁に縦長の上げ下げ式窓が整然と並ぶとも記す。

内部は吹き抜けとギャラリー

松山市は内部を具体的に記す。1階は8.5メートルの吹き抜けとなっており、コの字型の2階ギャラリーは20本の白い柱で支えられ、手摺りと相俟って見事な幾何学模様をなしている。

吹き抜けが8.5メートル、その周囲にコの字型のギャラリーが巡る。20本の柱と手摺りが繰り返しの形をつくる構成である。

文化庁が「2階にギャラリーを設けるなど設備面では定型的」とするのは、この構成が当時の講堂に共通することを指す。松山市が見どころとする部分を、文化庁は定型的と位置づけている。

用途は三度変わっている。旧制松山高等学校の講堂として建てられ、昭和25年(1950年)に新制愛媛大学文理学部の講堂、昭和38年(1963年)に附属中学校の講堂となった。建物は動かず、所属する学校が変わってきた。

見学

松山市は、現在も入学式・卒業式・音楽会等の学校行事に使用されていると記す。現役の講堂である。

学校の施設であるから、見学のための施設ではない。内部を見られるかどうかは学校の運用による。訪問を希望する場合は事前に問い合わせたい。

外観は屋外から見られる。トスカナ様式の8本の円柱による車寄せと左右対称の塔が正面の見どころで、外壁のドイツ下見と縦長の上げ下げ式窓も外から確かめられる。

所在は愛媛県松山市持田町1-5-22である。

Q&A

Qこの講堂はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
A文化庁は年代を大正/1922とします。1998年(平成10年)9月2日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1棟、木造2階建、建築面積501平方メートル、所有は国立大学法人愛媛大学です。
Qどのような点が評価されているのですか。
A文化庁は「2階にギャラリーを設けるなど設備面では定型的であるが、外見はドイツ下見により穏健なルネサンス風に仕上げ、トスカナ式オーダーの大きな車寄に特徴をもたせている」と記します。定型的であると認めたうえで、外見に特徴を見ています。
Q設計者は誰ですか。
A文化庁は「文部技師の鳥海他郎の設計と推定される」と記します。断定ではなく推定です。文部省営繕による直轄学校の講堂建築であるため、同じ系統の講堂が全国にあります。
Q内部はどうなっていますか。
A松山市は、1階が8.5メートルの吹き抜けで、コの字型の2階ギャラリーが20本の白い柱で支えられ、手摺りと相俟って幾何学模様をなしていると記します。文化庁はこの構成を定型的と位置づけています。
Q見学できますか。
A現在も入学式・卒業式・音楽会等の学校行事に使用されている現役の講堂です。学校の施設であり見学のための施設ではないため、内部を見られるかどうかは学校の運用によります。外観は屋外から見られます。

基本情報

名称愛媛大学附属中学校講堂(旧旧制松山高等学校講堂)(えひめだいがくふぞくちゅうがっこうこうどう)/章光堂と呼ばれていた
所在地愛媛県松山市持田町1-5-22
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年1998年(平成10年)9月2日 登録
員数1棟
寸法木造2階建、建築面積501平方メートル。外壁はドイツ下見板張りで縦長の上げ下げ式窓が並び、正面はトスカナ様式の8本の円柱による車寄せと左右対称の塔。下階は8.5メートルの吹き抜けで、コの字型の2階ギャラリーを20本の柱が支える。1922年
所有者国立大学法人愛媛大学
公開状況現役の講堂。学校行事に使用されており、内部を見られるかは学校の運用による

参考文献

文化遺産オンライン 愛媛大学附属中学校講堂(旧旧制松山高等学校講堂)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/176966
松山市 愛媛大学附属中学校講堂(旧 旧制松山高等学校講堂)
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/kankoguide/rekishibunka/bunkazai/kunitouroku/fuzokuchuu_koudou.html
愛媛大学 公式サイト
https://www.ehime-u.ac.jp/
文化庁 登録有形文化財(建造物)の制度
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/

最終更新日: 2026.09.04