1棟の土蔵 ― 2000年に登録有形文化財
行形亭土蔵は、新潟県新潟市中央区西大畑町573にある昭和時代の建造物で、2000年(平成12年)4月28日に登録有形文化財(建造物)となった。指定された文化財ではなく、登録された文化財である。
員数は1棟である。ふりがなの欄は、いきなりやどぞうである。行形亭を「いきなりや」と読む。
構造は木造2階建、瓦葺、建築面積59平方メートルとされる。所有は株式会社行形亭である。
評価が、親しまれていることである
選ばれた理由が、人々の受け止めに置かれている。
文化庁は、前面道路から見る黒板塀と黒松越しの土蔵は新潟の風情を表す代表的景観として親しまれている、と結ぶ。
建物そのものの出来ではなく、道から見た眺めと、それが親しまれていることが述べられている。
大笹原神社本殿では傑作の一、専修寺御影堂では指標とされた。久米寺多宝塔では、型どおりであるが均衡がよいとされた。いずれも作りの評価である。
黒漆螺鈿礼盤では用途への適合、若戸大橋では技術者の協同作業が挙げられた。
本件は、見られ方が理由になっている。登録基準に国土の歴史的景観に寄与しているものとある制度に、この書き方はよく合う。評価の言い方として8型目にあたる。
年代が、他の棟を基準に決められている
いつ建てられたかが、別の建物との関係で示される。
文化庁は、離れ座敷と同時期に建設される、と書き出す。
この土蔵だけを見て年を決めるのではなく、同じ敷地の別の棟と同じ時期だ、という書き方になる。年代の欄は昭和前、西暦は1928年である。
盛安寺客殿では、周辺の西教寺や聖衆来迎寺客殿との比較から年代が導かれた。あちらは他の寺の建物との比較である。
本件は同じ敷地のなかでの比較になる。離れ座敷も登録有形文化財であり、基準にした建物自体が記録に載っている。
二階堂家住宅では、おもてとなかえで年が90年違った。あちらは棟ごとに別々の年が与えられている。本件は他の棟と同じ年に置かれている。
同じ料亭で、10棟が登録されている
一つの敷地に、登録された建物が並ぶ。
文化遺産オンラインの関連作品には、行形亭主屋、離れ座敷、湯殿、寿の間・二番の間、三番の間、九番の間、表門、裏門、中門及び塀が挙がる。
本件を含めて10棟になる。座敷は部屋ごとに別の登録になっており、門は表門、裏門、中門と三つに分かれる。
春日神社申殿では、同じ神社の拝殿、神楽殿、神門、鐘楼、本殿、西門、籠り屋、摂社が関連作品に挙がっていた。あちらは神社の境内である。
本件は料亭の敷地である。旧小西家住宅や福田家住宅では、主屋と蔵がまとめて一つの物件だった。
ここでは棟ごと、部屋ごとに別の登録になっている。数え方が細かく分かれる例になる。
見学
所在は新潟県新潟市中央区西大畑町573で、所有は株式会社行形亭である。八ツ沢発電所施設、ニッカウヰスキー余市蒸溜所施設、旧小西家住宅、旧集成館機械工場に続く、株式会社が所有する5件目になる。
構造も細かく記される。置屋根型式の桟瓦葺で、2階床部まで腰板が張られ、その上部を漆喰仕上げとする、とされる。
置屋根は、土蔵の上に別に屋根を架ける作りをいう。腰板は下部に張る板で、その上が漆喰になる。
装飾もある。道路側の妻面には鶴の鏝絵が施される、とされる。福田家住宅でも要所を海鼠壁や鏝絵で飾るとされていた。
営業している料亭の建物であり、外観は前面道路から見ることができる。内部の見学については店の定めによる。訪問前に確認したい。
Q&A
- 行形亭はどう読みますか。
- いきなりやです。文化遺産オンラインのふりがなの欄は「いきなりやどぞう」で、店の公式サイトも同じ読みを用いています。
- いつ登録されましたか。
- 2000年(平成12年)4月28日に登録有形文化財(建造物)となりました。指定ではなく登録です。
- 何が評価されているのですか。
- 文化庁は「前面道路から見る黒板塀と黒松越しの土蔵は新潟の風情を表す代表的景観として親しまれている」と記します。眺めと、それが親しまれていることが理由です。
- いつ建てられたのですか。
- 年代の欄は昭和前、西暦は1928年です。文化庁は「離れ座敷と同時期に建設される」と、同じ敷地の別の棟を基準に述べます。
- 他にも登録された建物がありますか。
- あります。主屋、離れ座敷、湯殿、三つの座敷、三つの門と塀が挙がり、本件を含めて10棟になります。
基本情報
| 名称 | 行形亭土蔵(いきなりやどぞう) |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県新潟市中央区西大畑町573 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物・近代その他)/指定ではなく登録/同じ敷地に10棟が登録 |
| 指定年 | 2000年(平成12年)4月28日 登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、瓦葺、建築面積59平方メートル。置屋根型式の桟瓦葺で、2階床部まで腰板が張られ、その上部を漆喰仕上げとする。道路側の妻面には鶴の鏝絵が施される。年代の欄は昭和前、西暦は1928年で、離れ座敷と同時期の建設とされる |
| 所有者 | 株式会社行形亭 |
| 公開状況 | 営業している料亭の建物で、外観は前面道路から見ることができる |
参考文献
- 文化遺産オンライン 行形亭土蔵
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/186320
- 日本料理 行形亭
- https://www.ikinariya.co.jp/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
- 新潟市
- https://www.city.niigata.lg.jp/
最終更新日: 2026.09.10