控えめに引かれた境界
中門とそれに続く塀は、離れ座敷の庭を囲み、土蔵と向かい合って立つ。昭和3年(1928年)の建築で、敷地の外縁ではなく、内側の境を画する。その仕事ぶりは、肩の力を抜いたような軽やかさを見せる。
中門の間口は四尺五寸、およそ1.4メートル。棟木は自然木でそのまま支える。屋根は木羽葺、すなわち薄い木の割板を重ねた葺き方で、門扉は網代戸とする。これらが合わさって、瀟洒な印象を与える。
全体を結ぶ塀
門脇の塀は、腰壁を板張りとし、上部を漆喰塗りとする。この二段の構成が、隣り合う土蔵の壁面と無理なく調和する。塀は障壁を誇示するのではなく、離れ座敷の表玄関へと向かう通路を形づくり、線を引くと同時に人の動きを導いている。
平成12年(2000年)、中門及び塀は一体で登録番号15-0065として登録有形文化財となった。同年に登録された行形亭10棟の一つである。基準は多くの棟と同じく「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
庭のなかでの位置
行形亭では、敷地中央の池付の庭を囲むように各建物が配され、門・塀・廊下が別々の座敷を一つの構成へと結んでいる。中門は、その配置のなかの小さな要である。離れ座敷を囲む一画と、鶴の鏝絵をもつ土蔵とが接する地点にあたる。
他の部分と同じく、この一画も営業中の料亭に属し、予約した食事の客が体験する。目を向ける者には、中門はこの家がどれほど丁寧に中間の空間を扱ったかを示す。庭のある部分から次の部分へと移る、その継ぎ目の造作である。
Q&A
- 中門は何を仕切っていますか。
- 離れ座敷の庭を囲み、土蔵と向かい合って、離れ座敷の表玄関へ向かう通路を形づくります。敷地内側の境界です。
- 屋根は何でできていますか。
- 薄い木の割板を重ねた木羽葺です。門扉は網代に編んだ網代戸です。
- 門と塀がなぜ一件として登録されているのですか。
- 昭和3年に一体の境界の造作として設計・施工されたため、登録番号15-0065として一括で登録されています。
- 中門を見られますか。
- 営業中の料亭の敷地内にあり、予約した食事の客が見ることになります。一般の見学順路ではありません。
基本情報
| 名称 | 行形亭中門及び塀(いきなりやちゅうもんおよびへい) |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県新潟市中央区西大畑町573 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(2000年登録/登録番号 15-0065) |
| 時代 | 昭和3年(1928年) |
| 構造・形式 | 木造、木羽葺、間口約1.4メートル |
| 員数 | 1棟(中門及び塀) |
| 所有者 | 株式会社行形亭 |
| 公開 | 営業中の料亭の敷地内。食事の客が見学 |
References
- 国指定文化財等データベース — 行形亭中門及び塀
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001593
- 行形亭 公式サイト
- https://www.ikinariya.co.jp/
- 新潟観光コンベンション協会 — 行形亭
- https://www.nvcb.or.jp/topics/ikinariya
最終更新日: 2026.07.09