文保2年建立の楼門 ― 1952年に国宝

石手寺二王門は、愛媛県松山市石手2丁目9-21の石手寺にある楼門で、1952年(昭和27年)11月22日に国宝に指定された。それに先立つ1907年(明治40年)5月27日には重要文化財となっている。員数は1棟、所有は石手寺である。

松山市の記録によれば、この二王門は『伊予古蹟志』に、河野通継が文保2年(1318年)に建立したとの記事が見られる。建立の年と施主が文献に記されているが、記事の出所は後世の地誌である。

構造及び形式は三間一戸楼門、屋根は入母屋造、二軒、本瓦葺で、二階の床は張らない。楼門でありながら二階に床がないという点が、この建物の特徴の一つにあたる。

三手先で二重に受ける

松山市の解説は組物の構成を具体的に記す。建築様式は和様で、円柱上の三手先の腰組で回縁を支え、軒も同様に三手先で受けられる。

三手先は、組物が三段に前へ出る形式をいう。下では回縁を、上では軒を、いずれも三手先で受けている。二階建ての楼門で、支える対象が二つあることに対応した構成である。

中備は組物と組物の間に置く部材をいう。正面と背面には蟇股を、側面には間斗束を置く。軒の中備はすべて間斗束となる。面によって中備を使い分けている。

蟇股は輪郭が蛙の股のように開く部材、間斗束は角材に斗を載せた部材である。前者は装飾性が高く、後者は簡素である。人の目に触れる正面と背面に蟇股、側面に間斗束という配分になる。

評価は蟇股に集まる

松山市の解説は、この門をこう評する。軒の反りや張りをはじめ、建物全体の均整はよく、全国の楼門の中でも屈指の優れた作品と評価され、なかんずくその蟇股は、鎌倉期の特徴を備えた傑作との名声を博している。

「なかんずく」という語が、評価の重心を蟇股に置いている。建物全体の均整が高く評価されたうえで、その中でも蟇股が特に挙げられている。

蟇股は正面と背面の腰組の中備にある。二階の縁の下、目線より上の位置に置かれる部材である。門をくぐる際に見上げれば確かめられる。

文保2年(1318年)は鎌倉時代の末にあたる。松山市が「鎌倉期の特徴を備えた」とするのは、この年代と様式が合致することを指す。

安置される像は別の扱いである

門の左右室には、運慶一門の作と伝えられる金剛力士の立像が安置される。

「伝えられる」という書き方は、作者が確定していないことを示す。松山市も断定していない。運慶一門の作とする説がある、という段階にとどまる。

像は建物とは別の枠組みで扱われる。国宝に指定されているのは門であって、像ではない。旧来の記述に両者を一体で語るものが見られるが、区分は分けて理解したい。

石手寺は真言宗豊山派の古刹で、四国八十八か所51番札所である。寺伝によれば聖武天皇の神亀5年(728年)に勅宣によって大領の越智玉澄が伽藍を創建したという。この創建の伝えと、門の建立年(1318年)は約590年隔たる。

参拝

二王門は石手寺の入口に建ち、境内へ入る際にくぐることになる。境内の参拝は自由である。

四国八十八か所の札所であるため、遍路の参拝が日常的にある。観光の場である前に、参拝の場であることを踏まえて訪ねたい。

門は屋外にあり、いつでも外観を見られる。三手先の腰組と蟇股は、門の下から見上げると確かめやすい。

交通は伊予鉄道の道後温泉駅から徒歩約15分である。

Q&A

Q石手寺二王門はいつ建てられ、いつ国宝に指定されましたか。
A松山市によれば『伊予古蹟志』に、河野通継が文保2年(1318年)に建立したとの記事が見られます。1907年(明治40年)5月27日に重要文化財、1952年(昭和27年)11月22日に国宝へ指定されました。員数は1棟、所有は石手寺です。
Qどのような構造ですか。
A三間一戸楼門、屋根は入母屋造、二軒、本瓦葺で、二階の床は張りません。建築様式は和様で、円柱上の三手先の腰組で回縁を支え、軒も同様に三手先で受けます。下では回縁を、上では軒を、いずれも三手先で受ける構成です。
Q何が最も評価されているのですか。
A松山市は、軒の反りや張りをはじめ建物全体の均整がよく全国の楼門の中でも屈指の優れた作品とし、「なかんずくその蟇股は、鎌倉期の特徴を備えた傑作との名声を博している」と記します。評価の重心が蟇股に置かれています。
Q門の中の像も指定されていますか。
A門の左右室に運慶一門の作と伝えられる金剛力士の立像が安置されますが、国宝に指定されているのは門であって像ではありません。「伝えられる」という書き方は作者が確定していないことを示し、松山市も断定していません。
Q石手寺二王門は見られますか。
A石手寺の入口に建ち、境内へ入る際にくぐることになります。境内の参拝は自由で、門は屋外にあるためいつでも外観を見られます。四国八十八か所51番札所で遍路の参拝が日常的にあるため、参拝の場であることを踏まえて訪ねてください。

基本情報

名称石手寺二王門(いしてじにおうもん)
所在地愛媛県松山市石手2丁目9-21 石手寺
指定区分国宝(建造物)
指定年1907年(明治40年)5月27日 重要文化財/1952年(昭和27年)11月22日 国宝
員数1棟
寸法3間1戸の楼門、入母屋造、二軒、本瓦葺で、上階の床は張らない。和様で円柱上の3手先の腰組が回縁を支え、軒も3手先で受ける。中備は正面と背面が蟇股、側面が間斗束。1318年建立と伝える
所有者石手寺
公開状況境内の参拝は自由。門は屋外にありいつでも外観を見られる

参考文献

最終更新日: 2026.09.04