振り鳴らす古い法具

鐃は、千葉県銚子市馬場町の円福寺が所有する平安時代初期とされる法具で、昭和34年(1959年)6月27日に国の重要文化財に指定された。読みは「にょう」。現在は奈良国立博物館が保管している。

千葉県の解説によれば、鐃は奈良時代に中国から伝えられた楽器の一つで、密教系の法具と考えられている。柄の下の丸くふくらんだ部分を鈴部といい、中に鈴子(玉)を入れて、柄を持って振り鳴らす。

金剛鈴のもとになった楽器

密教の儀式で使う鈴としては金剛鈴が一般的である。千葉県は、鐃をその金剛鈴のもとになった楽器とも考えられるとし、奈良時代から使われた最も古い法具の一種と位置づけている。

類例はきわめて少ない。千葉県は同じ種類の品として、日光の二荒山神社の出土品、奈良の東大寺と茨城の鹿島神宮の所蔵品を挙げている。関東の寺に伝わった古代の法具として、円福寺の鐃は貴重な一例である。

三鈷の柄と花弁の鈴部

全長は20.3センチ。鈴部には大小2枚ずつの丸い花弁が表され、柄の上部は先が三つに分かれた三鈷の形になっている。制作年代ははっきりしないが、千葉県は平安時代の初期と考えている。

鈴部の半面には横6センチほどの亀裂があり、ゆがんで口が開いたために、中の鈴子は失われている。音を出す道具としての役目は終えているが、形は古代の法具の姿をよく残している。

円福寺の宝物となったのは江戸時代にさかのぼるとみられる。天保2年(1831年)の地元・飯沼村の名主の日記には、この鐃を代官に見せたことが記されている。

見学について

千葉県によれば、鐃は奈良国立博物館が保管しており、所有者の円福寺で見ることはできない。展示される機会は限られるので、予定は奈良国立博物館の公式サイトで確かめたい。

奈良国立博物館は奈良市登大路町50にあり、近鉄奈良駅から歩いて約15分である。所有者の円福寺は銚子市馬場町293-1にある。

Q&A

Q鐃はどこで見られますか。
A奈良国立博物館が保管しており、円福寺では見られません。展示の予定は奈良国立博物館の公式サイトで確認してください。
Q鐃とはどのような道具ですか。
A奈良時代に中国から伝わった楽器の一つで、密教系の法具と考えられています。鈴部に入れた鈴子を、柄を持って振り鳴らします。
Q鐃はいつ作られたのですか。
A制作年代ははっきりしませんが、千葉県は平安時代の初期と考えています。
Q鐃の大きさは。
A全長20.3センチです。柄の上部は三鈷の形で、鈴部には花弁が表されています。
Q鐃はいつ重要文化財になったのですか。
A昭和34年(1959年)6月27日に国の重要文化財(工芸品)に指定されました。

基本データ

名称鐃(にょう)
所在地千葉県銚子市馬場町293-1(円福寺)。奈良国立博物館保管
指定区分重要文化財(工芸品)
指定年昭和34年(1959年)6月27日指定
員数1口
寸法全長20.3センチメートル
所有者円福寺
公開状況奈良国立博物館保管(展示は不定期)

参考文献

最終更新日: 2026.09.26