郡山の善導寺とはどんな寺か

善導寺は、福島県郡山市清水台一丁目にある浄土宗の寺院で、天正7年(1579年)の創建と伝わり、境内の本堂・庫裡・鐘楼の3件が国の登録有形文化財となっている。本堂と庫裡は平成13年(2001年)、鐘楼は平成27年(2015年)の登録である。

山号を光明山、院号を悟真院という。善導寺という寺名は福岡県久留米市など各地に見られるため、このサイトでは郡山の寺を「善導寺(郡山市)」と市名を添えて表記している。

建物名の書き方にも揺れがある。文化庁のデータベースと浄土宗の寺院検索は「庫裡」、郡山市の文化財目録は「庫裏」と書く。読みはどちらも「くり」である。

善導寺の創建と、火災・戦火からの再建

浄土宗の寺院検索によると、善導寺を開いたのは良吸(良岌とも書く)という僧である。下野国大沢(いまの栃木県益子町)にあった浄土宗名越派の本山、円通寺の第15世良信の弟子で、天正7年に郡山で寺を興した。

江戸時代の後期から明治にかけて、善導寺は何度も建物を失っている。同じ資料によれば、文化4年(1807年)に類焼し、建て直した伽藍も慶応4年(1868年)の戊辰戦争の兵火で焼けた。郡山市の文化財目録は、この焼失を明治元年(1868年)8月14日のこととしている。明治18年(1885年)には中町の西裏、現在のみずほ銀行の裏手あたりから現在地へ移ったが、明治33年(1900年)にふたたび火災に遭った。

いまの本堂はこの火災のあとに建てられたもので、明治42年(1909年)に上棟し、大正2年(1913年)に落慶した。鐘楼は昭和33年(1958年)の再建である。平成13年(2001年)からは伽藍を整える事業が進められ、同じ年に地蔵堂が建ち、平成15年(2003年)にすべての工事を終えた。

本尊は阿弥陀如来坐像である。寺は平安時代後期(院政期)の定朝様の像と伝え、明治期に高村光雲の高弟、山本瑞雲が修復したとする。台座と光背は、京都の法界寺の阿弥陀如来坐像にならったものと寺は推測している。

善導寺の登録有形文化財3件

善導寺の3件はいずれも登録有形文化財(建造物)で、登録基準はそろって「造形の規範となっているもの」である。登録は2回に分かれている。

  • 本堂:明治42年(1909年)上棟。木造平屋建、瓦葺、建築面積322平方メートル。平成13年(2001年)11月20日登録、登録番号07-0061
  • 庫裡:明治16年(1883年)の建築。木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積282平方メートル。本堂と同じ日の登録で、登録番号07-0062
  • 鐘楼:昭和33年(1958年)の建築。木造、瓦葺、面積14平方メートル。平成27年(2015年)8月4日登録、登録番号07-0161

いちばん古いのは庫裡で、いちばん新しいのは鐘楼である。戊辰戦争後の再興から戦後の再建まで、およそ75年のあいだに建った3棟が並び、明治の寺の住まい、明治末の名工の本堂、昭和の技術者が古代の形を借りて設計した鐘楼と、建て方の違いを一つの境内で見比べられる。

善導寺の境内を歩く順序

善導寺の境内の中心には本堂が建つ。文化庁の解説によれば、庫裡は本堂の北側に廊下でつながって建ち、入母屋造の東の妻面を正面にしている。鐘楼は境内の東方にある。地図上では、3棟は互いに40メートルほどの範囲に収まる。

まず本堂の正面に立ち、向拝と大屋根を見る。そこから北へ回り、庫裡を東側から眺めると、妻面と2階の窓が正面に来る。最後に東の鐘楼へ向かい、高欄を回した縁と太い円柱を近くで見上げれば、3件をひととおり見たことになる。

境内には登録された3件のほかに地蔵堂がある。郡山市観光協会によれば、本堂の右脇には江戸時代に徳川家の帰依を受けた祐天上人の名号(南無阿弥陀佛)碑、地蔵堂の右脇には令和2年(2020年)に再建された松尾芭蕉の句碑「帷子塚(かたびらづか)」が立つ。

善導寺の年中行事と季節の花

浄土宗の寺院検索が挙げる善導寺の年中行事は、元日の修正会、5月14日の御忌会、9月14日の施餓鬼会、春と秋の彼岸会、大晦日の除夜の鐘である。

郡山市観光協会は、境内の花として二つを紹介している。一つは緑色の花を付ける桜の御衣黄で、4月下旬から5月初旬が見頃である。もう一つは蓮で、7月初旬から9月初旬まで本堂のまわりで咲く。

善導寺への行き方と拝観の心得

善導寺は郡山の市街地にあり、JR郡山駅から歩いて10〜12分ほどで着く。郡山市の文化財目録は徒歩10分、郡山市観光協会は徒歩12分と案内している。浄土宗の寺院検索には、参拝・拝観用の駐車場として普通車10台、バス1台の記載がある。

同じ資料は善導寺を「拝観可」とし、団体参拝の受け入れと外国語での対応も可能としている。ただし拝観時間や拝観料は公表されておらず、2026年10月の時点で堂内の特別公開の案内も確認できなかった。善導寺は墓地を持ち、法要が営まれる寺である。境内を歩くときは法要の妨げにならない時間を選び、堂内に上がりたい場合は寺(電話024-922-0517)に問い合わせたい。写真は建物の外観にとどめ、法要の最中は撮影を控えるのがよい。

参考文献

国指定文化財等データベース「善導寺本堂」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002506
国指定文化財等データベース「善導寺庫裡」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002507
国指定文化財等データベース「善導寺鐘楼」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010557
文化遺産オンライン「善導寺本堂」(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/178726
郡山市の文化財「134.善導寺庫裏」(郡山市デジタルアーカイブ)
https://adeac.jp/koriyama-city/text-list/d200010/ht001340
善導寺(浄土宗 寺院検索)
https://otera.jodo.or.jp/temple/08-071/
善導寺(郡山市観光協会)
https://www.kanko-koriyama.gr.jp/tourism/detail7-1-396.html

最終更新日: 2026.10.07

基本情報

名称善導寺(郡山市)
所在地福島県郡山市清水台1-1-23
所有者宗教法人善導寺
指定登録有形文化財 3件
座標37.39707, 140.38195