役場から資料館へ
旧群南村役場庁舎(高崎市歴史民俗資料館)は、群馬県高崎市上滝町にある昭和33年(1958年)建築の木造2階建庁舎で、令和2年(2020年)8月17日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。
群南村は長いあいだ自前の庁舎を持たなかった。事務は旧京ヶ島村役場(現在の高崎市島野町)を借りて執っており、上滝町のこの地に庁舎を新築したのが昭和33年である。ところが役場として使われた期間は7年しかない。昭和40年(1965年)に群南村は高崎市と合併し、建物は高崎市群南支所および公民館へと役割を変えた。昭和53年(1978年)10月1日からは高崎市歴史民俗資料館として使われている。
役場、支所、資料館。ひとつの建物が三つの役目を担い、三番目がもっとも長く続いている。
なぜ木造であることが評価されたのか
昭和30年代の後半、全国の自治体は庁舎や学校を鉄筋コンクリート造で建て始めていた。群南村はその流れに乗らず、木造を選んだ。登録の理由はその選択にある。高崎市は、木造の庁舎で現存するものが県内でも少なくなっていること、そして改修が少ないことをあわせて、当時の木造役場庁舎の姿を知るうえで貴重だと説明している。
文化庁の記載を整理しておく。木造2階建、寄棟造の屋根に桟瓦を葺き、建築面積は452平方メートル。南面には玄関ポーチが張り出し、北面の東寄りには平屋部分が付属する。外壁はモルタル塗のリシン仕上で、この時期の公共建築によく用いられた仕上げだが、当初のまま残る例は年々減っている。
内部の構成は、小さな自治体の役場らしい理屈で組まれている。1階が事務室、2階が議場。南面は柱間いっぱいに開口を取っており、光が窓際にたまらず室の奥まで届く。暖房の乏しい時代の会議室を思えば、この設計の意味は察しがつく。
昭和43年(1968年)に増築、昭和53年に資料館へ転用する際の改修を経ているが、内部の残りは良い。登録番号は10-0345である。
見学のしかたと展示
資料館は入館無料、開館時間は午前9時から午後4時まで。休館日は月曜日、祝日の翌日、年末年始である。やむを得ない事情で臨時休館する場合があるため、遠方から訪ねるなら電話(027-352-1261)で開館状況を確かめておきたい。駐車場は普通車30台分あり、大型バスも停められる。
展示を見る前に、まず建物を見てほしい。玄関ポーチ、玄関ホールの漆喰塗の壁と階段、2階南面に連なる開口部は、それぞれ数分立ち止まる価値がある。資料館側も、外観と内観そのものを見学対象として案内しており、昭和33年の竣工当時の外観写真と現在の姿を並べて掲示している。
収蔵資料は高崎市内を中心とした江戸から明治・大正・昭和にかけての生活用具で、点数は2万点を超える。展示はケースに並べる方式ではなく、部屋そのものを再現する。「はたおりの部屋」「だがし屋」「いろりの部屋」「昔の教室」「暮らしの部屋」といった具合だ。昭和40年代の二槽式洗濯機や病院の診察室の再現が、より古い民具よりも来館者の反応を呼ぶことも多い。企画展は年に2回から3回開かれる。
JR高崎駅西口から群馬中央バスの県立女子大学行きに乗り、「慈眼寺裏」で下車して徒歩2分。車なら関越自動車道の高崎インターチェンジから約5分である。
ひとつだけ足を延ばしたい場所がある。資料館から歩いて5分の元島名将軍塚古墳は、4世紀前半に築造された前方後方墳で、群馬県内でも最古級の古墳のひとつに数えられる。古墳の周囲に駐車場はないので、車は資料館に置いていくとよい。館内には墳丘の模型が展示されており、これを見てから現地に立つと形が読み取りやすい。
Q&A
- 旧群南村役場庁舎(高崎市歴史民俗資料館)の開館時間と入館料を教えてください。
- 開館時間は午前9時から午後4時まで、入館料は無料です。休館日は月曜日、祝日の翌日、年末年始です。臨時休館の場合があるため、遠方からお越しの際は電話(027-352-1261)で確認することをおすすめします。
- 高崎駅から高崎市歴史民俗資料館へのアクセス方法は。
- JR高崎駅西口から群馬中央バスの県立女子大学行きに乗車し、「慈眼寺裏」下車、徒歩2分です。車の場合は関越自動車道高崎インターチェンジから約5分、普通車30台分の駐車場があります。
- 旧群南村役場庁舎が登録有形文化財になった理由は何ですか。
- 鉄筋コンクリート造の庁舎が建てられ始めた昭和33年に、あえて木造で建築された点が評価されました。県内で現存する木造庁舎は少なく、この建物は改修も少ないため、当時の木造役場庁舎の様相を知る好例として「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準で登録されています。
- 旧群南村役場庁舎の議場だった部屋は見学できますか。
- 2階が村議会の議場として使われていた部分で、現在は資料館の展示空間になっています。柱間いっぱいに開口を取った南面の窓など、建築そのものも見学の対象として案内されています。
- 高崎市歴史民俗資料館の近くに立ち寄れる場所はありますか。
- 徒歩5分の場所に元島名将軍塚古墳があります。4世紀前半築造の前方後方墳で、県内最古級の古墳のひとつです。古墳の周囲には駐車場がないため、資料館の駐車場をご利用ください。
基本情報
| 名称 | 旧群南村役場庁舎(高崎市歴史民俗資料館)(きゅうぐんなんむらやくばちょうしゃ) |
|---|---|
| 所在地 | 群馬県高崎市上滝町字西久保1058 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号 10-0345 |
| 指定年 | 令和2年(2020年)8月17日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、瓦葺、建築面積452平方メートル。昭和33年建築、昭和43年増築、昭和53年改修 |
| 所有者 | 高崎市 |
| 公開状況 | 高崎市歴史民俗資料館として公開。午前9時から午後4時、入館無料。月曜・祝日の翌日・年末年始休館 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) — 旧群南村役場庁舎(高崎市歴史民俗資料館)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013347
- 文化遺産オンライン — 旧群南村役場庁舎(高崎市歴史民俗資料館)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/414055
- 高崎市 — 高崎市歴史民俗資料館
- https://www.city.takasaki.gunma.jp/site/cultural-assets/3496.html
- 高崎市文化財情報 — 旧群南村役場庁舎(高崎市歴史民俗資料館)
- https://www.city.takasaki.gunma.jp/site/cultural-assets/2502.html
最終更新日: 2026.08.08