列車の用材を乾かすための建物

旭川市市民活動交流センター市民活動支援棟(旧国鉄旭川車両センター木機乾燥場)は、北海道旭川市宮前一条三丁目に建つ明治32年(1899年)竣工の煉瓦造建築で、平成27年(2015年)11月17日に国の登録有形文化財に登録された。隣接するホール棟とあわせ、市民には「CoCoDe(ココデ)」の愛称で知られている。

明治期の鉄道車両は、台枠から内装、窓枠に至るまで木材への依存度が高かった。伐り出したばかりの材をそのまま加工すれば、車両として走り出したあとで反りや狂いが出る。含水率を落としてから木工に回す工程が要る。その工程のためだけに建てられたのが木機乾燥場である。

平面はほぼ正方形。建築面積331平方メートル、2階建で、屋根は金属板葺。壁体は煉瓦造で、平成22年(2010年)の改修時に鉄筋コンクリートによる補強が加えられた。装飾を誇る建物ではなく、内部で起きる作業の都合が形を決めている。

官設鉄道上川線の開通に合わせて整備された旭川の工場は、明治13年(1880年)から同35年(1902年)にかけて道内各地に設けられた鉄道工場群の一つにあたる。設計には土木技術者の田辺朔郎が関わったと伝わるが、この点は文化庁のデータベースに記載がなく、後年の資料に基づく。

登録の理由と、この建物の価値

登録は平成27年11月17日、登録番号01-0143、第82回の登録によるもので、登録基準は「造形の規範となっているもの」。所有者は旭川市である。

その判断を支えているのが煉瓦の積み方と開口部の意匠だ。外壁はフランス積で、一段のなかに長手と小口を交互に並べる。作業場に使うだけならイギリス積や長手積で足りるところに、手間のかかる積み方を選んでいる。両妻面の中央には三中心アーチが開く。半円ではなく、三つの中心から弧を描いて扁平にまとめたアーチである。他の開口には、さらに扁平な欠円アーチを充てて格を分けた。

ペディメントと隅柱には焼過煉瓦が用いられている。窯の高温部で焼き締まり、表面が硬く黒みを帯びた煉瓦で、赤い壁面のなかで装飾の線だけが濃く浮かぶ。乾燥という機能には無関係な操作であり、鉄道の営繕部門が外観に手を入れる意思を持っていたことがうかがえる。

昭和60年(1985年)12月1日に旭川車両センターが廃止されると、周辺の建物は順に取り壊された。煉瓦の2棟が残ったのは、保存を求める市民運動があったためとされる。その後、旭川駅周辺の再開発事業「北彩都あさひかわ」のもとでシビックコア地区の整備が進み、2棟は改修を受けて平成22年6月29日に市民活動交流センターとして開館した。

訪ねたときに見ておきたいところ

まず妻面の前に立ってみたい。中央の三中心アーチは、この建物で最も分かりやすい造形で、これを見つけてから側面に目を移すと、欠円アーチの列が意図的に一段下げられていることが読み取れる。

次に色。焼過煉瓦は別の材料ではなく、火の当たり方が違っただけの煉瓦である。曇天では差が分かりにくく、光が斜めから当たる時間帯にはっきりする。積雪期は地面からの反射で壁面が下から照らされ、ペディメントの輪郭が浮き上がる。

内部は、1階に相談・受付コーナー、情報・閲覧コーナー、交流・展示コーナー、キッズコーナーが置かれ、2階に会議・研修室、作業・打合せ室、事務作業室、コピー・印刷室、貸ロッカー室が並ぶ。JRから借り受けた資料や写真を並べた鉄道歴史の展示コーナーが館内にあるとも伝えられている。

開館時間は午前9時から午後10時まで。休館日は毎月第2・第4月曜日(祝日にあたるときは翌日)と、12月30日から1月4日まで。共用部を見学するだけなら料金はかからず、会議・研修室やホールは時間単位の利用料金と事前申込が必要になる。

アクセスはJR旭川駅から徒歩約25分、車で約5分。宗谷本線のJR旭川四条駅からのほうが近く、徒歩約15分である。バスは「合同庁舎前」下車、専用駐車場は身障者用2台を含む38台。館内での撮影について公表された規定は見当たらないため、受付で確認してから撮るのが確実だ。

Q&A

Q旭川市市民活動交流センター市民活動支援棟は見学できますか。開館時間と休館日は?
A見学できます。現役の公共施設として運用されており、共用部は午前9時から午後10時まで無料で立ち入れます。休館日は毎月第2・第4月曜日(祝日の場合は翌日)と12月30日から1月4日まで。貸室の利用には時間単位の料金と事前の申込が必要です。
Q旧国鉄旭川車両センター木機乾燥場では何が行われていたのですか。
A鉄道車両に用いる木材の乾燥です。明治期の車両は台枠や内装、建具に木材を多く使っており、伐り出した材は含水率を下げてから加工する必要がありました。乾燥を経ずに組めば、走行中に反りや狂いが生じます。
Q旭川市市民活動交流センター市民活動支援棟へは旭川駅からどう行きますか。
AJR旭川駅から徒歩約25分、車なら約5分です。宗谷本線のJR旭川四条駅からは徒歩約15分と近くなります。バスは「合同庁舎前」下車で所要約5分、専用駐車場は38台分(身障者用2台を含む)あります。
Q市民活動支援棟の煉瓦壁は、どこを見れば意匠の特徴が分かりますか。
A三点あります。外壁が長手と小口を交互に並べるフランス積であること。両妻面の中央に三中心アーチが開き、他の開口はより扁平な欠円アーチで揃えられていること。そしてペディメントと隅柱に焼過煉瓦を用い、赤い壁面のなかで装飾の線だけを濃く見せていることです。
Q市民活動支援棟と隣のホール棟は何が違うのですか。
A登録は別々です。旧木機乾燥場である支援棟はほぼ正方形の平面で2階建、建築面積331平方メートル。受付と貸室を収めています。旧第二木機職場のホール棟は東側に雁行して建ち、建築面積462平方メートル、平屋一部2階建で、多目的ホールが入ります。

基本データ

名称旭川市市民活動交流センター市民活動支援棟(旧国鉄旭川車両センター木機乾燥場)
所在地北海道旭川市宮前一条三丁目13
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録番号 01-0143
指定年平成27年(2015年)11月17日登録
員数1棟
寸法煉瓦造及び鉄筋コンクリート造2階建、金属板葺、建築面積331平方メートル
所有者旭川市
公開状況公共施設として公開。午前9時から午後10時。休館日は毎月第2・第4月曜日(祝日の場合は翌日)と12月30日から1月4日。共用部の見学は無料、貸室は時間単位の利用料金。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)旭川市市民活動交流センター市民活動支援棟(旧国鉄旭川車両センター木機乾燥場)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010712
文化遺産オンライン 旭川市市民活動交流センター市民活動支援棟(旧国鉄旭川車両センター木機乾燥場)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/213637
旭川市 旭川市市民活動交流センター CoCoDe(ココデ)
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/facility00/facility08/p006145.html
旭川市 旭川市内の指定・登録文化財
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/329/348/353/p000162.html
旭川市市民活動交流センター CoCoDe 公式サイト
https://cocode.jp/

最終更新日: 2026.08.27