平尾家住宅水溜

平尾家は江戸時代に大庄屋を務めた但馬屈指の大地主で、豊岡市森尾の屋敷は約四千平方メートルに及ぶ。明治二十九年(一八九六)建立の主屋を中心に、十八世紀末から十九世紀前半の蔵や離れが囲み、江戸から昭和前期にかけて代を重ねて整えられた屋敷構えが良好に遺る。

建造物の概要

主屋の西北、新蔵・塩噌蔵・陶器蔵に囲まれた位置に設けられた石造の水溜である。方一・八メートル・深さ〇・四五メートルで、切石を組み、煉瓦で縁を立ち上げ、西側の北端に排水口を設ける。

この排水口に付く雨水溝は、陶器蔵蔵前などの雨水を集めて西蔵まで折れ曲がりながら延長十五メートルに及ぶ。小さな施設ながら、蔵の壁を雨水から守り、屋敷内の水を周到に処理した近代の生活基盤を示している。

登録の意義

平尾家住宅は平成二十年(二〇〇八)に登録有形文化財となった。主屋・諸室・蔵・塀・水利施設に至るまで、大地主の屋敷構えが一つのまとまりとして良好に遺る点が評価されている。個々の登録物件は、単独の記念物としてよりも、この一体の屋敷を構成する部分としてこそ意味をもつ。

訪ねる際に

平尾家住宅は現に人の住まう個人住宅であり、原則として非公開である。内部の見学はできず、居住者の生活への配慮が求められる。外観と川沿いの構えは近隣の公道からうかがうことができる。あわせて但馬を訪れる際には、柳並木の城崎温泉、辰鼓楼と出石そばで知られる城下町の出石、円山川沿いに柱状節理の玄武岩が並ぶ玄武洞公園など、公開されている周辺の見どころと組み合わせるとよい。

Q&A

Q平尾家住宅は見学できますか。
A原則非公開の個人住宅です。内部の見学はできません。外観や森尾川沿いの構えは近隣の公道から望めますが、居住者の生活に配慮してください。
Qこの造作はいつのものですか。
A明治中期のものです。屋敷全体は江戸期の蔵から明治二十九年の主屋、昭和前期の増築まで代を重ねて整えられており、各部の年代には幅があります。
Qこの建造物の構造・形式は。
A石造、面積3.2㎡、雨水溝付です。員数は1所。登録有形文化財(建造物)として平成二十年に登録されました。
Q周辺に立ち寄れる場所はありますか。
A豊岡市内には城崎温泉、城下町の出石、柱状節理で知られる玄武洞公園などがあり、いずれも森尾から無理なく巡れます。

基本情報

名称平尾家住宅水溜
所在地兵庫県豊岡市森尾字安藤958
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成20年3月7日登録(平成20年3月19日告示)
員数1所
構造及び形式等石造、面積3.2㎡、雨水溝付
年代明治中期
所有・公開状況個人所有/原則非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)— 平尾家住宅水溜
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006889
文化遺産オンライン — 平尾家住宅主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/186783
ザ・たじま(但馬事典)— 平尾家住宅
https://the-tajima.com/spot/393/

最終更新日: 2026.07.02