黒田清右衛門商店とは
黒田清右衛門商店は、兵庫県三木市本町2丁目にある明和2年(1765年)創業の金物問屋の屋敷で、江戸時代末期から昭和2年(1927年)頃までに建てられた店舗兼主屋、座敷棟、離れ、6棟の蔵、内蔵、外塀の11件が、令和元年(2019年)12月5日に登録有形文化財に登録された。読みは「くろだせいうえもんしょうてん」である。
いまも株式会社黒田清右衞門商店として金物の卸売を続けている。文化庁の登録では社名の「衛」が旧字の「衞」で書かれる。11件の登録番号は28-0720から28-0730までの連番で、9件が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、座敷棟と離れの2件が「造形の規範となっているもの」として登録有形文化財になった。
建物ごとの年代は、店舗兼主屋が江戸末期(昭和前期に改修)、東蔵・東南隅蔵・南蔵・西南隅蔵・西蔵の5棟が明治前期、味噌蔵が明治中期、座敷棟が明治後期、離れが大正後期(昭和2年頃に増築)、内蔵と外塀が昭和2年頃と、文化庁の記録で分かれている。百年近くかけて一軒の問屋が少しずつ建て足してきた屋敷だと読める。
三木金物と黒田清右衛門家
三木市立みき歴史資料館が令和元年(2019年)にまとめた図録によると、三木町では18世紀の中ごろから後半にかけて大工道具を中心とする金物の生産が盛んになり、作る職人と売りさばく仲買問屋の分業が進んだ。その流れのなかで、明和2年(1765年)に「作屋清右衛門」、つまり黒田家が金物仲買問屋を開いた。
同じ図録は黒田清右衛門商店を、三木の金物仲買問屋のなかで最も早く成り立ち、現在まで営業を続けている唯一の問屋と位置づけている。会社も自らを三木市で最古の金物問屋と紹介し、鉋や鑿、鋸など三木の大工道具を中心に扱っている。
三木市の広報紙で、同社の社長は、黒田清右衛門商店が江戸の市場との取引を許された三木町の問屋2軒のうちの1軒だったと語っている。店先の大きな鋸の看板についても、三木の前挽鋸が江戸で高く評価されたことから看板にしたのだろう、という見方を示している。いずれも家に伝わる話として受け取っておきたい。
登録の直前の令和元年(2019年)10月26日から12月22日まで、みき歴史資料館では企画展「三木金物産業史と黒田清右衛門家」が開かれ、黒田家に残る鑑札や古文書、古写真が並んだ。
敷地の配置と見る順序
黒田清右衛門商店の屋敷は、北側を通る旧街道の姫路道に面している。通りに北面して建つのが店舗兼主屋で、その西に外塀が続き、敷地の北西隅に内蔵が建つ。三木市は、この店舗兼主屋、外塀、内蔵の三つが屋敷の表構えを整えていると説明する。
主屋の奥では、座敷棟が主屋の南西に斜めに取り付き、離れが敷地の西辺の北寄りに建つ。客を迎える座敷が、主屋の奥と西の二か所に分かれていることになる。
蔵は敷地の境界に沿って一続きに並ぶ。主屋の南面東端に付く味噌蔵から南へ東蔵、南東の隅に東南隅蔵、そこから西へ南蔵、南西の隅に西南隅蔵、北へ折れて長さ18.3メートルの西蔵が続き、東・南・西の三辺を蔵が囲む。三木市によれば、これらの蔵に商品や家財、文書が収められてきた。
屋敷は町並みの要でもある。三木市の広報紙によると、黒田清右衛門商店は令和2年度(2020年度)に兵庫県の景観形成重要建造物に選ばれた。令和5年(2023年)3月には、黒田清右衛門商店を含む本町2丁目の一部が、兵庫県で初めての景観形成重点区域に指定されている。
黒田清右衛門商店の見学案内(公開状況・アクセス)
黒田清右衛門商店は営業中の金物卸の会社で、11件の建物はすべて同社の敷地内にある。内部の一般公開について、会社や三木市の案内は見当たらなかった(2026年10月2日確認)。見学は、姫路道から店舗兼主屋の正面、外塀、内蔵を外から眺める形になる。蔵や座敷棟、離れは敷地の奥にあり、通りには面していない。
写真を撮るなら通りからの外観にとどめ、店の出入りの妨げにならないよう気を配りたい。三木市が催すまち歩きでは、令和元年(2019年)の歴史ウォークや令和6年(2024年)のガイド付きまち歩きのコースに黒田清右衛門商店が組み込まれたことがある。
電車の場合は、神戸電鉄粟生線の三木駅で降り、福有橋を渡って歩いて約3分と会社は案内している。車の場合は、山陽自動車道の三木小野インターチェンジから国道175号を三木の市街方面へ5分から7分ほどである。
参考文献
- 黒田清右衛門商店店舗兼主屋(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013153
- 黒田清右衛門商店座敷棟(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013154
- 黒田清右衛門商店味噌蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013155
- 黒田清右衛門商店東蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013156
- 黒田清右衛門商店東南隅蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013157
- 黒田清右衛門商店南蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013158
- 黒田清右衛門商店西南隅蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013159
- 黒田清右衛門商店西蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013160
- 黒田清右衛門商店離れ(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013161
- 黒田清右衛門商店内蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013162
- 黒田清右衛門商店外塀(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013163
- 黒田清右衛門商店(国登録文化財)(三木市立みき歴史資料館)
- https://www.city.miki.lg.jp/site/mikirekishishiryokan/19137.html
- 国登録有形文化財(建造物)の登録(三木市 記者発表資料 令和元年7月16日)
- https://www.city.miki.lg.jp/uploaded/attachment/13117.pdf
- 文化審議会の答申(登録有形文化財)について(兵庫県教育委員会 記者発表資料 令和元年7月)
- https://www.hyogo-c.ed.jp/~board-bo/kisya31/3107/310719bunkazai.pdf
- 三木金物産業史と黒田清右衛門家(みき歴史資料館 企画展図録 令和元年10月)
- https://www.kaisenshop.com/top/kurodake.pdf
- みきの景観形成重要建造物 黒田清右衛門商店(三木市 広報紙)
- https://www.city.miki.lg.jp/uploaded/attachment/22870.pdf
- 湯の山街道沿いの一部区域が景観形成重点区域に指定(三木市 記者発表資料 令和5年3月20日)
- https://www.city.miki.lg.jp/uploaded/attachment/36017.pdf
- 三木市三木城下町地区 歴史的景観形成地区及び景観形成重点区域 景観ガイドライン(兵庫県)
- https://www.city.miki.lg.jp/uploaded/attachment/50874.pdf
- 会社概要(株式会社黒田清右衛門商店)
- https://www.kaisenshop.com/kaishagaiyou/kaishagaiyou.htm
- アクセスマップ(株式会社黒田清右衛門商店)
- https://www.kaisenshop.com/map/map.htm
最終更新日: 2026.10.02
基本情報
| 名称 | 黒田清右衛門商店 |
|---|---|
| 所在地 | 兵庫県三木市本町二丁目980他 |
| 所有者 | 株式会社黒田清右衞門商店 |
| 指定 | 登録有形文化財 11件 |
| 座標 | 34.79799, 134.98272 |