愛染家住宅とは

愛染家住宅は、香川県高松市東ハゼ町にある昭和6年(1931年)頃の町家とその付属屋で、主屋・離れ・東蔵・西蔵の4件が平成17年(2005年)7月12日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「あいぜんけじゅうたく」。

4件は地番がいずれも東ハゼ町897で、登録番号は37-0273から37-0276まで続いている。文化庁の記録では4棟とも建築年代を昭和6年頃としており、屋敷がほぼ一時期にまとめて整えられたことが分かる。

登録基準は主屋・東蔵・西蔵の3件が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、離れの1件が「造形の規範となっているもの」である。通りの景色をつくる表の建物と、中庭に置かれた小さな数寄屋とで、評価の軸が分かれている。

金比羅街道に表を向ける屋敷

愛染家住宅の敷地は、東側を通る街道に面している。文化庁の解説は、この道を金比羅街道と呼んでいる。讃岐の各地から金刀比羅宮へ向かう参詣の道の総称で、高松の城下から南西へ延びる道筋もその一つにあたる。

主屋は道に向けて東に表を構え、東蔵も街道側の表構えを形づくる1棟として扱われている。黒い漆喰の2階壁と、白い漆喰に海鼠壁を組み合わせた蔵とが、同じ通りに並ぶ構成である。

屋敷の配置

4件の解説を重ねると、愛染家住宅の組み立てがおおよそ読み取れる。主屋は全体がコの字形の平面で、街道側に南北棟の表屋を置き、その背後に建物がコの字に回り込む。

コの字に囲まれた中庭の中央に、4畳半一間の離れが建つ。離れの南面には太鼓橋が架かり、主屋と行き来できるようになっている。

蔵は主屋の南にまとまる。東蔵は東西棟で街道寄りに建ち、その西に南北棟の西蔵が続く。棟の向きの違う2棟の蔵が、主屋の南でL字に近い並びをつくっている。

酒の蔵をもつ町家

愛染家住宅の2棟の蔵は、いずれも酒にかかわる用途で建てられた。文化庁の解説によると、東蔵はもと酒の保管蔵、西蔵はもと酒の瓶詰め蔵である。主屋の種別も商いの建物にあたる区分(産業3次)とされている。

ここから、昭和初期の愛染家が酒を扱う商いを営み、住まいと蔵を一つの敷地にまとめていたことがうかがえる。ただし、屋号や商いの内容、始まった時期を示す公的な資料は見つからなかった。本サイトでは、蔵の旧用途として記録されている範囲にとどめている。

見学案内(公開状況・アクセス)

愛染家住宅は個人の住まいで、一般公開の案内は見当たらない。敷地や建物の内部には入れないため、見学は通りから外観を眺める形になる。住む人の暮らしを妨げないよう、静かに見てほしい。

街道に面した主屋の表構えと東蔵は、通りから見ることができる。中庭の離れは主屋に囲まれているので、外からはほぼ見えない。

最寄り駅は、ことでん(高松琴平電気鉄道)琴平線の三条駅で、高松築港駅から4駅目にあたる。愛染家住宅までは直線距離でおよそ900メートル、歩いて15分前後が目安である。見学者向けの駐車場の案内はない。

参考文献

愛染家住宅主屋(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004828
愛染家住宅離れ(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004829
愛染家住宅東蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004830
愛染家住宅西蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004831
愛染家住宅主屋(文化遺産オンライン)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/140598
登録有形文化財(建造物)とは(高松市 文化財課)
https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/kosodate/bunka/bunkazai/touroku_yuukei.html

最終更新日: 2026.09.28

基本情報

名称愛染家住宅
所在地香川県高松市東ハゼ町897
指定登録有形文化財 4件
座標34.32291, 134.04029