塩田家住宅東離屋:もと「店」と伝える川沿いの一棟

馬木川に沿って、南土蔵と坪庭を隔てた北方に、低い平屋が建つ。香川県小豆島町馬木の塩田家住宅の東離屋で、ヤマサン醤油を営む家の屋敷に属する。この建物には、もと「店」であったと伝える言い伝えがある。建設は昭和初期にさかのぼる。

棟は南北に通し、本瓦葺の片入母屋造とする。南北両方の妻面には下屋を差し掛ける。川に面する西面の北寄りには眉庇を付け、その下に格子窓を設ける。土台は花崗石敷、腰は板張とし、左右の塀と一体の景観をつくっている。

登録の理由

東離屋は平成14年(2002年)6月25日、第33回の登録で、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」を基準として国の登録有形文化財となった。単独の記念物としてではなく、屋敷の川沿いの壁を構成する一連の一つとして働く点が評価されている。

もと「店」であったという由緒は、確定した事実ではなく言い伝えとして扱うのが適切で、記録の上でも伝承として記されている。とはいえ、この一節を頭に置いて西面を見る価値はある。川と通りに向けて開く、眉庇の下の格子窓は、小さな店構えが用いたであろう意匠に近く、醸造町の働く家が一つの通り沿いで私と公の機能をどう混在させたかをうかがわせる。

見どころ

西面に目を向けたい。眉庇がその下の格子窓に影を落とし、この面に、水に向かって静かに構える性格を与えている。片入母屋の屋根は、片方を寄棟、片方を切妻とするため、近くの土蔵の平明な切妻とは違って見え、屋敷の屋根の線に変化を添える。

塀のあいだにどう収まるかも見たい。花崗石敷と腰板張が左右の塀と建物を結び、東離屋と塀、そして背後の坪庭が、川沿いの一つの整った縁として読める。私有で今も使われる住宅のため、東離屋は川沿いの道から眺める形となる。醤の郷の路地は、ゆっくり歩くだけの価値がある。

Q&A

Q東離屋は本当に「店」だったのですか。
Aもと「店」であったと伝えられており、記録上も確定事実ではなく伝承として記されています。川に向く格子窓はその話に符合します。
Q眉庇とは何ですか。
A窓の上に付ける小さな庇です。ここでは川に面する西面の格子窓の上に設けられています。
Q屋根は近くの土蔵とどう違いますか。
A東離屋は片入母屋造で、片方が寄棟、片方が切妻です。平明な切妻の土蔵とは表情が異なります。
Qいつ登録されたのですか。
A平成14年(2002年)6月25日、他の昭和初期の塩田家の建物とともに、歴史的景観への寄与を理由に登録されました。
Q内部を見られますか。
A日々使われる私有物件のため見られません。外観は馬木川沿いの道からが見やすい位置です。

基本情報

名称塩田家住宅東離屋
所在地香川県小豆郡小豆島町苗羽字石井甲140-2
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成14年(2002年)6月25日/第33回
員数1棟
年代昭和初期
構造木造平屋建、瓦葺、建築面積約49平方メートル
所有・利用ヤマサン醤油(現役の私有物件)
公開外観のみ、川沿いの道から見学可

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002829
文化遺産オンライン(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/193829
ヤマサン醤油株式会社(小豆島町)
https://www.town.shodoshima.lg.jp/kanko/miru/sangyo/yamasan.html
醤の郷の近代化産業遺産群(小豆島町)
https://www.town.shodoshima.lg.jp/gyousei/kakuka/shogaigakushuka/2/1/3151.html

最終更新日: 2026.07.10