旧三浦家住宅とは

旧三浦家住宅(きゅうみうらけじゅうたく)は、高知県須崎市青木町にある商家の屋敷で、明治中期(1883年から1897年)の店舗から昭和前期の離れまでの6件が、平成28年(2016年)2月25日に登録有形文化財となった。登録番号は39-0284から39-0289までの連番で、所有者は須崎市である。

三浦家は江戸末期から続く須崎の商家で、須崎市の紹介によれば酒造・米穀・製紙・金融と手広く事業を営み、町の発展に大きく関わった。屋敷はいま須崎市が「すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸」として公開しており、施設名にも旧三浦邸の名が残る。

店舗の外壁は黒く、北に接する蔵の壁は白い。交差点に立つと、まずこの白黒の対比が目に入る。

港町須崎の紙問屋

須崎は天然の良港に恵まれ、周辺の山村から出る物資が集まる港町として栄えた。すさきまちかどギャラリーの解説は、三浦家の店「三浦商店」をそうした有力商家の1つとし、旧道の交差点の角地で林産物や紙を扱う問屋として繁盛したと記す。戦前にはコウゾやミツマタといった和紙の原料と製品を商い、朝鮮半島まで交易船を出していたとも伝わるが、これは伝承として紹介されている話である。

同じ解説は、四万十川流域の林産物の取引を通じて京阪神とのつながりがあったとし、旧三浦家住宅の主屋は遠方からの客を泊め、宴席を設ける場としても使われたと述べる。店で商い、主屋で客をもてなし、蔵で財を守る。屋敷の建物の分担は、この商いの形に沿っている。

須崎市の案内には、店舗の事務所に「証券会社時代の名残」が残るとある。三浦家の手を離れたのち、建物が別の用途で使われた時期があったことをうかがわせるが、その年代と経緯は市と施設の公開資料には示されていない。

敷地の構成と建てられた順序

旧三浦家住宅の敷地は、東と南を道路に面した角地である。文化庁の解説をつなぎ合わせると、配置は次のようになる。敷地の南東隅、交差点に面して店舗が建ち、その北側に蔵が接する。店舗の西には主屋がつながり、敷地の北奥に建つ離れは主屋と廊下で結ばれる。南辺には店舗側の東端に表門を構え、そこから西へ木造の塀が延びる。東辺では、店舗の東面から北へブロック塀が続く。

  • 店舗(明治中期、土蔵造2階建/登録番号 39-0284)
  • 主屋(大正期、木造平屋建/登録番号 39-0285)
  • 蔵(大正期、鉄筋コンクリート造2階建/登録番号 39-0286)
  • 離れ(昭和前期、木造平屋建/登録番号 39-0287)
  • 表門及び塀(大正期、表門間口1.8メートル・塀総延長9.3メートル/登録番号 39-0288)
  • ブロック塀(大正期、延長8.2メートル/登録番号 39-0289)

文化庁のデータベースでは、最も古いのが明治中期の店舗で、主屋・蔵・表門及び塀・ブロック塀が大正期(1912年から1926年)、離れが昭和前期(1926年から1945年)に続く。まず道に面した店を建て、大正期に住まいと蔵と外構を整え、昭和に入って奥へ離れを足した順序が読み取れる。

登録基準は2通りに分かれる。店舗と蔵は「再現することが容易でないもの」、主屋・離れ・表門及び塀・ブロック塀は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。前者は黒漆喰の土蔵造や鉄筋コンクリート造の蔵といった造りそのものが、後者は屋敷構えとして町並みをつくっていることが評価の軸になっている。

建築年代については資料によって書き方が異なる。須崎市とすさきまちかどギャラリーは「大正5年頃(1916年)築といわれる塗屋造りの建物」と紹介し、ギャラリーの解説は三浦商店を大正時代中期の建築としている。一方、文化庁のデータベースは店舗を明治中期、主屋を大正期とする。本サイトでは各棟の年代を文化庁のデータベースに従って記載している。

すさきまちかどギャラリーとしての活用

旧三浦家住宅は、平成22年(2010年)2月に「すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸」として開館した。高速道路の延伸で須崎が素通りされる町にならないよう、町全体をサービスエリアに見立てる須崎市の構想の一環として設けられた施設である。平成26年(2014年)には市制施行60周年を記念して大規模な改修が行われた。

現在は地域の作家や伝統文化を取り上げる企画展、現代美術作家が滞在して制作するプロジェクト「現代地方譚」の会場となり、市民の貸しスペースとしても使われている。旧三浦家住宅の座敷や店の間は、展示と催しのたびに使われ方を変えている。

見学とアクセス

旧三浦家住宅はすさきまちかどギャラリーとして開館しており、開館時間は午前9時から午後5時まで。休館日は月曜日(祝日の場合は翌平日)と年末年始(12月29日から1月3日)で、次の展示の搬入日などに臨時休館がある(2026年9月27日確認)。須崎市と施設の案内には入館料の記載がなく、高知県の子育て応援の店の紹介でも気軽な来館を呼びかけている。企画展の内容や料金は施設のウェブサイトとFacebookで告知されるので、出かける前に確かめておきたい。

建物の内部で何が見られるかは、そのときの展示と貸しスペースの利用状況による。店舗・主屋・蔵は展示会場として使われることが多い。撮影の可否について施設の一般的な案内は見当たらなかったので、展示作品を含めて受付で確認するのが確実である。外観は東と南の道路から眺められ、交差点の角から店舗と蔵を、南の道から表門と塀を見ることができる。

最寄り駅はJR土讃線の須崎駅で、施設の案内では駅から約600メートル、徒歩5分から8分とされる。須崎第2地方合同庁舎(税務署・法務局)から南へ100メートルほどの位置にある。車では高知自動車道の須崎中央ICから約3分で、駐車場は6台分ある。

施設の住所は須崎市青木町1-16と案内されているが、文化庁のデータベースでは店舗・主屋・蔵・離れが青木町7-1、表門及び塀とブロック塀が青木町1763と登録されている。いずれも同じ角地の屋敷を指している。

参考文献

国指定文化財等データベース 旧三浦家住宅店舗(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011004
国指定文化財等データベース 旧三浦家住宅主屋(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011005
国指定文化財等データベース 旧三浦家住宅蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011006
国指定文化財等データベース 旧三浦家住宅離れ(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011007
国指定文化財等データベース 旧三浦家住宅表門及び塀(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011008
国指定文化財等データベース 旧三浦家住宅ブロック塀(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011009
まちかどギャラリーの紹介(須崎市)
https://www.city.susaki.lg.jp/life/detail.php?hdnKey=152
すさき まちかどギャラリー/旧三浦邸(高知県 こうち子育て応援の店)
https://odekake-runda.pref.kochi.lg.jp/detail.html?id=362
当ギャラリーについて(すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸)
https://machikado-gallery.com/about/
旧三浦邸(すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸)
https://machikado-gallery.com/miuratei/

最終更新日: 2026.09.27

基本情報

名称旧三浦家住宅
所在地高知県須崎市青木町7-1
所有者須崎市
指定登録有形文化財 6件
座標33.38996, 133.28951