明治28年竣工の煉瓦造四棟
旧帝国京都博物館は、京都市東山区茶屋町の京都国立博物館構内にある明治28年(1895)竣工の煉瓦造建築群で、本館・表門・札売場及び袖塀(北)・札売場及び袖塀(南)の4棟が昭和44年(1969)3月12日に重要文化財に指定された。現在、本館は明治古都館の名で呼ばれている。
本館は建築面積2,896.5平方メートル、煉瓦造一階建。屋根は桟瓦葺で、一部にスレートと銅板を用いる。外壁は煉瓦を主体としながら、隅部や窓廻り、腰の部分に石を配しており、壁面が単調にならない。正面中央には大きな妻飾りを備えた玄関が立ち上がる。
設計は宮内省内匠寮の技師、片山東熊。のちに赤坂離宮を手がける人物で、この京都の建物にもフランス・ルネサンスからバロックにかけての語彙が、抑制の効いた形で用いられている。竣工は明治28年10月、開館は明治30年(1897)5月1日であった。
建設の背景には行政上の事情がある。明治21年(1888)に宮内省へ臨時全国宝物取調局が置かれ、全国の社寺が伝えてきた宝物の調査が行われた。京都と奈良に文化財が集中していることが確認され、翌明治22年に「帝国京都博物館」「帝国奈良博物館」の官制が定められる。つまりこの建物は、所有者の手元を離れた文化財を収蔵し公開するという、それまで日本になかった機能のために設計されている。
4棟一括指定という判断
文化庁の解説は、この建築群を明治中期の貴重な遺構と位置づける。評価の力点は本館単体ではなく、敷地全体の構えが残っている点に置かれている。表門も袖塀も創建時のもので、街路と博物館構内を区切る関係が片山の計画のまま働いているからだ。
表門は煉瓦造に鉄製扉を釣り込み、左右に陸屋根の番所を従える。北の札売場及び袖塀は折曲り延長32.3メートル、南は同158.3メートルにおよび、七条通へ向かって長く下る。いずれも煉瓦の腰の上に鉄製柵を載せるため、構内は囲われつつ視線は通る。
附指定の内容がこの物件を特異なものにしている。内匠寮の建築工事図面630枚、本館小屋組模型2個、柱頭装飾木彫原型1個、破風装飾木彫原型3個、額縁装飾木彫原型1個、棟札1枚。北の札売場には旧南門扉2枚が附く。明治期の建築で施工図面がまとまって残る例は多くない。設計から施工へ至る過程が、完成した建物とともに保存されている。
建設当時は反対の声もあったという。古都に洋風の建物はそぐわない、という理屈である。赤煉瓦が東山の景観に落ち着いた現在からは、その反対論の実感をたどりにくい。
見学の実際
本館内部は通常非公開である。免震改修ほかの基本計画を進めるため展示を行っておらず、館の案内でも明治古都館は通常非公開と明記されている。特別公開が不定期に行われることはあり、令和8年(2026)3月14日には開館130周年(令和9年)へ向けた催しの一環として内部が公開された。内部を目当てに訪れるなら、事前に博物館の催し情報を確認しておきたい。
外観は事情が異なる。表門は大和大路通側から拝観券を買う前に見える。南の袖塀は七条通に沿って歩けば追える。構内に入れば、庭園から本館の正面全体を眺められる。表門と玄関を結ぶ軸線上には、ロダンの「考える人」が据えられている。昭和25年(1950)に寄託を受け、同31年に国有となったものである。
観覧料は開催状況によって変わる。名品ギャラリー(平常展示)の開催期間は一般700円。展示替えの前後には庭園のみ開館となる期間があり、この場合は一般300円で庭園ガイド冊子が付く。特別展は展覧会ごとに料金が定められる。金曜日には夜間開館が設定されている。
撮影は、屋外の建物外観や庭園については通常可能である。展示室内は作品や展覧会ごとに扱いが異なるため、現地の表示に従う。
アクセスは京都駅から市バスで「博物館三十三間堂前」下車、所要約10分で入口に着く。京阪電車「七条」駅からは東へ徒歩約7分。道路を挟んで三十三間堂が向かい合い、その先には養源院がある。半日で三箇所をまとめられる位置関係にある。
Q&A
- 旧帝国京都博物館(明治古都館)の内部は見学できますか。
- 通常は見学できません。免震改修等の基本計画を進めるため展示を休止しており、通常非公開の扱いです。不定期に特別公開が行われ、その際は博物館の公式サイトで告知されます。
- 旧帝国京都博物館の設計者は誰ですか。
- 宮内省内匠寮の技師であった片山東熊です。東京の赤坂離宮の設計者としても知られます。京都の建物は明治28年(1895)に竣工しました。
- 旧帝国京都博物館として重要文化財に指定されているのは何棟ですか。
- 4棟です。本館、表門、札売場及び袖塀(北)、札売場及び袖塀(南)が昭和44年(1969)3月12日に指定されました。附として建築工事図面630枚などが指定されています。
- 旧帝国京都博物館のある京都国立博物館の観覧料はいくらですか。
- 名品ギャラリー開催期間は一般700円、庭園のみ開館期間は一般300円(庭園ガイド冊子付き)です。特別展は展覧会ごとに異なります。展示替え期間があるため、来館前にカレンダーの確認をおすすめします。
- 旧帝国京都博物館へは京都駅からどう行きますか。
- 市バスで「博物館三十三間堂前」下車、約10分で入口です。京阪電車「七条」駅からは徒歩約7分。三十三間堂の向かいにあたります。
基本情報
| 名称 | 旧帝国京都博物館 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市東山区茶屋町527番地 京都国立博物館構内 |
| 指定区分 | 重要文化財 |
| 指定年 | 昭和44年(1969)3月12日 |
| 員数 | 4棟(本館、表門、札売場及び袖塀(北)、札売場及び袖塀(南)) |
| 寸法 | 本館 建築面積2,896.5平方メートル/北札売場及び袖塀 折曲り延長32.3メートル/南札売場及び袖塀 折曲り延長158.3メートル |
| 所有者 | 独立行政法人国立博物館 |
| 公開状況 | 外観は庭園から見学可。本館内部は通常非公開(不定期に特別公開あり) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 旧帝国京都博物館 本館
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1795
- 国指定文化財等データベース 旧帝国京都博物館 表門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1796
- 京都国立博物館 建物概要
- https://www.kyohaku.go.jp/jp/about/facilities/
- 京都国立博物館 よくあるご質問
- https://www.kyohaku.go.jp/jp/visit/faq/
最終更新日: 2026.08.07
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- 旧帝国京都博物館 札売場及び袖塀(南) 0.00 km
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