上善寺:鞍馬口の寺町通に門を開く浄土宗の寺
上善寺は、京都市北区鞍馬口通寺町東入にある浄土宗の寺院で、文禄3年(1594年)に現在地へ移り、文化9年(1812年)に建てられた本堂をはじめ境内の4棟が平成29年(2017年)10月27日に国の登録有形文化財に登録された。山号と院号をあわせて千松山遍照院(せんしょうざんへんしょういん)と号し、境内に祀る地蔵菩薩から「鞍馬口地蔵」の通称でも呼ばれる。
寺の門は鞍馬口通に南面して開く。地下鉄の鞍馬口駅から東へ歩くと、通りの北側に山門が見えてくる。寺町通の北の端にあたり、ここから南へ寺々が続いていく。
上善寺の沿革
寺伝によれば、上善寺は貞観5年(863年)に円仁が天台密教の道場として千本今出川(いまの上京区)に開いたのが始まりとされる。応仁の乱で荒れたのち、文明年間(1469〜1487年)に春谷盛信(しゅんこくせいしん)が再興した。京都観光Naviは、盛信が後土御門天皇と後柏原天皇に戒を授け、後柏原天皇の勅願所となって塔頭10院を抱える規模に育ったと紹介している。
転機は文禄3年(1594年)である。豊臣秀吉の京都改造にともなって寺域を現在の寺町へ移し、宗旨も浄土宗に改めた。正徳2年(1712年)には越前の松平家から百石の寺領の寄進を受け、藩祖の結城秀康をはじめ歴代藩主の位牌を納める菩提所となったと伝わる。
本尊の阿弥陀如来像は行基の作と伝えられ、寛永11年(1634年)に後水尾上皇の命で、嵯峨にあった蓮華清浄寺(廃寺)の本尊を移したものとされる。
鞍馬口地蔵と六地蔵めぐり
上善寺の地蔵菩薩は、平安時代の初めに小野篁がいったん息絶えて冥土で地蔵尊を拝し、よみがえったのちに一木から刻んだ六体の一つと伝えられる。京都観光Naviの駒札によれば、はじめは小幡の里に祀られ、保元年間(1156〜1159年)に洛北の深泥池(みどろがいけ)のほとりへ移り、のちに上善寺へ移された。このため「深泥池地蔵」とも呼ばれる。
毎年8月22日と23日には、京の街道口の六か所の地蔵を巡る「六地蔵めぐり」が行われ、上善寺はその一所として参拝者を迎える。現在、鞍馬口地蔵尊は境内の六角堂に祀られている。両日に限って地蔵堂と観音堂の扉が開かれ、22日の夜には小山郷六斎念仏が奉納される。
境内には公家や大名家の墓所も多い。元治元年(1864年)の禁門の変で亡くなった入江九一ら長州藩士を葬った「長州人首塚」もここにある。
上善寺の4棟の登録と配置
上善寺の4棟は同じ日に登録され、登録番号は本堂26-526、書院26-527、観音堂26-528、山門26-529と続く。本堂と書院は「造形の規範となっているもの」、観音堂と山門は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」が登録の基準である。
年代は、文化9年(1812年)の本堂だけが年まで分かっており、書院と山門は江戸時代後期(1751〜1830年)とされる。観音堂は大正7年(1918年)の建物で、4棟の中でいちばん新しい。
配置は、境内の南端に南向きの山門が構え、その奥の中央に本堂が同じく南を向いて建つ。書院は本堂の北東にあって渡り廊下でつながり、観音堂は境内の南東隅に西を向いて建つ。門をくぐると正面に本堂、右手に観音堂が見える並びである。各棟の構造と見どころは、それぞれのページで扱う。
上善寺の拝観とアクセス
上善寺の境内は午前9時から午後4時まで自由に参拝でき、拝観料はかからない。休みはない。堂内は公開されておらず、建物は外から見る形になる。六地蔵めぐりの8月22日と23日は、午前5時から午後10時まで参拝を受け付ける。
上善寺の最寄り駅は京都市営地下鉄烏丸線の鞍馬口駅で、東へ歩いて約5分。市バスなら「出雲路橋」で降り、西へ約3分である。車の場合は、寺の西隣にあるコインパーキングに、御朱印やお幡を受けた人向けの30分の割引がある。
上善寺の名称と表記
上善寺は「じょうぜんじ」と読み、英語では Jozenji Temple と表記する。正式には千松山遍照院上善寺で、六地蔵めぐりの札所としては「鞍馬口地蔵」の名のほうが通りがよい。大阪府泉佐野市にも同じ名の上善寺があり、登録有形文化財を持つが、別の寺である。
所在地の地番は、文化庁のデータベースでは上善寺門前町482、京都観光Naviでは338と記されており、一致していない。
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「上善寺本堂」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011980
- 文化庁 国指定文化財等データベース「上善寺書院」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011981
- 文化庁 国指定文化財等データベース「上善寺観音堂」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011982
- 文化庁 国指定文化財等データベース「上善寺山門」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011983
- 文化遺産オンライン「上善寺本堂」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/256735
- 文化遺産オンライン「上善寺書院」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/286346
- 文化遺産オンライン「上善寺観音堂」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/223207
- 文化遺産オンライン「上善寺山門」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/245898
- 京都市観光協会 京都観光Navi「上善寺(鞍馬口)」
- https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=7&tourism_id=541
- 京都観光Navi 駒札「上善寺」
- https://ja.kyoto.travel/tourism/single02.php?category_id=9&tourism_id=23
最終更新日: 2026.10.27
基本情報
| 名称 | 上善寺(京都市) |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市北区鞍馬口通寺町東入北側上善寺門前町482 |
| 所有者 | 宗教法人上善寺 |
| 指定 | 登録有形文化財 4件 |
| 座標 | 35.03838, 135.76316 |