紙本墨画淡彩瓢鮎図〈如拙筆〉とは

紙本墨画淡彩瓢鮎図〈如拙筆〉は、室町時代(15世紀)に画僧如拙が描いた水墨画で、京都府京都市右京区花園の妙心寺塔頭退蔵院が所蔵し、昭和26年(1951年)6月9日に国宝に指定された。読みは「しほんぼくがたんさいひょうねんず〈じょせつひつ〉」。京都国立博物館の解説によれば、大きさは111.5×75.8センチメートルである。

画面には、小さな川が流れ込む沼のような水辺に、髭だらけのみすぼらしい男が大きな瓢箪を両手に持ち、巨大な鯰に差し出す姿が描かれる。背後の高い山や周りの景色は霧や靄にかすんでいる(京都国立博物館)。

国宝に指定された理由

京都国立博物館の解説によれば、絵の上には詩とともに制作のいきさつを記した文章が添えられている。それによると、この作品は「瓢箪で鯰をおさえとることができるか」という問いをテーマとし、発案者は室町幕府4代将軍の足利義持(1386〜1428年)で、その命で画僧如拙が絵を描き、問いへの答えを禅僧たちが詩の形で書き付けた。

画上の詩は31にのぼる。室町時代の水墨画に詩を書くことは珍しくないが、ふつうは多くても十数詩ほどで、書き手はいずれも15世紀初め頃の京都の大禅宗寺院の最高位の僧たちである。奇妙な図柄と詩の数の多さの両面で、ほかに例のない作品とされる。京都国立博物館は、義持を中心とする集いの自由な雰囲気をはっきりと物語る、室町時代水墨画中の傑作と評している。

見どころ

京都国立博物館の解説は、如拙の描き分けに注目している。鯰、瓢箪、竹、水の流れ、岸辺はいずれも「滑る」印象を強めるように曲線的に描かれ、瓢箪を持つ男だけが直線的に滑稽に表されて、男の行為の愚かさを巧みに示しているという。

画題の背景も知っておきたい。「瓢箪で鯰をおさえとる」という問いは、苦労して成功することを意味する中国のことわざ「鮎魚竹竿に上る」(鮎は本来、鯰を意味する字)を土台に、瓢箪を付け加えたものと考えられている。禅僧たちの詩も、各人が勝手な思いを書いたように見せながら、連句の手法で互いに言葉遊びをしている(京都国立博物館)。

鑑賞について

本図は退蔵院の所蔵である。退蔵院の公式サイトには2026年10月4日時点で接続できず、原本の公開の状況を公的な案内で確認できなかった。原本を見られる機会は、所蔵者や博物館での展覧会の案内で確かめたい。退蔵院は妙心寺の山内、京都市右京区花園妙心寺町にある。

Q&A

Q瓢鮎図には何が描かれていますか?
A水辺で、男が大きな瓢箪を持って巨大な鯰を押さえようとする場面が描かれています。
Q瓢鮎図は誰の発案で描かれましたか?
A室町幕府4代将軍の足利義持の発案で、画僧如拙が描き、禅僧たちが詩を書き付けました。
Q紙本墨画淡彩瓢鮎図〈如拙筆〉はいつ国宝に指定されましたか?
A昭和26年(1951年)6月9日に国宝に指定されました。
Q瓢鮎図の画上にはいくつの詩がありますか?
A31の詩があり、いずれも15世紀初め頃の京都の大禅宗寺院の高僧によるものです。
Q瓢鮎図の大きさは?
A京都国立博物館の解説では111.5×75.8センチメートルです。

基本情報

名称紙本墨画淡彩瓢鮎図〈如拙筆〉(しほんぼくがたんさいひょうねんず〈じょせつひつ〉)
所在地京都府京都市右京区花園妙心寺町(退蔵院)
指定区分国宝(美術工芸品・絵画)
指定年昭和26年(1951年)6月9日国宝指定
員数1幅
寸法111.5×75.8センチメートル(京都国立博物館による)
所有者退蔵院
公開状況公開状況は未確認(所蔵者・展覧会の案内で要確認)

参考文献

不思議な絵 ―如拙筆「瓢鮎図」―(京都国立博物館 博物館ディクショナリー)
https://www.kyohaku.go.jp/jp/learn/home/dictio/kaiga/fushigi/

最終更新日: 2026.10.04