古澤醸造一号蔵 ― 宮崎の焼酎蔵を支える土蔵

宮崎県日南市、日南海岸沿いの漁港町・大堂津に古澤醸造の敷地は広がる。その東南隅に、南北へ長く延びる土蔵造二階建の蔵が建つ。明治25年(1892年)、古澤貞市が焼酎造りを興したころの建築とされ、平成15年(2003年)に改修を受けた。一号蔵と呼ばれるこの建物は、仕込んだ醪が発酵の時を過ごす場であり、敷地内の醸造施設のなかで最も規模が大きい。

蔵元は今も海にほど近い同じ一角に構え、この蔵が働きを止めたことはない。

登録の理由と価値

平成30年(2018年)11月2日、国の登録有形文化財(建造物)に登録された。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。切妻造の屋根は南北へ棟を通し、西面と北面の二方に戸口を開く。柱は一間ごとに立て、筋交を襷状に交差させて軸組を固める。二階の床組には大径の梁を渡し、小屋組にはキングポストトラスを用いた。地方の仕込蔵としては手の込んだ構造で、その造作が評価につながった。

見どころ

土蔵の内部で発酵を行う焼酎蔵は、宮崎県内で古澤醸造ただ一軒である。厚い土壁が夏の強い日差しを遮り、蔵内の温度を一年を通じて安定させるため、醪を仕込む大甕を地中に埋める必要がない。芋焼酎を仕込む10月から11月にかけて蔵に入ると、発酵の酸味を帯びた空気が満ちている。

5代目杜氏の古澤昌子は、全国でも数少ない女性の杜氏の一人として、先代から続く手法で醪と向き合う。常圧蒸留のみを用い、機械の冷却に頼らず、甕ひとつずつを見て回る。

Q&A

Q一号蔵は何に使われていますか。
A焼酎の醪を大甕で発酵させる、古澤醸造の中心的な仕込蔵です。現在も日々の醸造に使われています。
Q建物の中を見学できますか。
A店舗は営業時間内に立ち寄れ、敷地を訪ねることもできますが、資料館ではなく現役の生産の場です。蔵の内部の見学を希望する場合は、事前に蔵元へ相談することをおすすめします。
Qいつ建てられましたか。
A創業と同じ明治25年(1892年)ごろの建築とされ、平成15年(2003年)に改修されています。敷地内でも古い部類の建物です。
Qどうやって行けますか。
AJR日南線の大堂津駅から徒歩約10分です。車で訪れる場合は駐車場があります。

基本情報

名称古澤醸造一号蔵(ふるさわじょうぞういちごうぐら)
所在地宮崎県日南市大堂津四丁目4748(登録上)/蔵元は大堂津4-10-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成30年(2018年)11月2日
員数1棟
構造・形式土蔵造2階建、瓦葺、建築面積132平方メートル
年代明治25年(1892年)頃/平成15年改修
所有者古澤醸造合名会社
見学店舗8:00〜17:00、不定休/大堂津駅から徒歩約10分

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース ― 古澤醸造一号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012670
古澤醸造合名会社 ― 公式サイト
https://nichinan-yaezakura.jp/
日南市観光協会 観光にちなん ― 古澤醸造合名会社
https://www.kankou-nichinan.jp/tourisms/792/

最終更新日: 2026.07.03