古澤醸造瓶詰操作場 ― 近代化の転機を示す小さな蔵
主屋の背面に南を向いて建つのが、古澤醸造の敷地で最も小さな建物、瓶詰操作場である。昭和前期、およそ1926年から1945年の間の建築で、建築面積はわずか31平方メートル。土蔵造の平屋建で、切妻造の桟瓦葺屋根をのせる。柱は半間ごとに立て、小屋組は和小屋とする。
登録の理由と価値
実用の建物にしては、意匠が凝っている。外壁は腰をモルタル塗とし、その上を漆喰で仕上げ、戸口の上部にはペディメントを掲げる。西洋風の意匠である。この建物は、焼酎が樽から瓶へと移り、醸造業が近代化していく時期を示している。平成30年(2018年)11月2日、敷地内の醸造施設のなかでアクセントをなすものとして、登録有形文化財(建造物)に登録された。
見どころ
土蔵の蔵や黒漆喰の町家に並ぶと、この小さな瓶詰操作場は異なる調子を響かせる。ペディメントは西洋の流行に目を向けつつ、壁は地元の漆喰と瓦を守る。家族経営の蔵が、手仕事を手放さぬまま新しい時代に応じたことがうかがえる。
戸口の上のペディメントは見落としやすいが、一見の価値がある。
Q&A
- 瓶詰操作場は何に使われていましたか。
- 蔵の焼酎を瓶に詰めるための建物です。昭和前期に建てられ、樽での出荷から瓶詰販売へと移る転機を示しています。
- なぜペディメントがあるのですか。
- 戸口上部のペディメントは西洋風の装飾で、小さな実用の建物には珍しく、当時の近代化への気運を映しています。
- どのくらいの大きさですか。
- 建築面積は約31平方メートルで、敷地内の登録建物のなかで最も小さく、そして最も装飾に富んでいます。
- 見学できますか。
- 主屋の背面、現役の敷地内に建っています。店舗は営業時間内に開いています。背面の建物の見学を希望する場合は、蔵元にお尋ねください。
基本情報
| 名称 | 古澤醸造瓶詰操作場(ふるさわじょうぞうびんづめそうさじょう) |
|---|---|
| 所在地 | 宮崎県日南市大堂津四丁目4748(登録上)/蔵元は大堂津4-10-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 平成30年(2018年)11月2日 |
| 員数 | 1棟 |
| 構造・形式 | 土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積31平方メートル |
| 年代 | 昭和前期(およそ1926〜1945年) |
| 所有者 | 古澤醸造合名会社 |
| 見学 | 店舗8:00〜17:00、不定休/大堂津駅から徒歩約10分 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース ― 古澤醸造瓶詰操作場
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012669
- 古澤醸造合名会社 ― 公式サイト
- https://nichinan-yaezakura.jp/
- 日南市観光協会 観光にちなん ― 古澤醸造合名会社
- https://www.kankou-nichinan.jp/tourisms/792/
最終更新日: 2026.07.03