松浦家住宅旧診察室とは

松浦家住宅旧診察室は、奈良県北葛城郡王寺町久度にある昭和21年(1946年)建築の木造平屋建の診療所棟で、平成22年(2010年)9月10日に国の登録有形文化財に登録された。昭和30年(1955年)に改修されている。

全国近代化遺産活用連絡協議会の紹介によれば、松浦家住宅の6件のうちこの棟だけは明治の建物ではなく、11代当主の松浦潔が医院を開業する際に建てたものである。明治43年(1910年)頃に建った主屋の南面に取り付き、主屋と一続きになっている。

松浦家住宅旧診察室の洋風の外観

外壁はモルタル仕上げで、四隅に柱型をつくり、上端にパラペットをまわす。屋根は鉄板葺だが、壁の上端を立ち上げるパラペットは屋根を外から見えにくくする。入母屋造の瓦屋根を載せた主屋とは対照的な、戦後の医院らしい洋風の箱形の表情である。

規模は、主屋との取り付き部分を含めて南北6.8メートル、東西3.2メートル、建築面積22平方メートル。東面の北寄りに出入口を開け、南側を診察室とした。患者は東から入り、奥の南の部屋で診察を受ける動線だったことになる。

松浦家住宅旧診察室の円窓

文化庁の解説がとくに書き留めているのは、入口を入った内側の壁である。そこには円窓が穿たれ、緑色のガラスが嵌められている。外壁のモルタルや柱型が洋風を示す一方で、円窓は和風建築でも好まれた形であり、入口まわりに色ガラスの丸い光を落とすこの小さな仕掛けに、松浦家住宅旧診察室の内部の見どころが集まっている。

松浦家住宅旧診察室が登録された理由

松浦家住宅旧診察室は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。主屋が造形の規範として登録されたのに対し、この棟は屋敷の歴史に加わった一場面として価値を認められている。明治の請負業者の本宅が、戦後に町医者の家として使われ始めたことを、小さな洋風の棟がそのまま示している。

松浦家住宅旧診察室の見学

松浦家住宅旧診察室は個人の住まいの一部で、内部は公開されていない(2026年10月確認)。円窓の緑色ガラスのような内部の意匠を見られるのは、王寺町の特別公開の機会に限られる。主屋の南に取り付く位置にあり、外からどこまで見えるかは確認できていない。撮影についての公式の案内もない。屋敷への行き方と公開の問い合わせ先は、松浦家住宅(王寺町)のページにまとめてある。

Q&A

Q松浦家住宅旧診察室はいつ、何のために建てられたのですか?
A昭和21年(1946年)、松浦家11代当主の松浦潔が医院を開業する際に建てました。昭和30年(1955年)に改修されています。
Q松浦家住宅旧診察室はほかの5件とどう違うのですか?
Aほかの5件が明治43年(1910年)頃の建物であるのに対し、この棟だけが戦後の建築です。外壁はモルタル仕上げで、柱型とパラペットを備えた洋風の外観です。
Q松浦家住宅旧診察室の大きさは?
A主屋との取り付き部分を含めて南北6.8メートル、東西3.2メートル、建築面積22平方メートルの木造平屋建です。
Q松浦家住宅旧診察室の見どころは?
A入口内側の壁に穿たれた円窓と、そこに嵌められた緑色のガラスです。外観では四隅の柱型とパラペットに注目してください。
Q松浦家住宅旧診察室は見学できますか?
Aふだんは非公開です(2026年10月確認)。内部を見られるのは王寺町の特別公開の機会に限られます。

基本情報

名称松浦家住宅旧診察室
所在地奈良県北葛城郡王寺町久度2-3648-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成22年(2010年)登録
員数1棟
寸法南北6.8メートル、東西3.2メートル(主屋との取り付き部分を含む)、建築面積22平方メートル
所有者個人(文化庁データベースでは空欄)
公開状況非公開(特別公開時のみ)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)松浦家住宅旧診察室
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008322
文化遺産オンライン 松浦家住宅旧診察室
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/145854
全国近代化遺産活用連絡協議会 松浦家住宅
https://www.zenkin.jp/list/6767
全国文化財総覧(奈良文化財研究所)松浦家住宅
https://sitereports.nabunken.go.jp/en/cultural-property/490946

最終更新日: 2026.10.01