開山を祀る堂

二月堂のやや西に、頂で四つの屋根面が一点に集まる宝形造の小ぶりな堂が建つ。東大寺開山堂である。寺を開いた初代別当・良弁僧正(689〜773年)を祀るために建てられ、良弁堂とも呼ばれる。

堂は二段階で今の姿になった。内陣は正治2年(1200年)、兵火のあとの復興を進めていた重源上人が、みずから導いた大仏様で建てた。半世紀のちの建長2年(1250年)に二月堂下の現在地へ移され、外陣が加えられて、方三間の形にととのった。

建築と彫刻、二つの国宝

明治31年(1898年)に重要文化財、昭和28年(1953年)に国宝へと格上げされた。開山堂は南大門とならび、大仏様の数少ない遺構のひとつである。柱を貫通する貫を多用し、構造材を天井で隠さずそのまま見せるのがこの様式の特徴にあたる。

堂内には国宝の良弁僧正坐像(像高約92センチ)が安置される。如意を手にした姿にあらわされ、長く秘仏とされてきたため彩色の残りがよい。像の背後には高弟の実忠像が控える。建物と、その内に守られてきた彫刻は、あわせて鎌倉時代を代表する作として数えられる。

開山堂を訪ねる

一年のうち一日をのぞいて扉は閉ざされ、良弁像は秘仏のまま守られる。開扉されるのは良弁の命日にあたる12月16日で、法要ののち、堂内に入って厨子の中の像を間近に拝することができる。

それ以外の日でも、三月堂脇の道からは屋根と外観を望める。開山堂・三月堂・二月堂が斜面に寄り合う東大寺の上院は、大仏殿を離れて坂を上るほどに、古く静かな建物と奈良の町を見晴らす眺めが待っている。

Q&A

Q開山堂には誰が祀られていますか。
A東大寺の初代別当で、聖武天皇とともに寺を開いた良弁僧正(689〜773年)です。国宝の良弁僧正坐像が堂内に安置されています。
Q像はいつ拝観できますか。
A堂が開くのは良弁忌の12月16日のみで、法要ののちに拝観できます。それ以外の日は扉が閉じられ、像は秘仏となっています。
Qなぜ国宝なのですか。
A正治2年(1200年)建立の内陣が、南大門とならぶ大仏様の数少ない遺構であるためです。昭和28年(1953年)に国宝へ指定されました。
Q大仏様とはどのような様式ですか。
A復興を進めた重源上人が導入した豪快な構法で、柱を貫く貫を多用し、構造材を隠さずに見せるのが特徴です。
Q堂はどこにありますか。
A二月堂のすぐ西、三月堂(法華堂)の隣、大仏殿の東の斜面に広がる上院にあります。

基本情報

名称東大寺開山堂(とうだいじかいさんどう)
所在地奈良県奈良市雑司町
指定区分国宝(建造物)
指定年月日重要文化財 明治31年(1898年)/国宝 昭和28年(1953年)3月31日
時代鎌倉前期/内陣 正治2年(1200年)、外陣 建長2年(1250年)
構造桁行三間、梁間三間、一重、宝形造、本瓦葺
員数1棟
所有者東大寺
公開12月16日(良弁忌)のみ堂内開扉

参考文献

国指定文化財等データベース — 東大寺
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/2439
東大寺(公式サイト)
https://www.todaiji.or.jp/
奈良市 — 世界遺産 東大寺
https://www.city.nara.lg.jp/site/world-heritage/88515.html
東大寺 — Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/東大寺

最終更新日: 2026.07.04