宮本の峨岳山長福寺とはどんな寺か

長福寺は、新潟県長岡市宮本東方町にある真宗大谷派の寺院で、安永3年(1774年)建立の山門と安政2年(1855年)再建の本堂の2件が、平成18年(2006年)11月29日に国の登録有形文化財となった。

読みは「ちょうふくじ」、山号を峨岳山(ががくざん)という。寺の略史は、親鸞聖人の伝記『御伝鈔』にある「東方に峨々たる岳山あり」の一節にちなむ山号と考えられる、と説明している。長福寺という寺は全国に数多いため、寺自身も「峨岳山長福寺」と山号を添えて名乗っており、このサイトでは長岡市の寺を「長福寺(長岡市)」と表記する。

寺があるのは信濃川の西、長岡駅から西へおよそ9.5キロ(直線距離)の宮本地区である。本尊は阿弥陀如来の立像で、真宗大谷派新潟教区の寺院案内では中越11組に属する。

信濃から宮本へ移った長福寺の歩み

寺の略史によれば、長福寺の始まりは16世紀前半の大永年間にさかのぼる。信濃国水内郡で実玄という僧が草庵を結んで住み、寺はこの実玄を開基とする。その後、柏崎、古志郡の宮本堀之内を経て、寛永2年(1625年)に僧玄栄が宮本東方の稲場へ移り、このとき長福寺の寺号を得たという。

境内の建物は江戸時代を通じて少しずつ整った。享保2年(1717年)に最初の鐘楼堂が建ち、安永3年(1774年)には僧現信のもとで現在の山門ができた。さらに安政2年(1855年)8月、僧恵暢のときに本堂が建て直される。略史はこの本堂を「近郷一の大伽藍」と呼び、大工棟梁を五反田の高木甚兵衛元綱としている。

明治7年(1874年)1月には、地元の宮本小学校が長福寺を借りて開校した。校舎が完成する明治8年(1875年)10月までの1年10か月、寺が村の学び舎を兼ねていたことになる。

平成26年(2014年)12月6日の未明、境内にある欅の老木(樹齢は推定約500年)の大枝が、強風と湿った重い雪に耐えきれず折れた。枝は真下の鐘楼堂を直撃し、屋根の半分と4本の柱のうち3本を壊した。鐘楼堂は平成28年(2016年)12月に再建され、翌平成29年(2017年)6月10日に落慶法要が営まれている。

長福寺の登録有形文化財2件

長福寺の2件は同じ日に登録され、登録番号は本堂が15-0231、山門が15-0232と続く。官報での告示は平成18年(2006年)12月19日である。

  • 本堂:安政2年(1855年)の建築。木造平屋建、銅板葺、建築面積449平方メートル。登録基準は「造形の規範となっているもの」
  • 山門:安永3年(1774年)の建築。木造、銅板葺、間口4.5メートル、袖塀付。登録基準は「再現することが容易でないもの」

本堂は幕末期の真宗本堂の一例として形そのものが手本になると評価され、山門は棟札で建築年が確かめられ、彫物や絵様にも見るべきものがある門として評価された。建築の順は門が先で、本堂はその81年後に建て直された。寺の正面を構える2棟が、江戸時代中期と幕末という二つの時期の大工仕事を並べて見せていることになる。

長福寺の境内を歩く順序

長福寺の伽藍は西を正面にしている。本堂は西を向いて建ち、山門はその西の前方に立つ。門と本堂の間は地図の上で50メートルほどで、門を東へくぐると本堂の正面に向き合う配置である。

歩くなら、まず山門の外に立ち、左右に折れ曲がる袖塀まで含めて門の全体を見ておきたい。門をくぐって参道を進み、本堂の向拝の前へ。本堂を見終えたら、平成に再建された鐘楼堂と、その脇の欅の老木も確かめておくとよい。鐘楼堂は登録の対象ではないが、長福寺の近年の出来事を伝える建物である。帰りがけに門の内側から軒を見上げると、外から見たときとは違う角度で垂木の並びが目に入る。

長福寺への行き方と見学の心得

長福寺へは、長岡駅大手口から越後交通の路線バスで関原を経て宮本方面へ向かうのが公共交通での道筋になる。ただし便数は多くなく、寺に最も近い停留所の名も公的な案内では確かめられなかった。乗り場と時刻は越後交通の時刻表で事前に確認し、本数が合わなければタクシーか車を使うのが現実的である。駐車場についての公式な案内は見当たらない。

長福寺は一般向けの拝観時間や拝観料を公表していない。真宗大谷派新潟教区の案内によれば、4月から10月までの毎月17日に定例法話会が開かれ、参加費は賽銭程度で誰でも聴聞できる。報恩講は4月17日と18日の午前に勤まる。行事の日は門徒が集まるので、建物をゆっくり見たいなら別の日を選び、境内に入る前に寺へ一声かけたい。写真は建物の外観にとどめ、法要の最中は撮影を控えるのが礼儀である。

参考文献

国指定文化財等データベース「長福寺本堂」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005949
国指定文化財等データベース「長福寺山門」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005950
文化遺産オンライン「長福寺本堂」(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/118824
文化遺産オンライン「長福寺山門」(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/152555
峨岳山 長福寺について(峨岳山長福寺web)
https://sites.google.com/site/gagakuzan/zhang-fu-sinitsuite
長福寺(真宗大谷派新潟教区 お寺を探す)
https://otani-niigata.jp/temple/no06-02-10/
新潟名刹紀行「長福寺(長岡市)」(BSN新潟放送)
https://www.ohbsn.com/tv/programs/meisatsu/2016/11/015475.php
長岡市内指定文化財一覧(長岡市立科学博物館)
https://www.museum.city.nagaoka.niigata.jp/know_more/bunkazai_sitei/

最終更新日: 2026.10.03

基本情報

名称長福寺(長岡市)
所在地新潟県長岡市宮本東方町1592
所有者宗教法人長福寺
指定登録有形文化財 2件
座標37.44287, 138.74345