3棟が登録された、村上の商家

吉川家住宅は、新潟県村上市大町195にある商家で、主屋と土蔵が1999年(平成11年)8月23日に、店舗が2003年(平成15年)1月31日に登録有形文化財(建造物)となった。指定された文化財ではなく、登録された文化財である。最も古い土蔵は1841年に建てられている。

3棟は、主屋、店舗、土蔵である。

ふりがなは、きっかわけじゅうたく、である。大分県竹田市の吉川家住宅は、よしかわけと読む別の家の建物である。

大火のあとに、建て直されてきた

建てられた年が、町を焼いた火事と結びついている。

文化庁は主屋を、鮭の加工販売を営む商家の住宅で、明治12年の大火直後の再建と伝える、と記す。年代の欄は1879年頃である。

店舗については、明治25年の大火後の再建と伝える、とされる。年代の欄は1892年頃である。

土蔵の年代は1841年で、二度の大火より前にあたる。文化庁は、村上市の旧市街地における明治維新前の建築遺構として貴重である、と記す。

同じ屋敷のなかで、火事を境に建物の年代が分かれることになる。

小原屋原田商店の店蔵は、道路の拡幅に合わせて曳き屋で後退していた。あちらは道が建物を動かす。

本件は、火が建物を建て替えさせる。残った土蔵だけが、火事より前の姿を伝える。

商いが、酒から鮭に変わった

いまの商いと、蔵が建てられたころの商いとが違う。

文化庁は土蔵を、造り酒屋を営んだ時期の酒蔵とされる、と記す。

一方、主屋については、鮭の加工販売を営む商家の住宅、とされる。南側は鮭加工の場として通り土間としている点に特徴がある、とある。

酒を造っていたころに建てられた蔵が、鮭を扱う商家の屋敷のなかに残る。建物は残り、商う品が入れ替わることになる。

吉川家住宅の名をもつ大分県竹田市の造り酒屋では、倉庫が酒造所や麹室として使われ続けていた。

本件は、酒造りの蔵が、別の商いの屋敷で使われることになる。

通り土間は、表から裏まで通り抜ける土間をいう。そこが鮭を加工する場になる。

近年の改装が、街路の景観づくりの核になる

古い姿に戻す工事が、評価のなかに書かれている。

文化庁は店舗について、近年、北側の増築に際してファサードが伝統的意匠に改装され、大町通りの街路景観整備の核的存在となっている、と記す。

ファサードは建物の正面をいう。増築のときに、正面を伝統的な意匠に改めたとされる。

登録された建物の評価が、建てられたときの姿ではなく、近年の改装を含めて述べられることになる。

宇野薬局は、周辺で唯一残る看板建築として評価されていた。

本件の店舗は、通りの景観づくりのなかでの役割によって評価される。

店舗は村上城下旧町人地の中心的通りに面して建つ、とされる。

見学

所在は新潟県村上市大町195である。3棟とも同じ地番で記される。

主屋は建築面積315平方メートル、土蔵は161平方メートル、店舗は37平方メートルである。

主屋は大町通りと市役所通りに挟まれた東西に長い敷地の中央部に建ち、土蔵はその背後、店舗は通りに面して建つ、とされる。

主屋の屋根は鉄板葺、店舗と土蔵は桟瓦葺とされる。

所有者の記録がなく、公開の有無や条件は所有者の定めによる。訪問前に確認したい。

参考文献

文化遺産オンライン 吉川家住宅主屋(村上市)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/138521
文化遺産オンライン 吉川家住宅土蔵(村上市)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/166562
文化遺産オンライン 吉川家住宅店舗(村上市)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/140351
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.24

基本情報

名称吉川家住宅
所在地新潟県村上市大町195
指定登録有形文化財 3件
座標38.22432, 139.47891