5棟が登録された、竹田の造り酒屋

吉川家住宅は、大分県竹田市大字竹田町21他にある造り酒屋で、5棟が2007年(平成19年)10月2日に登録有形文化財(建造物)となった。指定された文化財ではなく、登録された文化財である。最も古い倉庫一と倉庫二と土蔵は1878年に建てられている。

5棟は、主屋、倉庫一、倉庫二、倉庫三、土蔵である。

文化庁は主屋を、老舗造酒屋の店舗兼住宅、と記す。造酒屋は、酒を造って売る店をいう。

酒造りの工程ごとに、建物が分かれる

一つの屋敷のなかで、作業の段階ごとに建物が使い分けられている。

文化庁は倉庫二について、米を蒸すための釜場や井戸が残る洗米所や、酒を保管する酒蔵、酒造り職人のための休憩所や寝室などが内部に設けられた、と記す。酒造業に必要な一連の施設である、とある。

倉庫三は、もと室(麹室)として使用されていた建物で、土間床とし、内部に室の名残をとどめている、とされる。酒造の一工程を担っていた施設である、と結ばれる。室は、麹を育てるための暖かい部屋をいう。

倉庫一は、かつては酒を製造する酒造所や酒蔵として使用されていた、とされる。土蔵は、もとは1階が米蔵、2階が物置、とされる。

米を納め、洗い、蒸し、麹を育て、仕込み、貯える。その段階が、建物ごとに分かれることになる。

小原屋原田商店では、油蔵、塩蔵と、納めるものが蔵の名になっていた。本件は、納めるものではなく作業の段階で建物が分かれる。

倉庫が、一と二と三で呼び分けられる

三つの倉庫が、番号で区別されている。

倉庫一は主屋の西隣、通りに面して建つ、とされる。倉庫二は倉庫一の背後に建つ、とされる。倉庫三は敷地の南西奥寄りに建つ、とされる。

番号は、通りに近いものから奥へ向かって振られている。用途ではなく位置の順が、名の順になる。

赤木家住宅では、塀一と塀二が番号で呼び分けられていた。あちらは瓦葺と鉄板葺という屋根の違いがあった。

本件の三つの倉庫は、それぞれ酒造所、洗米所や酒蔵、麹室と、担う工程が異なる。

建築面積は倉庫一が114平方メートル、倉庫二が179平方メートル、倉庫三が86平方メートルで、番号の順に大きさが並ぶわけではない。

蔵は明治、主屋は大正に建てられた

酒を造る建物と、店と住まいの建物とで、建てられた時期が違う。

倉庫一、倉庫二、土蔵の年代は1878年、倉庫三は1908年、主屋は1921年で、1922年に増築されている。倉庫二にも1908年の増築がある。

酒造りの建物は明治、店舗兼住宅である主屋は大正になる。古い蔵が並ぶ屋敷に、新しい主屋が建つことになる。

荒惣では、店舗兼主屋が1824年、見世蔵が1901年で、店の建物のほうが古かった。

本件は反対に、働く建物が先にあり、店と住まいがあとから建て直される。

文化庁は主屋を、交差点に面した敷地の角に建つ、と記す。

見学

所在は大分県竹田市大字竹田町21他である。5棟とも同じ所在地で記される。

文化庁は倉庫一について、主屋と連続して、長大な白壁の景観をみせ、趣のある佇まいを形成している、と記す。土蔵については、主屋とともに、造酒屋らしい景観をつくる、とされる。

建築面積は主屋209平方メートル、倉庫二179平方メートル、倉庫一114平方メートル、倉庫三86平方メートル、土蔵41平方メートルである。

倉庫三は竹田市が所有する。ほかの棟の所有者は記録にない。

公開の有無や条件は所有者の定めによる。訪問前に確認したい。

参考文献

文化遺産オンライン 吉川家住宅主屋(竹田市)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/143631
文化遺産オンライン 吉川家住宅倉庫二(竹田市)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/119244
文化遺産オンライン 吉川家住宅土蔵(竹田市)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/171672
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.24

基本情報

名称吉川家住宅
所在地大分県竹田市大字竹田町21他
所有者竹田市
指定登録有形文化財 5件
座標32.96618, 131.39480