姫井家住宅とは

姫井家住宅は、岡山県浅口市鴨方町鴨方にある医家の屋敷で、江戸時代後期(1751〜1830年)に建った主屋と明治前期の長屋門の2件が、平成27年(2015年)3月26日に国の登録有形文化財に登録された。

読みは「ひめいけじゅうたく」。姫井家は江戸時代から代々医者を出してきた旧家で、鴨方藩の御殿医も務めた。屋敷はJR山陽本線鴨方駅の北、およそ1キロの鴨方中山にあり、表の道路に面して長屋門、その奥に主屋が建つ。

岡山県と高梁川流域連盟の解説は、姫井家住宅を、近代の地方の町医者が住まいを使ってどのように医院を営んでいたかを知ることのできる建物群と位置づけている。江戸時代の座敷を残したまま、大正時代に診察室を足した主屋と、それを外から囲う長屋門がそろっている点に、この屋敷の意味がある。

医家の屋敷としての姫井家住宅

主屋の年代について、文化庁のデータベースは江戸時代後期(1751〜1830年)の建築に明治後期(1898〜1912年)と大正3年(1914年)の改修が重なると記す。大正3年の改修で、主屋の東側に洋風の外観をもつ診察室が増築された。和風の住まいの片側に、近代医療の場がそのままつながった形である。

長屋門の年代は明治前期(1868〜1882年)とされる。主屋より新しい門だが、表通りから見たときの屋敷の顔はこちらが担っている。漆喰で塗り込めた壁に格子窓を並べた構えは、岡山県が「風格ある屋敷景観」と評するとおり、通りの景色の中で姫井家の位置を示してきた。

2件の登録は、いずれも登録基準「国土の歴史的景観に寄与しているもの」による。

姫井家住宅の登録有形文化財2件

  • 主屋(登録番号33-0272):木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積335平方メートル。正面中央に式台玄関と土間玄関を並べ、西に座敷、東に洋館の診察室を配する
  • 長屋門(登録番号33-0273):木造2階建、瓦葺、建築面積111平方メートル。正面道路沿いの石垣の上に南面して建ち、西寄りに門口を開く

どちらも登録年月日は平成27年(2015年)3月26日で、登録番号が続いている。文化庁のデータベースでは所有者の欄は空欄で、高梁川流域連盟は所有を「個人」としている。

姫井家住宅の屋敷の配置

岡山県の解説によると、主屋は敷地のほぼ中央に南面して建つ。表の道路から長屋門をくぐると、正面に主屋の玄関が見える配置である。主屋の西側には座敷、東側には洋館、北東には台所の土間、北西には二階建ての離れがあり、座敷と離れのあいだに坪庭が設けられている。

屋敷を取り囲む庭には、キリシマツツジやヒラドツツジなど約60本のツツジが植えられている。花の時期は例年4月中旬から下旬で、地元紙の山陽新聞は、和風と洋風の建物を背景に赤や白の花が咲く様子を伝えている。

姫井家住宅への行き方と見学

姫井家住宅はいまも個人が住む家で、一般には公開されていない。岡山県と高梁川流域連盟の案内は、見学できるのは長屋門の外観のみで、それも路上から見るものとしている。主屋は長屋門の奥に建つため、道路から見える範囲は限られる。

例外として、ツツジの見頃には庭が開かれることがある。山陽新聞によれば、令和8年(2026年)4月には見学を希望する人のために、午前9時から午後5時まで庭を無料で開放していた。開放の有無と期間は年ごとに異なるため、春に訪ねる場合は事前に最新の情報を確かめたい。撮影についての公式の案内はなく、住人の暮らしに配慮したい。

JR山陽本線鴨方駅から姫井家住宅までは徒歩でおよそ15分、車ではおよそ8分である。専用の駐車場の案内はない。

参考文献

国指定文化財等データベース「姫井家住宅主屋」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010510
国指定文化財等データベース「姫井家住宅長屋門」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010511
姫井家住宅主屋(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/248195
姫井家住宅長屋門(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/277806
姫井家住宅 主屋、長屋門(岡山県 国登録有形文化財 解説)
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/261021.pdf
姫井家住宅主屋及び長屋門(高梁川流域連盟)
https://takahashiryuiki.com/feature/%E9%AB%98%E6%A2%81%E5%B7%9D%E6%B5%81%E5%9F%9F%E3%81%AE%E6%8C%87%E5%AE%9A%E6%96%87%E5%8C%96%E8%B2%A1%EF%BC%88%E5%BB%BA%E9%80%A0%E7%89%A9%EF%BC%89/%E6%B5%85%E5%8F%A3%E5%B8%82/%E5%A7%AB%E4%BA%95%E5%AE%B6%E4%BD%8F%E5%AE%85%E4%B8%BB%E5%B1%8B%E5%8F%8A%E3%81%B3%E9%95%B7%E5%B1%8B%E9%96%80/
伝統建築彩る赤や白 浅口・姫井家住宅でツツジ見頃(山陽新聞デジタル、2026年4月17日)
https://www.sanyonews.jp/article/1907303

最終更新日: 2026.10.03

基本情報

名称姫井家住宅
所在地岡山県浅口市鴨方町鴨方字中山通1342
指定登録有形文化財 2件
座標34.53670, 133.59003