三野浄水場とは

三野浄水場(みのじょうすいじょう)は、岡山県岡山市北区三野一丁目にある岡山市水道局の浄水場で、明治38年(1905年)に通水した岡山市水道の創設時からの施設を残し、第一水源取水口・緩速ろ過池・旧動力室・送水ポンプ室の3件が平成17年(2005年)2月9日に国の登録有形文化財に登録された。

旭川の右岸に取水口を設け、浄水場でこした水を北西の半田山(はんだやま)にある配水池へポンプで送り上げ、そこから市内へ配る。この仕組みが明治の開業時から続いている。構内には旧動力室・送水ポンプ室を改修した岡山市水道記念館があり、一般の人が入れるのはこの記念館とその周りである。

岡山市水道局は、開業当初の施設がよく残り、しかも多くが現役で動いている点をこの水道の特徴として挙げている。取水から配水までの各時代の施設が並ぶため、水道技術の移り変わりを一つの敷地で追うことができる。

全国で8番目の近代水道

岡山の市街地は旭川の沖積地に広がり、井戸水の質が悪く、たびたびコレラなどの伝染病に見舞われた。市は明治23年(1890年)に英国人技師バルトンを招いて設計を依頼したが、予算が市の年間総予算をはるかに上回り、続く洪水の復旧もあって計画は立ち消えになった。

再び動き出したのは明治28年(1895年)ごろからのコレラの流行がきっかけである。明治30年(1897年)、市長の小田安正が水道布設の急務を説き、広島で第5師団のための水道布設を担当していた技師・吉村長策に調査と設計を託した。市議会は延期派と断行派に割れて紛糾したが、明治35年(1902年)のコレラ大流行を受けて布設が決まる。

工事は明治36年(1903年)2月に御野(みの)の水源予定地で起工した。日露戦争による資材不足と人手不足に苦しみながらも、明治38年(1905年)3月31日にほぼ完成し、7月23日に半田山配水池で通水式が開かれた。横浜・函館・長崎・大阪・東京・広島・神戸に次ぐ全国8番目の近代水道で、明治38年度末の給水人口は2万3,370人だった。岡山市は通水100周年の平成17年(2005年)に、7月23日を「岡山市水道の日」と定めている。

その後、第1期(明治45年〜大正11年)、第2期(大正13年〜昭和2年)、第3期(昭和10年〜12年)と拡張が重ねられた。第2期では取水場やろ過池が増設され、第3期は昭和9年(1934年)の室戸台風による大洪水の被害を受けて、予備動力にディーゼル機関直結の発電機を備えるなど災害への備えを強めた工事だった。

3件の配置と水の流れ

登録された3件は、水が浄水場を通る順に並べると分かりやすい。最初が旭川右岸の第一水源取水口で、浄水場の北東の川べりにある。文化庁の解説によれば、緩速ろ過池はその取水口から西へ約260メートルの位置にあり、沈澱池を経た水を受ける。旧動力室・送水ポンプ室はろ過池の北側に建ち、こされた水を半田山の配水池へ押し上げるポンプがここに置かれた。

岡山市水道局は、緩速ろ過池や動力室に使われた赤い煉瓦と、この地方に特徴的な白い花崗岩の切石との取り合わせを、市の水道施設に共通する美点として紹介している。取水口とろ過池は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、旧動力室・送水ポンプ室は「造形の規範となっているもの」として登録された。

平成17年(2005年)2月には、三野浄水場の3件とあわせて、半田山配水地の配水池・量水室・旧事務所の6件と京橋水管橋も登録されており、岡山市の水道関連施設は計10件が同時に登録有形文化財となった。三野浄水場からポンプで水を受ける半田山配水地は、浄水場の北西、半田山の標高約50メートルの地点にある。

見学案内(水道記念館・施設見学・アクセス)

三野浄水場はいまも稼働している浄水施設で、構内の多くは高い塀に囲まれ、自由には入れない。個人で訪れる場合の入口は、浄水場構内の岡山市水道記念館である。開館は午前10時から午後4時30分(入館は午後4時まで)、入館料は無料。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始(12月29日〜1月3日、令和8年度は12月28日〜1月4日)である。

沈殿池やろ過池を含む浄水場内を見たい場合は、岡山市水道局の施設見学を利用する。概ね10人以上のグループや団体が対象で、受け入れは火曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く)。ビデオと説明のあと構内を歩き、水道記念館で学ぶ流れで、所要は1時間30分ほどである。申し込みの前に、浄水課(電話086-222-3939)へ予約状況を電話で確かめるよう案内されている。

浄水場の構内は禁煙で、飲食は控えるよう求められている(飲み物は記念館の外でなら可)。動物の同伴も遠慮するよう案内されているが、身体障害者補助犬は同伴できる。撮影の可否について水道局の案内には記載がないため、構内では係員の指示に従いたい。

構内では、浄水池と送配水ポンプ棟を更新する工事が令和6年(2024年)10月から令和12年(2030年)3月までの予定で進んでいる。工事は原則として平日の午前8時から午後5時に行われ、工事車両の出入りがある。

アクセスは、JR津山線の法界院駅から徒歩約10分。岡山駅方面からは岡電バスまたは宇野バスで「水源池」バス停まで行けば、下車後徒歩約2分である。車では山陽自動車道の岡山インターチェンジから約20分で、浄水場の構内に15台程度の駐車スペースがある。

参考文献

三野浄水場第一水源取水口(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004626
三野浄水場緩速ろ過池(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004627
三野浄水場旧動力室・送水ポンプ室(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004628
半田山配水地一号配水池(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004629
三野浄水場第一水源取水口(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/180846
水道のあゆみ(岡山市水道局)
https://www.water.okayama.jp/soshiki/kikaku_somu/7/4/210.html
有形文化財(岡山市水道局)
https://www.water.okayama.jp/soshiki/kikaku_somu/7/4/207.html
岡山市水道記念館(岡山市水道局)
https://www.water.okayama.jp/soshiki/kikaku_somu/kinenkan/index.html
水道記念館からのお願い(岡山市水道局、PDF)
https://www.water.okayama.jp/material/files/group/3/onegai2.pdf
浄水場見学の受入について(岡山市水道局)
https://www.water.okayama.jp/soshiki/josui/3/1380.html
三野浄水場浄水池ほか築造工事(岡山市水道局 発注工事の案内)
https://minowater-dev.info/

最終更新日: 2026.10.02

基本情報

名称三野浄水場
所在地岡山県岡山市北区三野1-2-1
所有者岡山市
指定登録有形文化財 3件
座標34.68912, 133.93632