ノートルダム清心女子大学ノートルダムホールとは

ノートルダム清心女子大学ノートルダムホールは、岡山県岡山市北区伊福町のキャンパスに建つ校舎群で、昭和4年(1929年)に竣工した本館と東棟の2棟が、平成19年(2007年)7月31日にそろって国の登録有形文化財となった。

設計はアントニン・レーモンド、施工は大林組である。大学のアーカイブによれば、2棟は1929年12月に竣工し、いまの伊福町の敷地に最初に建った建物だった。建物名の「ノートルダム」は大学名と同じ言葉で、「ノートル」は私たちの、「ダム」は婦人を意味し、聖母マリアを指す。

同じ名を冠する建物には、1978年竣工の西棟と、1995年竣工で地上12階の中央棟もある。登録の対象は昭和初期の本館と東棟の2棟だけで、ノートルダム清心女子大学ノートルダムホールの名で文化財として扱われるのはこの2棟を指す。

清心高等女学校の新校舎として建てられたノートルダムホール

学園の始まりは明治19年(1886年)に岡山市内で開かれた私立岡山女学校で、明治44年(1911年)に清心高等女学校と名を改めた。大正13年(1924年)、アメリカ・マサチューセッツ州ウォルサム管区のナミュール・ノートルダム修道女会から6名のシスターが派遣され、学校の経営を引き継いだ。

当時の校舎は岡山市中心部の弓之町にあった。昭和4年(1929年)、まだ田園風景の残っていた市北部の上伊福(いまの大学所在地)にノートルダムホールが建てられ、学校は翌年に弓之町から移った。大学は沿革のなかで、この新校舎が「東洋一」と称えられたと伝えている。

戦争はこの校舎にも影を落とした。アメリカ人のシスターたちは太平洋戦争の開戦後に収容され、やがて本国へ送還された。真っ白な外壁で「白亜の殿堂」と呼ばれた本館と東棟は、空襲の目標にならないよう黒く塗られた。昭和20年(1945年)6月29日の岡山空襲では生徒14名が亡くなったが、ノートルダムホール自体は焼け残った。大学は、岡山市内で焼け残った鉄筋コンクリートの建物はわずか5棟だったと記している。

シスターたちが戻ったのは昭和21年(1946年)10月で、黒い外壁はその後白く塗り直された。昭和19年(1944年)に開校していた岡山清心女子専門学校を母体に、昭和24年(1949年)にノートルダム清心女子大学が開設され、ノートルダムホールは大学の校舎として使われ続けて今日に至る。

ノートルダムホールの登録有形文化財2棟

本館と東棟は平成19年(2007年)3月に文化審議会から登録の答申を受け、同年7月31日に登録された。登録番号は33-0154と33-0155で、2棟とも登録有形文化財(建造物)であり、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。

  • 本館:鉄筋コンクリート造2階建、建築面積3,250平方メートル。敷地の南に建ち、中庭を囲むロの字形の平面をもつ。大学の正面玄関がある
  • 東棟:鉄筋コンクリート造3階建、建築面積2,176平方メートル。本館の東に建ち、中央に大学の聖堂を置く。建築当初は修道院として使われた

設計者のレーモンド(1888〜1976年)は現在のチェコ共和国の生まれで、アメリカに渡ったのち、フランク・ロイド・ライトの助手として帝国ホテルの建設のために来日した。人生の半分を日本で過ごし、東京女子大学や群馬音楽センターなど、モダニズムの建築を数多く残した。岡山県庁舎や林原美術館を設計した前川國男も、レーモンドのもとで学んだ建築家である。大学はノートルダムホールを、中国・四国地方では数少ないレーモンド建築と紹介している。

平成30年(2018年)7月には、本館と東棟がDOCOMOMO Japanの「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」(2017年度選定)にも選ばれた。

ノートルダムホールの配置

文化庁の解説によれば、本館は敷地の南に配置されて南を向き、南東の角に正面玄関を構える。東棟は本館の東にあり、正面を東に向ける。南を向く本館と東を向く東棟とでは、正面の向きが異なる。本館は横に長く延びる2階建、東棟は聖堂の正面と鐘楼が縦に立ち上がる3階建で、並べて見ると水平と垂直の対比がはっきりする。

東棟の聖堂の背後には、1995年竣工の中央棟が高くそびえる。昭和初期の低層の2棟と平成の高層棟が重なって見える眺めを、大学は「変えてよいものと変えてはいけないもの」を見定める姿勢の表れとして紹介している。

ノートルダム清心女子大学ノートルダムホールへの行き方と見学の申し込み

ノートルダム清心女子大学は、JR岡山駅の西口(運動公園口)から北へ約900メートル、徒歩でおよそ10分の距離にある。構内に来訪者用の駐車場はないので、電車やバスで訪ねることになる。

ノートルダムホールは現役の校舎で、自由に入って見学することはできない。大学は一般の個人や団体の見学を受け付けており、大学ウェブサイトの問い合わせページから「施設見学のお申込み」を選び、見学日と時間帯を第2希望まで書いて申し込む。個人は1週間前までに申し込み、団体は事前に問い合わせるよう案内されている。窓口は大学の広報室で、受付は平日の午前9時から午後4時30分まで(大学独自の休日を除く)である。

見学できるのは建物の外観が中心である。構内での撮影は外観に限られ、学生、館内、聖堂内の撮影は禁止されている。教室・研究室・図書館への立ち入りや授業の見学もできない。

このほか大学は、ノートルダムホール本館と東棟を間近に見られる見学会を開いている。2026年度は10月24日(土)の午前10時から午前11時30分に予定され、定員は先着20名、参加費は無料で、電話かメールで申し込む。参加者には入構時に必要な「参加証」が送られる。大学のアーカイブは、大学祭の企画として学生による学内ツアーを行い、地域の人にも校舎を見てもらっていると紹介している。

参考文献

国指定文化財等データベース「ノートルダム清心女子大学ノートルダムホール本館」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006129
国指定文化財等データベース「ノートルダム清心女子大学ノートルダムホール東棟」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006130
文化遺産オンライン「ノートルダム清心女子大学ノートルダムホール本館」(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/186033
文化遺産オンライン「ノートルダム清心女子大学ノートルダムホール東棟」(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/119004
清心の文化遺産(ノートルダム清心女子大学)
https://www.ndsu.ac.jp/about/heritage/
NDSUコレクション 登録有形文化財(ノートルダム清心女子大学 清心アーカイブズ)
https://www.ndsu.ac.jp/archives/collection/bunkazai.php
清心の風景(ノートルダム清心女子大学 清心アーカイブズ)
https://www.ndsu.ac.jp/archives/history/campus.php
建学の精神・教育理念(ノートルダム清心女子大学)
https://www.ndsu.ac.jp/about/ideal.html
校舎(登録有形文化財)の見学をご希望の皆様へ(ノートルダム清心女子大学)
https://www.ndsu.ac.jp/about/campus_tour.html
アクセス(ノートルダム清心女子大学)
https://www.ndsu.ac.jp/about/access.html

最終更新日: 2026.10.02

基本情報

名称ノートルダム清心女子大学ノートルダムホール
所在地岡山県岡山市北区伊福町2-16-9
所有者学校法人ノートルダム清心学園
指定登録有形文化財 2件
座標34.67263, 133.91670