由加山に鎮まる由加神社

由加神社は、岡山県倉敷市児島由加の由加山(瑜伽山)にある神社で、境内の拝殿及び幣殿(安永6年・1777年)、三宝荒神社本殿(江戸後期)、備前焼の大鳥居(明治27年・1894年)の3件が、令和6年(2024年)8月15日にそろって国の登録有形文化財となった。

読みは「ゆがじんじゃ」。神社自身は「由加山 由加神社本宮」と名乗り、厄除けの総本山として知られる。岡山県の資料によれば、西日本を中心に末社52社を持つ。祭神は手置帆負命・彦狭知命・神直日命の三柱で、神仏が分かれる前のなごりとして阿弥陀如来と薬師如来を本地仏に掲げている。

倉敷の市街地から南東へ約13キロメートル、瀬戸内海までは南へ約4キロメートルの山中にあたる。表参道の石段は19段・25段・33段・42段・61段と厄年の数に区切られ、正月三が日には毎年35万人を超える参拝者が石段を上ると岡山観光WEBは紹介している。

由加神社の由緒と「両参り」

神社の由緒では、由加山はもともと巨岩を御神体とする磐座信仰の山で、天平5年(733年)に行基が十一面観音をまつったことで神仏をあわせてまつる霊山になったとされる。中世以前の変遷について、岡山県の調査資料は開基が奈良時代にさかのぼると伝わるものの定かではないとしている。

確かな輪郭が見えてくるのは江戸時代中期である。由加山は備前藩主池田氏の祈願所となり、社殿の造営も池田氏によると伝えられる。神社によれば、藩主は正月・五月・九月にみずから参拝したという。この時代の信仰の対象は「瑜伽大権現」と呼ばれ、神仏習合の山として栄えた。

同じころ、讃岐の金毘羅大権現(いまの金刀比羅宮)と由加山の両方に詣でる「両参り」が広まった。神社の案内によれば、四国へ渡る旅人は備前第一の霊地とされた由加山で道中の安全を祈ってから金毘羅へ向かったという。倉敷観光WEBは、江戸本所の豪商・塩原太助の名を刻んだ玉垣が境内に残ることを紹介している。

明治元年(1868年)の神仏分離で、瑜伽大権現は由加神社と蓮台寺に分かれた。いまも両者は由加山の上で並び立っている。

由加神社の境内と3件の登録文化財

岡山県の資料によれば、由加神社の境内は南北に細長い長方形をしている。南側の参道を北へ進み、石段を上りきった広場の東側に備前焼の大鳥居が立ち、ここが境内の入口になる。境内の北側には切石でやや高く築いた基壇があり、その上に拝殿及び幣殿が建つ。拝殿の奥に本殿、本殿の東隣に三宝荒神社本殿という並びである。本殿は昭和36年(1961年)に岡山県の文化財に指定されている。

3件の登録は第107回登録で、登録番号は拝殿及び幣殿が33-0367、三宝荒神社本殿が33-0368、大鳥居が33-0369と続く。登録基準はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁のデータベースによる規模は、拝殿及び幣殿が建築面積142平方メートル、三宝荒神社本殿が3.0平方メートル、大鳥居が間口3.2メートル。

3件は年代も材料もばらばらだ。安永6年(1777年)の棟札写しが残る拝殿は、天保9年(1838年)に向唐破風造の向拝を前へ足して独特の正面をつくった。三宝荒神社本殿は桁行1間・梁間1間の小さな社殿ながら、板状の頭貫木鼻など古い手法を残す。大鳥居は備前焼の部材を組み上げた春日鳥居で、柱に「明治廿七年」「一月」の刻銘がある。江戸中期から明治までの普請が、一つの境内に重なっているのが由加神社の見どころといえる。

なお備前焼の大鳥居は、神社の告知によれば令和8年(2026年)時点で解体修理が行われている。工事のあいだは鳥居の姿を見られないので、訪れる前に神社の告知で工事の状況を確かめたい。

由加神社の参拝と行き方

由加神社の境内は参拝自由で、拝観料はかからない。倉敷観光WEBの案内では開門は午前8時から午後5時、年中無休である。社務所の受付時間は資料によって午前8時30分から午後4時30分とするものもあり、神社の境内図は祈祷の受付を午前9時から午後4時としている。登録された3件はいずれも境内から外観を見る形になる。

車で訪れる人が多い。神社は、カーナビで「岡山県倉敷市児島由加3335」を検索すると表参道第一駐車場の前に着くと案内している。瀬戸中央自動車道からは、児島インターチェンジで降りて約20〜25分、水島インターチェンジからは約20分。駐車場は無料である。

鉄道の場合は、JR瀬戸大橋線(本四備讃線)の木見駅か上の町駅からタクシーで約10分と岡山観光WEBは案内し、倉敷観光WEBは児島駅からタクシーで約20分としている。駅から山上の境内までは距離があるので、タクシーか車を前提に計画を立てたい。

毎年11月3日には、金刀比羅宮と由加神社の御神火を合わせて焚く「由加山火渡り大祭」が行われる。正月や祭りの日は境内が混み合うので、社殿の細部をゆっくり見たいならそうした日を外すとよい。問い合わせは由加神社本宮(電話086-477-3001)。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):由加神社拝殿及び幣殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015087
国指定文化財等データベース(文化庁):由加神社三宝荒神社本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015088
国指定文化財等データベース(文化庁):由加神社大鳥居
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015089
岡山県:登録有形文化財(建造物)由加神社拝殿及び幣殿、由加神社三宝荒神社本殿、由加神社大鳥居(PDF)
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/374735.pdf
由加山 由加神社本宮:由加神社本宮ご由緒
https://yugasan.or.jp/about/
由加山 由加神社本宮:ゆが・こんぴら両参り
https://yugasan.or.jp/ryoumairi/
由加山 由加神社本宮:境内の文化財
https://yugasan.or.jp/precincts/cultural-property/
由加山 由加神社本宮:境内図
https://yugasan.or.jp/precincts/map/
由加山 由加神社本宮:令和8年備前焼大鳥居の解体修理について(続き)
https://yugasan.or.jp/post-70167/
由加山 由加神社本宮(トップページ・交通案内)
https://yugasan.or.jp/
倉敷観光WEB(くらしき地域資源ミュージアム):由加山 由加神社本宮
https://www.kurashiki-tabi.jp/rm_see/rm-see206/
倉敷観光WEB:由加山 由加神社本宮
https://www.kurashiki-tabi.jp/see/see-235/
岡山観光WEB:由加山 由加神社本宮
https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_10420.html

最終更新日: 2026.10.03

基本情報

名称由加神社
所在地岡山県倉敷市児島由加字瑜伽2852
所有者由加神社
指定登録有形文化財 3件
座標34.50587, 133.85105