東迎家住宅井戸とは

東迎家住宅井戸は、沖縄県八重山郡与那国町の祖納集落にある明治前期に掘られた屋敷の井戸で、平成20年(2008年)3月7日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。文化庁のデータベースは年代を「明治前期」とし、西暦の欄には1868〜1911年と幅をもたせて記している。

井戸があるのは東迎家の主屋の西南である。いまの主屋は昭和28年(1953年)の建築なので、東迎家住宅井戸はそれより古い時代にさかのぼる。屋敷で登録された5件のうち、明治期とされるのはこの井戸と、東側にある大型のイチタライ(石の水槽)の2件だけである。

5件は主屋・井戸・イチタライ・水タンク・石垣で、いずれも同じ日に登録された。年代をたどると、今の主屋が建つより前から、屋敷の水はこの場所で得られていたことになる。

登録の理由と価値

東迎家住宅井戸の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。登録有形文化財のなかでも、建物の造形ではなく、土地に根ざした景観の一部として評価される基準だ。

この井戸は琉球石灰岩の岩盤を掘り抜いて造られた円筒形の井戸で、深さは13メートルに及ぶ。サンゴ礁由来の石灰岩は一般に水を通しやすく、地表に水がたまりにくい。屋敷の中で水を得るには、それだけの深さまで岩を削る必要があった。

昭和中期には改修が加えられ、現在の構造はコンクリート造となっている。明治の掘削と昭和の改修が、一つの井戸に重なっている。

登録番号は47-0063。主屋(47-0061)から石垣(47-0065)まで続く屋敷の連番の中ほどにあたる。

東迎家住宅井戸の見どころ

直径0.6メートルの井筒

地上に出ている上部は、直径0.6メートル、高さ0.62メートルの円筒形に造られている。腰より低いほどの小ぶりな井筒の下に、13メートルの縦穴が続いている。

洗い場と小さなイチタライ

井筒のまわりには南北2.2メートル、東西3.3メートルの洗い場が設けられ、その隅に小型のイチタライ(石盥)が置かれている。井戸全体の面積は8.5平方メートル。文化庁の解説によれば、ここは農作物や農具を洗うための場所だった。水を汲む場所と洗う場所が一体に造られ、畑仕事の後始末がこの一角で済むようになっている。

屋敷の東側には、これとは別に大型のイチタライがあり、防火用の水槽として別件で登録されている。井戸の隅の小さな石盥と、東の大きな石盥。同じ屋敷の中に、用途の違う二つの石の水槽がある。

屋敷の水の配置

東迎家住宅井戸は主屋の西南にあり、雨水をためる水タンクは主屋の台所の西面に接して置かれている。地下の水と屋根の雨水を、屋敷の西側でそれぞれ受け止める配置である。

東迎家住宅井戸の見学について

東迎家住宅井戸は個人の住宅の敷地内にあり、一般公開はされていない。与那国町観光協会の案内にも見学受付の情報は載っていない(2026年9月確認)。井戸は主屋の西南、屋敷の内側に位置している。

祖納の集落を訪ねる場合も敷地には入らず、住人の生活を妨げないようにしたい。屋敷の内側に向けた撮影も控えるべきである。

与那国島への空路は、石垣空港から約30分(1日3便)、那覇空港から約1時間20分。海路では石垣港からフェリーよなくにが週2便あり、所要は約4時間である。島内の移動には、祖納・久部良・比川を結ぶ町営の無料バスやレンタカーが使える。

Q&A

Q東迎家住宅井戸は見学できますか?
A見学はできません。東迎家住宅井戸は個人の住宅の敷地内、主屋の西南にあり、一般公開されていません。敷地に立ち入らないようお願いします。
Q東迎家住宅井戸はいつ造られ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A文化庁のデータベースでは明治前期(西暦欄は1868〜1911年)の築造で、昭和中期に改修されています。登録有形文化財(建造物)への登録は平成20年(2008年)3月7日です。
Q東迎家住宅井戸の深さと構造は?
A琉球石灰岩を掘り抜いた円筒井戸で、深さは13メートルです。上部の井筒は直径0.6メートル、高さ0.62メートル。現在はコンクリート造で、全体の面積は8.5平方メートルです。
Q東迎家住宅井戸は何に使われていたのですか?
A井筒のまわりに南北2.2メートル、東西3.3メートルの洗い場があり、農作物や農具を洗う場所として使われていました。洗い場の隅には小型のイチタライ(石盥)が置かれています。
Q東迎家住宅井戸の「イチタライ」とは何ですか?
A石をくり抜いた水槽(石盥)のことです。井戸の洗い場には小型のものが付属し、屋敷の東側には防火用水槽として使われた大型のイチタライがあり、こちらは別に登録されています。

基本情報

名称東迎家住宅井戸(とうげいけじゅうたくいど)
所在地沖縄県八重山郡与那国町字与那国151-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成20年(2008年)登録
員数1基
寸法深さ13m、面積8.5㎡(井筒径0.6m・高さ0.62m、洗い場南北2.2m・東西3.3m)
所有者非公表(文化庁データベースに記載なし)
公開状況非公開(個人の住宅の敷地内)

参考文献

東迎家住宅井戸(国指定文化財等データベース/文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006959
東迎家住宅井戸(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/144221
東迎家住宅主屋(国指定文化財等データベース/文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006957
東迎家住宅水タンク(国指定文化財等データベース/文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006958
東迎家住宅イチタライ(国指定文化財等データベース/文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006960
与那国島について(与那国町役場)
https://www.town.yonaguni.okinawa.jp/docs/2018042500011/about.html
交通アクセス(与那国町観光協会)
https://welcome-yonaguni.jp/access/

最終更新日: 2026.09.25